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F組三国志 15 森哲也 ブログトップ

F組三国志 15-1 [F組三国志 15 森哲也]

ふわ~、今日は球技大会か…。
夕べは、ゲームやりすぎたかな。
まだ眠い。

「おい森、一回戦目始まるぞ。」
「おう、哲平。」
「バスケはベストメンバーで優勝狙ってんだから頼むぞ。」
「ああ。」

うちのクラス声援多いな…。
でも、応援の声は哲平や省吾たちばっかだ、俺の名前なんて全然聞こえてこない…。
あっ、嶋から省吾へ、おお、ゴール決まった。
ちくしょう俺もゴール決めてやる。
こっちだぞ、嶋。
うっ、今度は哲平か。
あいつらばっか目だってるな。
そうか、作戦会議で何か相談したんだな。
俺、ぶっちしちまったから…。
嶋も俺にはパスしてこないってことか?
まあベストポジションへ走り込めば…。
えっ? なんで? 良いとこへ入ったと思ったのに、俺っておとりになっただけ?
もしかして、俺の動きも計算の内ってか。
あいつら頭良いもんな。
学年一位三位六位か、俺も六位の哲平に引っ張ってもらって、学年六十位になれたけど、奇跡だよな。
おっとパスが来た、えっと、嶋がフリーだな。

「ナイスパス。」
「森、いいぞ~!」

はは、俺への声援は男子ばっかだ。
まあ仕方ないか。

「森、目はさめたか?」
「えっ、嶋、起きてるぞ。」
「どうせ遅くまでゲームでもしてたんだろ、始めのうち動き悪かったぞ。」

あっ、そうだったかも。
球技大会ぐらいでしか良いとこ見せられないのに俺、何やってんだろう…。
おっと前半終了か。

「お疲れ~。」
「おう。」
「圧勝だよな。」
「油断は禁物だぞ。」
「今日はシュートが冴えてるね、哲平。」
「嶋のパスがよく通ってるから。」
「はいタオル、省吾、お茶少し飲む?」
「サンキュー。」
「哲平さん、どうぞ。」
「有難う、しずか。」
「大地さん、タオル、スポーツドリンクで良かったかしら。」
「うん。」

あれっ、嶋の奴、いつの間に、原崎すみれと…。
派手な子じゃないけど、かわいいよな。
黒川は舘内亜美とくっついちゃうし。
おいおい、クラスの美人系、かわいい系、どんどん彼氏作っちゃうってか。
まあ、俺…、失敗したからな…。
はは、ま、今日はバスケ、がんばってみっか。

F組三国志 15-2 [F組三国志 15 森哲也]

球技大会終わった~。
疲れた~。
でも、バスケ優勝したからな。

「森、お疲れ。」
「おお、省吾、お疲れ。」
「バスケ優勝の功労者は森だよな、哲平。」
「作戦通りいったもんな。」
「ま、そりゃ俺もがんばったけど…。」
「嶋からのパスを哲平か俺が受け取ってシュート。」
「今日はリズム良く決まったよな。」
「ああ、でも相手はそのパターンに合わせてくる。
そこで森にパスが通ってシュートが決まる。」
「いや、やっぱ嶋がすごいんじゃないか、誰がよりゴールし易い位置にいるか判断して正確なパスを通してきてさ。」
「確かにな、でも、それを受け取ってシュートを決めないと得点にはならないだろ。」
「ああ。」
「今日の森はかっこ良かったぞ。」
「哲平に言われてもな。」
「はは、女子に言ってもらいたいってか。」
「う~ん、俺さ、失敗したからな。
四月はさ…。」
「反省してるって?」
「まあな、この学校なら軟弱な奴ばかりで、偉そうにしたら勝ちとか思ってた。」
「確かに軟弱な奴少なくないな。」
「まあ言い訳にしかならないけど、うちの両親仲悪くて喧嘩ばっか、八つ当たりもされるから、こっちもいらいらしててさ。
今も変わらないけど…、ま、入学した頃は自分の八つ当たりの対象ができたって…、俺の勘違いだったけど。
中学の頃は喧嘩っぱやい奴、結構いてさ。
勝てそうにないから大人しくしてたんだ。
でも、そいつら結構女子にもててさ。
俺も高校に入ったらって思ってた。」
「そうなんだ、俺の中学では人気なかったけどな、そんな奴ら。」
「学校のレベルが違うんだろう。
家では、親を怒らせないように勉強してたし、学校でも大人しくしてたからここに入れたけど、入学してみたら回りは頭の良さそうな奴ばかりだし。」
「なんとなく森のこと分かってきたよ。」
「省吾…。」
「誰しも環境が大きく変わるととまどって不安になるものさ。
森の場合は家庭のことや、中学での体験もあって…、森を苦手とする人を作ることとなってしまったってことかな。」
「やっぱ、俺、嫌われてるんだろうな。」
「ああ。」
「お、おい省吾そんなにはっきり言わなくても…。」
「で、森はどうしたい、これから?」
「う~ん、どうなんだろう…、哲平に引っ張ってもらってテストでは思ってたよりはるかにいい結果を出せたけど…。
やっぱ、いらいらすること多いし。
家を出て一人暮らししたいけど、さすがにな…。」
「そっか、ねえ、気分転換になることって何? 森の場合さ。」
「そうだなぁ~、やっぱゲームかな。」
「うん。」
「ただな、達成感を感じる時もあれば、虚しさを覚える時もあってさ。」
「所詮バーチャルだからな。」

F組三国志 15-3 [F組三国志 15 森哲也]

「森はスポーツとか、どうなんだ?」
「うん、今日のバスケ楽しかったけど、部活やるだけの根性はないし、俺。」
「だよな、哲平は尊敬に値するよ。」
「はは、楽しいからやってるだけだよ。」
「ラグビーなんてきついと思うけどな。」
「まあ、楽ではないな、でもうちの部は結構自由だからね。」
「へ~、どんなん?」
「基本、練習への参加は自由なんだ、試合が近づくまではね。」
「そんなんで…、結構強いんだろ、うちのラグビー部。」
「ああ、自由な代わりに自己管理が求められている。
レギュラーになりたかったら先輩方のアドバイスを受けながらも、自分で考えて練習しないとだめなんだ。
どんな練習をどれくらいするか、とかね。
で、実力が認められれば一年生でもレギュラーになれる。」
「自由だけど…、自分で考えて動かないとだめってことか…。
やっぱ俺には無理そうだ。」
「はは、森には無理か、俺も時間的に無理だけど、なあ哲平、今度練習とか見学させてもらえないかな。
できれば先輩方とも話しをさせて欲しいんだけど。」
「もちろんオーケーさ。
省吾のことは先輩方の間でも話題になっているからね。」
「えっ?」
「心当たりはあるだろ、美咲のこととかF組のこととか。」
「そうか…、まあ、勉強させてもらえる様に頼むよ。」
「省吾が勉強させてもらうなんて、なんか違和感を感じる。」
「森、俺だって普通の高一なんだからな。」
「はは、あえて突っ込まんが…、なあ、森。」
「何?」
「お前、チーム赤澤に参加させてもらったらどうだ?」
「チーム赤澤か…、真面目な活動なんだろ、俺なんかが…。」
「いや、面白いかもしれない、森が参加して損のないようにするから。」
「さすがリーダー、何か企みでも?」
「森には研究材料になってもらう。
その代わりに、森が、もっと高校生活をエンジョイできるようにサポートさせてもらう。」
「なんか怖いような…。」
「そのままの自分を通すもよし、変わるもよし。
まあ、チームに参加すれば、森のイメージアップにはなるからな。
なに、チームに参加したところで、そんなに縛られる訳でもないからね。
よし、決定、この用紙に必要事項を記入してくれな。」
「あ、ああ。」
「夏休みの予定は?」
「特にないけど…。」
「じゃあ、そうだな…、森んちは、パソコンで気軽にネットにアクセスできる環境?」
「まあ、親が使ってない時は結構自由に使える。」
「じゃあ、うちのサイトにアクセスしてみて。
本核的なサイト構築は大学生の試験とかが落ち着いた後になるけど、もう形が出来つつあるからね。
プロジェクト梶田関連は時間との勝負、という一面もあるから動きが早くて。
単位を落とさないようにって、みんなに言ってるんだけど。」
「省吾、リーダーとして、大学生の方々に何かアドバイスしているの?」
「ああ、時間を区切って、だらだらやらないように。
頭を切り替えるトレーニングを、って提案はしといた。」
「あっ、限られた時間で複数の作業をこなす時の、F組でも話してたことか。」
「うん。」
「大学生の人たちの反応は?」
「それはF組と同じさ。
すぐに納得して自分のスケジュールをきっちり決める人もいれば、色々助言の必要な人もいたりとかね。
哲平、高校生でも大学生でも、そんなに違わないんだよ。」
「そうか、個々の力量ってとこなんだな。」
「そういうこと。
で、森さ、うちのサイト見て興味のあることがあったら教えて。
なかったらないで構わないけどね。
あと、プロジェクトF関連で、森の担当が付くことになるけど、うざかったら、うざいって言えばいいから。
直接言いにくかったら俺に言ってくれな。」
「あ、ああ。」
「近い内に、担当の大学生が決まったら紹介するから。」
「う、うん。」

F組三国志 15-4 [F組三国志 15 森哲也]

省吾があんなに強引な奴だとは知らなかった。
普段は…、色々提案しても、やるもやらないも自由って、基本、強制しない奴なのに。
チーム赤澤か…。
今日は親父も帰ってきてないから、パソコンOKだな。
ま、見てみるか…。

…、うん、ここだな。
チーム赤澤…、トップは絵か…、あっ、Shizuka Yamakageとある。
これって山影静の絵なのか、うまいもんだ。
近寄りがたい美人だけどな。
えっと、プロジェクトFか…。
えっ?
プロジェクトスワン、プロジェクト梶田?
…。
株式会社を立ち上げる?
そんなレベルなのか…。

組織とメンバー…。
トップは赤澤省吾。
大学生六十三名、院生七名、高校生二十四名…。
えっ?
バックアップメンバー?
こっちは名前が肩書き付きで公開か…。
大学教授?
会社社長?
え~と三十人ぐらいはいるぞ。
学生だけじゃないんだ。

「おう~、帰ったぞ~!」

あっ、親父が帰ってきた。
また酔っぱらってるな…。
省吾の親父は大学教授、俺の親は酔っぱらいか…。

…、どうなるか…、わかんないけど…、すがってみるしかないのかな…。
チーム赤澤か。

F組三国志 15-5 [F組三国志 15 森哲也]

「森君ね、はじめまして、私は根岸恭子、こっちが酒田充、二人とも三回生ってとこ、よろしくね。」
「よろしくな。」
「は、はい、こちらこそ。」

担当の学生って省吾から聞いてたけど、こんなきれいなお姉さんが来るとは思ってもいなかった。
うっ、緊張する…。

「省吾リーダーから少しは聞いてるけど、色々話していただくことになると思うから…、そうね…、え~と…、話したくないことはそう言ってくれれば深く追及したりしないから気軽にね。」
「は、はい。」
「今日は酒田くんの車でドライブでもしながらと思ったんだけど、どうかしら?」
「え、ええ。」
「どこか、行きたいとことかある?」
「べ、別に…。」
「そっか、じゃ、思い出の場所とかないかしら?」
「え~っと…、東山公園か…。」
「ドライブにはちょっと近すぎる気もするけど、行こうか。」
「はい。」

「東山公園に何か想い出があるの?」
「たいした想い出もないけど…、ドライブなんてあまり経験がないし、春の遠足で行ったから思い出したって程度で。」
「省吾リーダーたちが色々企画したって遠足ね。
どうだったの? その遠足って。」
「じ、自分たちは省吾の企画に乗らなかったから…、まあ、今思えば勝手に仲間外れになってたって感じで…。」
「ふ~ん。」
「俺、失敗したなって、遠足の後で気付いた。」
「そうなんだ、で…。」

気が付いたら自分のことずいぶん話してた。
根岸さんが、俺が話し易いように訊いてくれたからだと思う。
親のことまで話したらなんかすっきりした。
あっ、とっくに東山公園に着いていたけど、酒田さん車止めて俺たちの話を聞いていてくれたみたいだ。

「ね、飲み物とかは持ってきてるけど、どっかでお茶する、それとも…、そうだ、グリーンロード走って山の方へ行ってみない?」
「はい。」
「酒田くん、香嵐渓のまで行ってみない。」
「うん、行こうか。」
「森君のことずいぶん話してもらえたから、私たちのことも少し話させてね。」
「はい。」
「酒田君も私も、いじめられたり、いじめた経験があるの。」
「えっ?」
「そんな経験は忘れるようにしてきたんだけどね、教育学部に入ったら向き合わざるを得なくなってね…。」

そうなんだ、失敗したのは俺だけじゃないってことか。
省吾はそれを俺にわからせるために?
親が親だけに、誰も俺のことなんか考えてくれないって思ってた。
今からでも遅くないのかな…。
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