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F組三国志 10 梶田梨乃 ブログトップ

F組三国志 10-1 [F組三国志 10 梶田梨乃]

「あっ、梶田さん、おはよう。」
「おはようございます、秋山さん。
今日は、ご迷惑をおかけします。」
「はは、ご迷惑だなんて気にしないで、勉強会を生かしてくれたら嬉しいわ。」
「さ、省吾んちまで案内するね。」

色々迷ったけど勉強会に来てしまった。
テストに向けてみんながんばってる。
私もそれなりにはやってるけど。
やっぱ、みんなほどにはがんばれてない気もする。
大学へは行けそうにないから…。
父さんの会社は…。
それでも、私には学費のことは心配しないでって、父さんも母さんも言ってくれる。
そうは言われても弟たちもいるし…。
あっ、ここなんだ、省吾さんの家。

「さあ、どうぞ。」
「はい、おじゃまします。
「そこのスリッパ使ってね。」
「ふふ、秋山さんの家みたい。」
「へへ、さあ、こっちよ。」
「あっ、梶田さんおはよう。」
「おはようございます。」

省吾さんだ、あれっ? その隣の人は? クラスのみんなは?

「矢野さん、梶田さんだよ。」
「おはようございます、矢野です。」
「は、はい、おはようございます。
えっと、クラスのみんなは?」
「近くの生涯学習センターよ。
梶田さん、大学生の調査って話ししたわよね。」
「はい。」
「梶田さんには、先にそっち、矢野さんたちの協力をお願いしたくてね。」
「あっ、はい、省吾さん。」
「あっ、そんなに硬くならないで梶田梨乃さん、僕らの調査は高校生の意識調査って感じで、普段の学習とかに関して思ってることとか簡単に聞かせてもらえたらって程度だからね。」
「はい。」
「で、省吾と美咲さんに聞かれたくなかったら席をはずしてもらうことになってるけど、どうかな?」
「えっと、できれば、一緒にいてもらいたいです。」
「了解、でも二人は横で他ごとしてるからね。」
「はい。」
「まずはちょっとした確認から…。」

大学生の人の調査か…、ちょっと緊張する。

「…、ということは…、自分では、学習に対して真剣には取り組めてない、って思ってるんだね。」
「はい、クラスのみんな、すごくがんばっていて、私なんか…。」
「真剣に取り組めてない…、えっと、何か理由とか有りますか?」
「それは…。」

それは、ここで話すようなことじゃない…、矢野さんの調査とは関係ないだろうし…。
私の問題は、どうにもならないことだから…。
ここまで、何となく聞かれるままに答えたけど…。

「梶田さん、話しにくいことだったら私たち席をはずそうか?」
「矢野さんは、こう見えても結構頼れる人だからね。」
「おい、省吾、こう見えてもはないだろ。」
「…、でも学習に直接関係することでもなくて…。」
「はは、学習に関係ないことも、むしろ教えて欲しいかな。」
「えっと…。」

今まで人には話してこなかった。
でも…。

「父の会社が…、あの…、おもわしくなくて…。」
「あっ、そうだったの…。」
「だから、進学は無理かなって…。」
「う~ん…、そうなのか…。
そうすると…、とりあえず今回の話しはここまでで…、後でもう一度、他の仲間を交えて話しをしたいけどいいかな?」
「は、はい。」

何か急に終わった。
でも、意味深…。
続きがあるのかな…。

「梶田さん、美咲とやってて、俺は矢野さんたちと話しがあるから。
美咲、頼むな。」
「うん。」

省吾さんたち出ていってしまった。
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F組三国志 10-2 [F組三国志 10 梶田梨乃]

「梶田さん、今日の学習予定は?」
「まずは英語のつもりで…。」
「私も英語、梶田さん、英語はどう?」
「そうね、テキストからの問題ならなんとかなりそうなんだけど。
先生オリジナルの文章からって出題もあるみたいだから…。」
「実力問題が出るのよね~。」
「先輩たちは、毎回そこで苦労してるって、栗原さん言ってた。」
「一夜漬けじゃどうにもならないってことね。
ね、椅子と座布団、どっちがいい?」
「えっと、座布団の方が落ち着くかしら。」
「じゃあ、隣の部屋へ行きましょう。」
「ふふ、ほんとにご自身のお宅みたい。」
「はは、まあ、省吾のお父さまお母さまの、お許しは得てありますからね。」
「ほんとに結婚するんですか?」
「えっ? あ、そうね、できれば…。」
「へ~真剣なのね。」
「うん、さ、英語やりましょ。」

秋山さん、本気なんだ。
そりゃあ、省吾さんだからね。
大人で、頼れる人、他の男の子たちとはずいぶん違う…。
あっ、英語やんなきゃ…。

…、ふう、予想問題の再確認できた。
でも、実力問題がな~、去年の問題も時間があれば、決して難しすぎるって感じじゃないけど。
結構量があって大変そうだな…。

「美咲ちゃん、そろそろお昼だけどどう?」
「あっ、早川さん、そうね、梶田さんは、ごはん早めがいい? 遅めがいい?」
「私はどちらでもいいです。」
「じゃあ、ゆっくり目にしようか。」
「はい。」
「早川さん、私たちは後でいいです。」
「了解、どう? 勉強の方、はかどってる?」
「私はまあまあかな、梶田さんは?」
「一通りはできたけど、後は実力問題に向けてってとこです。」
「英語か、あらっ、美咲ちゃんは英語の本を読んでたの?」
「ええ、省吾が選んでくれたの、小学生の頃に読んでた本なんだって。
ふふ、省吾の六年生頃の字で単語の意味とかのメモ付き、なぜか高校一年生の私に調度いいみたい。」
「へ~、省吾くん、英語も…、英才教育ってことか。」
「ふふ、ご本人は門前の小僧って言ってたけど。」
「何? それ?」
「門前の小僧習わぬ経を読む、家庭環境のおかげなんだって。
赤澤のお父さまは、このご自宅に大学関係の人をよくお招きになるそうなの。
その中には海外からの留学生もいてね。
だから本当にちっちゃい頃から英語にも接していて、はは、中一の英語ほどかったるい授業はなかったんだって。」
「そっか、環境か、後で省吾くんにも直接聞いてみようかな?
あっ、そうそう、梶田さんだったわよね。」
「は、はい。」
「食後にもう一度面接お願いしてもいいかしら?」
「はい。」
「じゃあ、二人は十二時半過ぎからゆっくり昼食にしてね。
まずは飢えた男の子たちのおなかを満たしてくるわ。」
「はは、よろしくお願いします、早川さん。」

省吾さんは英語もできるんだ。
う~ん、家庭環境か…。
うちだって…、父さんは、大きくないけど会社の経営者だし。
恵まれてるって感じてたけど…。

「梶田さんも、本読んでみる?」
「あっ、省吾さんの英語の本ですか?」
「ええ、見せてもらえますか。」
「こっちは、もう読んだからどうぞ。」
「ありがとう。」

へ~、そんなに難しくないけど、うん、高一に調度いいレベルかも。
これが省吾さんの小学六年生の頃の字か、ふふ、字だけなら普通の小六かな。
でも、ちゃんと分かりやすくしてある。
さすがだなぁ~。
私んちにも、お母さんが買ってくれた教材色々あるけど…。
最近、チーム正信の人たちと学習してると、すぐにポイントはどこだって話しが出てくる。
大切なところ、重要なところ…。
英語学習のポイントって考えもあるのね。
実力つけるなら、色々な文に接するってことなんだろうな。
直接テストの点に結びつかなくても。
あっ、ということは秋山さんも、一通りの学習は済んでるってことか…。

…、この本、結構面白い。
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F組三国志 10-3 [F組三国志 10 梶田梨乃]

「じゃあ改めてお願いします。」
「はい、矢野さん。」
「で、こちらが、須田沙里名さんと高山剛くん、俺たちの仲間ってとこだな。
少し紹介しておくと、須田さんはうちの大学じゃないんだけどね、大学の特待生なんだ。
で、高山はうちの経営学部。」
「えっと、須田さん高山、こちらが梶田梨乃さんだよ。」

えっ? 大学の特待生と経営学部生?
どういうことかしら?

「梶田さん、僕らは梶田さんちの事情を詳しく知ってる訳じゃない。
だけど、君の役に立てないかと思ってね。」
「は、はい、有難うございます。」
「須田さんの家は経済的にずいぶん厳しい状態なんだ、今もね。
でも、彼女は自分の力で大学に通ってる。
大学の特待生になるためにがんばったし、アルバイトもしてる。
あっ、特待生って知ってた?」
「はい、何となくは…、でも自分とは無関係かと思ってました。」
「君が本当に大学に進学したいと考えてるのに、お父さんの会社がどうにもならなくなったとしたら、考えに入れるべきことだと思うよ。」
「それで…、あっ、須田さん、ごめんなさいお忙しいのに。」
「ふふ、梨乃さんがあやまる必要はないのよ。」
「でも…。」
「須田さんは昼食だけでなく夕食もここで済ませていくしね。」
「はは、それじゃ、私、食い気ばっかみたいじゃん。」
「まあ、須田さんから色々話しを聞けば、学習にもっと前向きになれるかもしれないよ。」
「はい。」
「高山は、とりあえず呼んでおいた。」
「えっ? とりあえず、ですか?」
「君はお父さんの会社の事情、どれくらい分かってる?」
「えっと、特殊な技術を持ってる工場なんで、それほど大きくなくても今までは結構安定していたみたいです。
でも、ここのところ資金繰りが悪化したりとかで、詳しくは分かりませんが。」
「君がお父さんの跡を継ぐということは?」
「特にそういう話しは出てません。
弟が二人いますから…。
「でも、会社のことは直接君の人生に関わってくることなんでしょ?」
「はい。」
「大学へ進学するとしたら、何を専攻したいと思ってる?」
「まだ…、高校でそれを見つけられたらと思っていました。」
「例えば、君自身がお父さんの経営する会社のことを考えるってことはどう?」
「えっ、そんなこと思ったこともないです。」
「そりゃ、高校一年生だもんな。
でもさ、高校生だって、経営のこととかを学んだりしてもいいんじゃない?」
「そっ、それは…。」
「これは俺たちからの提案、まだ君の家の事情もよく知らないから、少々無責任な提案かもしれないけどね。
大学で経営学とか学んでいてもね、実際の経営に関われる機会なんて決して多くない。
でも、君のように経営者の娘なら、本人に意欲があって、親の理解が得られれば、本当に生きた経験が出来ると思うんだ。
本での知識と実際の現場の経験とは全く違うからね。」
「はい、あ、そうですよね…。
父も…、学校で成績優秀な子を雇っても…、現場の経験はないから研修が大変だって、よく言ってます。」
「もし、君が経営学とか学びたくなったりしたら、高山は喜んで力を貸すし、えっと、ちょっと厚かましいお願いなんだけど…、なあ高山。」
「うん、教えることで、自分の理解も深まるから力を貸すよ。
で、これは君のお父さんとの交渉になるんだけど、実際の経営状況とか研究対象として、お父さんの会社を見させてもらえないだろうかと思ってね。」
「う~ん。」
「矢野から君の話しを聞いてね…、君の手助けだけじゃなく、一つの会社の建て直しなんてことに関われたら自分にとって、すごくプラスになると思ったんだ、無理は言えないけどね。」
「みなさん…、私のこと…、私のため…。」
「はは、矢野さんたち一度に色々話しちゃうから、梶田さんとまどってるじゃないか。
梶田さん、まずは、須田さんから特待生のこととか聞いてみたらどうかな。
高山さんの話しは明日でも、テスト終了後でもいいからね。」
「は、はい、省吾さん、有難うございます。」
「じゃあ須田さん、お願い。」
「はい、省吾さん。
さ、梨乃さん行きましょ。
美咲ちゃん部屋は?」
「こっちよ。」

省吾さんが…。
なんか自分ではついていけない話しが…、でも自分のことなんだ、自分のためのことなんだ。
みなさん、私のために色々考えて下さってる。



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F組三国志 10-4 [F組三国志 10 梶田梨乃]

えっと、奨学金に特待生か、私が本当に大学目指すなら色々道はあるってことなのね。
それにしても…、矢野さんたちの調査、他の人たちは簡単なアンケートだったみたいなのに、私は個人面接で…、調査というよりもカウンセリング?
省吾さんや秋山さん、私のこと気にしてくれてたんだ。
ふふ、省吾さん、さりげに、大学生の人たちに指示出してなかったかな。
ほんとに、不思議な人だなあ。
今日行って良かった、心が晴れた。
そうだ、チーム正信にちゃんと入れてもらおうかな。
正信くんも林くんも誘ってくれてるし。
省吾さんも秋山さんも喜んでくれそうだ。
私もF組のほんとの仲間に…、うん、すごくなりたい。

でも、高山さんの話しどうしよう…。
父さんに話してみようかな。
高山さんはだめで元々だから、お父さんに頼んでくれないかって。
そういえば、他にも考えてることがあるって、帰り際に省吾さん言ってた。
あ~、テスト勉強もしなくっちゃ、う~ん、こうなったら全部すっきりしてから思いっきりやろうかな。
今日は父さん、家にいると思うし。

「今日はどうだったの、梨乃?」
「母さん、行って良かった。
英語とかはかどったしね。
大学生の人からもアドバイスもらえてね。」
「大学生も来てたのか?」
「うん、お父さん、でね…。
私、経営学とか学んでみてはどうかって勧められた。」
「そうか、経営学か。」
「実はね…、うちのクラスに赤澤省吾、秋山美咲ってカップルがいてね。」
「うん。」
「二人でF組を引っ張っていてくれてるの。
で、二人がね、私がちょっと悩んでいたことに気付いて、大学生の人に話しを持ちかけてくれたみたいでさ。」
「すまんな、進学のこととか、会社の調子がよければお前が悩むことじゃなかったのに…。」
「ふふ、でも大学へは奨学金制度もあるし、がんばって特待生って選択肢もあるって。
省吾さん、私のために特待生の大学生の人、呼んでくれたの。」
「えっ、わざわざか?」
「そうみたい、色々教えてもらったから、がんばる気になったわ。」
「いい男なのか?」
「はは、そうね、とっても、ただ残念ながら秋山美咲さんとアツアツだから…。
でね経営学部の人からの提案っていうか、お父さんへのお願いってことなんだけど。」
「ああ。」
「お父さんの会社の経営状況とか研究対象としたいって、もちろん手伝えるところは手伝うからって。」
「えっ、どこの学生?」
「そう言えば矢野さんたち、大学の名前言わなかった…、でも、え~と、省吾さんのお父さんの大学なんだから…、国立だった筈ね。」
「そうか…、今、手詰まりな感じもしてるから…。
梨乃、返事は何時までに?」
「何時でもいいって言ってみえたけど。」
「そうか。」
「父さん、乗り気?」
「まあ、わらにもすがりたい状況だから…、でも、まだ余力はある、ぎりぎりになってからでは遅いし…。
きちんとした大学との繋がりはプラスになるんだ。」
「明日も勉強会行くけど。」
「そうか、よし明日は父さんが送って行って、学生さんたちと話しをしてみようかな。」
「うん、じゃあ、私、連絡入れておく、みなさん喜ぶと思うな。
私もがんばろ。」
「ふふ、梨乃のそんな笑顔、久しぶりね。」

へへ、そうかも、そうだ、省吾さんも紹介しなくちゃ、自分の彼氏って紹介できないのが残念だな…。
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F組三国志 10-5 [F組三国志 10 梶田梨乃]

「あっ、父さんここよ。」
「へ~、落ちついた、感じのいいお宅だな。」
「車は駐車場へどうぞって。」
「ああ。」

「あっ、省吾さんと秋山さんだ。」
「梶田さん、おはよう。」
「おはよう、こっちが父です。」
「おはようございます、今回は自分たちの取り組みに興味を持っていただけて有難うございます。」
「いや、こちらこそ、娘がお世話になってるみたいで。」
「さ、中へどうぞ。」
「なるほどな…。」
「えっ、どうかされましたか?」
「いや、娘から聞いてはいたが、普通の高校一年生とはずいぶん違うなって、省吾くんだったね。」
「はい、でも普通の高校生ですよ、自分は。」
「はは、私も人を雇う立場の人間、色々な若者と接してきたからね、大学生でも、ちょっと礼儀作法から勉強し直してこいってのもいるから…。
さすがに娘が惚れるだけのことはある。」
「ちょっと、お父さん!」
「あっ、失礼失礼っていうか、すかさず腕を組みにいくんだね、秋山さんは。
こりゃ、確かに梨乃が付け入る隙はなさそうだ。」
「も~、父さんったら~。」
「はは、梨乃さんは素敵な女の子ですから、ちゃんとした彼氏を見つけてきますよ。」
「それはそれで、父親としてはだな…。」
「もう、大切な話しをしに来てるんだからね、父さん!」
「すまんすまん、そうだったな。」
「まあ、とりあえずはお茶でもいかがです、両親も紹介させて下さい。」
「うん、ありがとう。」

父さんたら…、省吾さんのこと気に入ったみたい、でもね~。
あっ、矢野さんと高山さん…、省吾さんのご両親か…。
父さん、型通りの挨拶してるな~。

「娘から話しは聞いたのですが、今一つ、そうですね、組織的なこととか、よく分からないのです。」
「それは、自分から、お話しさせて下さい、自分は矢野正也、今回の取り組みのサブリーダー的立場にあります。
まだ、動き始めたばかりなんですが、我々のチーム赤澤には大学や学部を越えての参加が見込まれています。
現時点ではまだ私的な取り組みで、公的なバックアップはありませんが、すでに教育系では十二名が動き始めています。
経営学部経済学部からも九名が、その他の学部にも状況によって参加したいって学生が複数います。
自分たちの目的は色々有りますが、大きな柱としては教育の研究ということが有ります。
今回は卒論などに向けて共同調査の一環として、梨乃さんたちのクラスから聞き取り調査などをさせていただいております。
ただ、それは我々の一つの展開でしかありません。
自分たち、大学生が力を合わせて何かを…、いえ、力を合わせてみることこそが我々の目的と言えます。
今日我々をとりまく社会環境は複雑になってしまって、また就職等を考えると前途多難、そういった問題を違った角度から見直していく、そうですね学部とかを越えてですね…。」

「う~ん、何やら難しい取り組みなんだね。」
「はは、そうでもないんですよ。」
「うん、省吾くん。」
「大学って色々な学部があって色々な研究をしてるじゃないですか。」
「ああ、確かにそうだね。」
「専門性もあるから個別の研究ということが一般的なんですけど、既存の枠組みを越えて協力して、次へのステップにしていこうってことなんです。」
「っていうと?」
「具体的にお話しさせていただきますと…。
そうですね、梨乃さんが何かの問題を抱えているんじゃないかって、美咲が気付きました。
そこで矢野さんたちに面接をしていただいたのですが、その結果から、まず梨乃さんの心の不安を和らげてくれるであろうというこで須田さんに協力をお願いしました。
須田さんは法学部なんですけど、えっと、昨日までの梨乃さんには一番的確なアドバイスをして下さると思ったからです。
奨学金のこととか特待生のこととか、須田さんは身を持って経験してみえますから。」
「そうか…、梨乃は、最悪の場合を考えていたんだな…。」
「でも、根本的な解決ができれば、それに越したことは有りません。
と、いうことで、経営学部の高山さんに声をかけさせていただきました。
経営学の視点から梨乃さんの抱えている問題を見てもらうという面もありましたが、高山さん自身の研究にもプラスになる可能性も考えてのことです。
つまり、経営学を学んでいる立場から、経営者の娘である梨乃さんへのアドバイス、さらに…、とても差し出がましいことなんですが梶田さんの会社を第三者の視点で見たら、違った可能性も見えてこないか、ということです。
高山さん自身は、会社経営の建て直しということに強い関心を持ってるんです。」
「うん…。」
「現時点ではここまでなんですが、梶田さんさえよろしければ、工学部の人にも声をかけて何かしらの協力を、まあギブアンドテイクが原則ですが、そんなことも考えています。
そうですね、就職前に実際の工場、現場を体験しつつ、改善できることの発見とかですね…。
梶田さんの会社は、特殊な技術をお持ちということですから、その面から興味を持つ人が出てくるかもしれません。
もし今後、法的な問題が出てきたら法学部の人の協力も得られます。
何にしても、みんなまだ学生で、自分の専攻している分野でも素人同然なんですけど…。
素人なりに実際の現場で貢献できる場があれば、大学の研究室でも学べないものが得られるのではないかと思っているのです。」
「なるほど…、そういうことですか…、赤澤先生、うちの会社は今、微妙な状態で…、でも省吾くんから話しを伺って…、ギブアンドテイクででも、先生のお力にすがりたいと思うのですがいかがでしょうか。」
「いや、私は矢野くんたちにアドバイスする程度でしか関わってないからね。」
「えっ? じゃあリーダーは?」
「あっ、僕らのリーダーは省吾なんです。」
「えっ、でも。」
「省吾をリーダーにして一つの組織を作ろうって自分たちで言い始めたことなんですけどね、それに乗ってくれた、もしくは乗りたがってる連中がうちの大学には結構いましてね。
赤澤先生の許可もちゃんと得てありますし、はは、美咲ちゃんの許可も得てのことですから。」
「ひょっとして、私の目の前にいる少年は、ただものじゃないってことかな?」
「も~、矢野さんが大げさに言うから、自分は普通の高校生ですって。」
「はは、誰もそうは思ってないな。」
「高山さんまで…。」

うわっ、省吾さんって…、大学生も動かすような人だったんだ。
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F組三国志 10-6 [F組三国志 10 梶田梨乃]

高山さんは経済の専門用語? を交えて話しをしている。
私には良く分からないことばかりだ。
でも、父さんは、何か嬉しそう。

「ということは、チーム赤澤のみなさんは色々な形で、私の会社に協力して下さるということなんですね、省吾…、うっ、省吾くんなんて気安く呼べないな、えっと省吾さん…。」
「いえ、気軽に省吾、とか呼んで下さい、組織のトップが普通の高校生にへりくだっていてはマイナスになりますから。」
「自分もそう思います、まあ、矢野は省吾さまと呼ぶべきだと思いますけどね。」
「高山~!」
「はは、チーム赤澤が梶田さんの会社と連携できて成功したら大きいと思っています。
厳しい就職状況を抱えている大学生と、不況にあえぐ企業が力を合わせて困難を乗り越えることができたら、学生にとって良い経験となるばかりでなく、就職先が増えることになるでしょうし、梶田さんの会社にとっても、単に会社の危機を乗り切ったということだけでなく、優秀な学生を社員に迎え入れるきっかけとなるかもしれません。」
「う~ん、私もチーム赤澤の一員になりたくなってきたんだけど、どうだろう。」
「あっ、それはいいかも、な、省吾。」
「そうですね…、それで高山さんが動き易くなるのなら有りです。」

ええっ? ってことは父さんが省吾さんがリーダーを務めるグループの一員になるってこと?
それじゃあ、私は…。
う~ん…。

「私も、チーム赤澤の一員にしてもらえませんか。」
「梨乃。」
「父さん、私も勉強するから。」
「うん…、省吾くん、どうかな。」
「そうですね、梨乃さんにはまずF組のチーム正信に入って欲しいですけど…、チーム赤澤、プロジェクト梶田の一員として動いていただきましょうか、ね、高山チーフ。」
「了解、リーダー、梨乃さんのテスト明けくらいから梶田さんの会社を一緒に見させていただいて状況を把握していくということで、梶田さんいかがです?」
「お願いするよ、娘は会社のこと何も知らないからね。」
「省吾、結果は定期的に報告するからな。」
「おっけ~。
で、梶田さん、自分も一度は工場見学とかしたいのですが。」
「もう、大歓迎だよ。」
「えっと、美咲とかも一緒で構いませんか?」
「もちろんだ。」
「それで…、高山さんが調べて色々難しそうだった場合の、奥の手も考えているのですが。」
「えっ? どんな?」
「マスコミの利用です。
難しそうでなくても、梶田さんの判断で実行に移してもいいことなのですが。
厳しい就職状況を抱えている大学生と、不況にあえぐ企業の連携という話題をうまく提供できれば、テレビ局か新聞社が扱ってくれるかもしれません。
そこでの扱いが良ければ、取引先などとの交渉にプラスになると思うのです。
大学生だけでインパクトが弱ければ、それに高校生も協力しているというのも有りです。
クラスの仲間には画家もいますし、もちろん素人ですけどね。
でも会社のイメージアップにつながる何かができると思うのです。」
「マスコミか…、失敗したらかっこ悪いなんて考えている時ではないな。
うん、奥の手としてでなくても、実行可能なことがあるのなら、この際何でもやってみたいよ。
はは、リーダーが高校一年生というだけでも充分インパクトがあると思うけどな。」
「でも…、自分がリーダーという形はあまり取りたくないし、外には出したくないんです。
普通の高校生がリーダーでは、皆さんが低く見られかねませんから。」
「知識は高校生離れ、色々なアイデアを持っていて…、どこが普通の高校生なんだか。」
「いえ、自分は…。」
「省吾の頭の中は美咲ちゃんのことでいっぱいなんだよな。」
「はい。」
「はは、そういうことか、じゃあ今は普通の高校生ということにしておいてあげるよ。」
「お願いします。
あっ、矢野さん、F組が関係するとなると、プロジェクトFにも影響が出てきますから協力お願いしますね。」
「ああ、了解。
プロジェクトFも思わぬ展開になりそうだ。」
「チーフが矢野で大丈夫か?」
「高山、俺はな…。」
「大丈夫ですよ高山さん、サブに早川さんとかも就いてくれてますから。」
「矢野、省吾のリーダー論とかはすごいからな。
赤澤先生やおじさんたちとの討論で鍛え抜かれているから、しっかり勉強させてもらえよ。」
「あ、ああ。」

省吾さん、大学生にも教えてるってこと?
す、すごい、普通の高校生な訳がないわ。
そう言えば須田さん、飛び級制が日本で充実していたら、省吾さんはとっくに大学生だったかも、なんて言ってたわね。
足元にも及ばないけど、私もがんばらなくっちゃ。
まずはテストで結果を出すぞ。
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