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F組三国志 6 奥田麻里子 ブログトップ

F組三国志 6-1 [F組三国志 6 奥田麻里子]

「なあ省吾、そろそろ次の企画のこと話しても良いんじゃないか。」
「そうだな、麻里子にも頼みたいことあるし。」
「えっ? なに?」

次の企画ってなによ?
聞いてないわ。
彼らのことだからまた楽しいことかしら。
で?

「ちょっとしたお遊びなんだけどさ。」
「うん。」
「数学の小テストとか、定期テストとかでね、団体戦をやってみたら面白いと思ってさ。」
「はぁ~? テストの団体戦?」
「うん、うちは進学校だからテストとか避けて通れないよね。
で、どうせテスト受けるならゲーム感覚にした方が楽しいと思うんだ。
テストは基本個人戦だけどさ、グループで協力したり競ったりしたら少しは楽しくなるんじゃないかと思ってさ。」
「う~ん、でもどうやって?」
「俺的には三つのグループって考えてるんだけど、無理なら二つのグループを作ってね。
簡単な方法なら全員の平均点で勝負。
複雑なルールの案も色々あるけど一回目はシンプルな方が良いとも思ってる。」
「なるほど、で、勝ったら?」
「そのあたりはバツゲームとかみんなで考えたら楽しいと思うんだけど…、夏休み前とかにみんなで集まって遊ぶ機会があっても良いと思ってるんだ。」
「悪くはないわね、で、私は?」
「一つのグループのリーダーをお願いできないかと思ってね。
最初は哲平と美咲って考えていたんだけど、美咲と俺はゲームの運営的な立場になってみんなをサポートしていきたいと思ってさ。
まあグループに関係なく学習の手助けをするって立場かな。
それと哲平と麻里子では数学の力とか近いからね、良きライバルになれると思うんだ。」
「具体的には何をすれば良いの?」
「一回目は、とにかくみんながんばろっ! ってだけでも良いよ。
二回目以降は一回目の経験を踏まえてより楽しく、より効果的にしていきたいけどね。」
「それならやっても良いわ、でもリーダーとして哲平のライバルってのはちょっと荷が重い気もするわね。」
「多少の根回しはするから…、あまりにもアンバランスになりそうだったら、美咲もグループにって選択肢を用意してるけど、麻里子はもっと自信を持っていいよ、将来の編集長さん。」
「ありがとう、がんばってみるわ。」

「問題は…。」
「なに? 美咲?」
「遠足に続いてまたしてもグループ分けの問題があるのよね。
省吾の言う、三つの方が面白いと思うし。」
「う~んと、それなら鈴木正信、彼をリーダーってどうかな?」
「麻里子、彼のこと詳しいの?」
「うん、席、近いから話すことあるんだけどさ、真面目で成績も良さそう、今は目だってないけど中学生の頃は生徒会長もやってたそうよ。」
「へ~、それは知らなかった、明日にでも声を掛けてみるよ、な、哲平?」
「おう。」
「それからね、今日、学習の時間に、覚えるときのポイントはねって、話したろ。
それは教える時のポイントでもあるからね。
そして、教えることは自分の学習したことの再確認にもなるんだ。」
「省吾、なんか色々企んでいそうね。」
「いや、企みなんて、美咲と俺をボートに乗せようなんてことに比べたらかわいいもんだよ。」
「ははは、根に持ってる。」
「まあ、俺たちの結婚式にはみんな呼んでやるよ。」
「ははは、そこまで開き直ったか。」
「かわいい企みとしてはね、F組がいじめのない楽しいまとまりのあるクラスになって、且つ学力面でも他のクラスを寄せ付けず、スポーツ大会で優勝してだな。」
「欲張りすぎ~、ぜんぜんかわいくないわ。」
「ははは、でも俺は省吾の考えに乗ったんだ。」
「美咲には聞くまでもないわね。
でも、三つに分けて、まとまりのあるクラスになるのかしら。」
「グループ同士も協力しあって良いし、そんな雰囲気を作っていけると思ってる。
だって、哲平と麻里子はもう友達だろ、知らない内に団結してたし。」
「ふふ、確かに。」

「鈴木と調整できたら、すぐにでもみんなに話してグループを作ってもらおうかな。
もちろん自由参加だけど十人程度で三グループって規模にはしたい。」
「遠足がうまくいったから、流れは良いと思うわ。」
「そうだね、平岩は、どう?」
「うん、参加したい、奥田さんのグループに入れてくれるかな。」
「麻里子、一人ゲットじゃん。」
「私は哲平さんのグループ。」
「おっ、哲平、静さんゲットか。」

なんかまた楽しくなりそうね。
平岩、私のグループ? う~ん微妙だなぁ。
元々岡崎とかいじめてたのよね。
? 岡崎、私のグループに来そうじゃない?
あ~、やばいかも…。

F組三国志 6-2 [F組三国志 6 奥田麻里子]

キンコンカンコ~ン♪  キンコンカンコ~ン♪

ふ~、やっとお昼か、おなかすいた~。
おべんと、おべんとうれしいなっと。

「あやか~、早く~、先に食べちゃうわよ。」
「あ~ん、待ってよ~。」

「では。」
「いっただっきま~す。」

「麻里子、昨日省吾さんちへ行ったんでしょ。
どうだった?」
「ふふ、それがね、美咲ったらね…。」

昨日のことを話し始めたら、昼休みだけで済む訳がないのよね~。
なんか楽しかったな。
ふふ、でも、ちゃんとやるべきことやんなきゃね。

「でさ、我らが省吾さんからの提案でね…。」

あれっ?
黒川淳一? 
私に用かしら?

「ねえ、奥田さん。」
「なに?」
「テスト団体戦のことなんだけどさ。」
「あっ、そうか哲平に聞いたんだ。
こっちも今説明を始めたとこなんだけどね。」
「俺、このグループに入れてくんない?」
「えっ? だって哲平のグループじゃないの?」
「うん、まあ仲良いんだけどさ、今回はゲーム感覚だからさ、林、林徹がね、俺たちが分かれて勝負っての方が面白いんじゃないかって言い出してさ。」
「うん。」
「で、ジャンケンして勝ったから、俺が奥田さんのグループを選んだんだけど、どうかな?」
「ふふ、そっか…、ジャンケンで勝って選んでくれた人を追い返せないわね。
おっけいよ、っていうより、よろしくね。」
「じゃあまた。」
「うん。」

「麻里子、どういうことなの?」
「省吾さんからの提案はね…。」

「そっか、それで、黒川くんが麻里子のグループに入ったってことは私も…。」
「そうね、由香とあやかと別グループというのはさみしいけど、省吾さんの考えからすれば、私らも分かれた方がベターかもね。」
「由香はどっちのグループへ行きたい?」
「そうね、林くんって結構面白そうじゃない?」
「じゃあ、私は哲平くんのところにするね。」
「あらっ、あやか、哲平のところであんまし嬉しそうじゃないのね。」
「だってさ、哲平くん、最近静さんと親しそうじゃない」
「う~ん、そうかも。」
「静さん無口な人だけど、あの二人何話してるんだろう?」
「そうね…。」

ふふ、お二人さんは遠足のまとめ資料作成の打ち合わせとかね…。
でも、雰囲気悪くなかったな、あの二人。

「麻里子。」
「ああ、美咲か、お昼のデートは終わったの?」
「うん、それでね、鈴木くんも了承してくれたから、みんなに発表するからね。」
「了解。」
「でね、リーダーが承認した人から、ここに名前を書いてもらうようにしといたからね。」
「なるほど、あっ、もう書いてある、私のところは、平岩周と黒川淳一、まずは男子二人ね。」
「あれっ? 美咲、これって十三人が最高ってこと?」
「ええ、四十人マイナスニ人、割る三ってことよ。」
「そっか。」
「プリント配ってから、後ろに張っておくね。」
「うん。」

と、いうことはすぐプリントを配るのね。
ほんとに準備が早いのよね~、あの二人。
たぶんお昼のデートはプリントの準備だったんだろうな。

F組三国志 6-3 [F組三国志 6 奥田麻里子]

よかった~、私のところもちゃんと十一人になった。
私のとこだけ人数が少なかったらどうしようと思ってたけど…。

「ボス。」
「姉御。」
「? な、なによ? あんたたち?」
「ぼくたちのリーダーなんだからさ。」
「はあ?」
「やっぱり、奥田さんって呼んでもつまんないし。」
「岡崎、あんた何、考えてんの?…、あなたたち、そんなことより数学の方大丈夫?」
「う~ん、あっしはそれなりでやんすが、岡崎はたぶんだめでげす。」
「はいはい、じゃあ、星屋くんには岡崎の指導お願いね。」
「姉御~、ちょっとそれじゃあ…、あっしの立場ってものが…。」
「? あん? ふ~、じゃあ…、星屋~、岡崎のこと、ちいとしごいちゃってくれんかのぉ~。」
「へい、姉御、任せておくんなせえ。」
「そうそう、ここに省吾さまからいただいた参考資料もあるから、大切に使えよ。」
「へい、かたじけのうごぜえやす。」

はぁ~、私ったら何やってんだろ…。
星屋、ゲームの意味勘違いしてそうだし。

「ねえ、奥田さん?」
「何? 田中くん。」
「テスト団体戦で、勝ったらさ、俺とデートしてくんない?」
「で、田中くん、勝利に貢献できそうなの?」
「俺はだめだけど、黒川とかいるからさ。」
「あのね~! もう~、田中、岡崎とか使っていいから、グループの子集めて!」
「うん。」
「はい、今すぐ!」

まったくも~。

「姉御、揃いやした。」
「うむ、ご苦労、じゃなかった…。
みんなに話しておきたいことがあるの、テスト団体戦のこと勘違いしてる人もいるからよく聞いて。
テスト団体戦のこと、いい加減なお遊びと考えている人もいるみたいだけどね、私は勝ちにいきたいと思ってるし、それこそが団体戦の目的でもあるの。
私は哲平のような魅力もないわ、運動だって勝てっこない、でもねこのチームが団結したら、哲平にだって勝てると思っているの。
まぁ、テスト団体戦というスポーツと考えて欲しいわ。
特に数学だめな人、手を挙げて…。
五人か…、省吾さんからの参考資料は人数分コピーしておいたから、自分が何とかなりそうな人は資料も活用して苦手な人たちの面倒もみてあげて。
学習する時は、まず、その内容のポイントをつかむ。
そのポイントは教える時のポイントでもある。
そして、教えることは自分の学習したことの再確認。
これが省吾さんの教えなの。
私に聞きにきてくれても良いわよ、省吾さんのおかげでそれなりに理解できたから。
で、いい加減な気持ちの人は、即、チームから出てって欲しい。
最初は哲平たちのグループに人数でも負けたくないと思ったけど、もうそんなことどうでもいいから、勝ちに行く気のある人だけ残ってね。
はい、解散!」

ぱちぱちぱち…。

えっ、拍手?

「かっこいい~。」
「俺はついていくぜ!」
「私も。」

F組三国志 6-4 [F組三国志 6 奥田麻里子]

「え~、第一回数学小テスト団体戦の結果を発表します。」

「おっ、結果発表か。」
「俺、がんばったんだけどな。」
「ちょっと、ワクワクね。」
やることはやったから、後は結果を受け止めるしかないのね。

「個人の結果はいつものように後ろに張り出されます。
が、今回は先生にお願いして、私と省吾だけ先に見せていただいて、グループごとに集計させてもらいました。
平均点で勝負ですが各チーム十一人となりましたので、合計点も発表します。
一人十点満点、合計百十点中、チーム正信…。」
「うわっ、どきどき。」
「九十点、平均八点一八。」
「えっ、いつもの平均って三点とか、四点じゃなかったか?」
「続いて、チーム哲平…。」
「おお、神様~。」
「はは、哲平ったら。」
「九十二点、平均八点三六。」
「おお~。」
「そして、チーム麻里子…。」
他が良過ぎたわね…。

「九十三点、平均八点四五。」
「うわ~、やった~!」
「姉御やったでござるよ。」
「一点差か~。」
ほんと、なんか信じられない…。

「ちなみに学年の平均点が四点台ということを考えると、我がF組はダントツということになります。」
「お~、やったぜ。」
「すでに職員室でも話題になっているそうですが、事前にお願いして監督を強化していただきましたので、先生からは、不正の形跡はない、との言葉もいただいております。」
「当たり前だよな、スポーツマンシップにのっとり、だったからね奥田キャプテン。」

「では、勝利チームリーダー、奥田麻里子さんから一言。」
「え~、っと、これだけの接戦だと、運良く勝てたという気もしますが、まずはチームのみんな有難う。」
ぱちぱちぱち…。
「今回、まあ省吾さんの企画に乗ったって感じなんだけど…、数学小テストに苦しんでいたり、投げ出したりしてた、そんな私たちを、ここまで引っ張ってきてくれた省吾さんに、我らが省吾さんに感謝です。
省吾、有難う。」
ぱちぱちぱち…。
「でも、省吾は私のものですからね。」
「ははは。」
「それから、今回の団結をここだけで終わらせないで、これからもみんなでF組を盛り上げていけないかしら。」
ぱちぱちぱち…。

正直、勝てるとは思ってもいなかった。
みんながんばってくれた。
でもこれからが大変なのかな…。

F組三国志 6-5 [F組三国志 6 奥田麻里子]

「ボス、おはようございます。」
「岡崎、ボスはやめて!」
「姉御、今日もお元気そうで何よりでやんす。」
「あんたもね~。」

はぁ~、岡崎は…、トレードに出せるなら出したいわね…。
星屋は…、星屋は少し変わってるけど、疲れることもあるけど…、おたく系だから…。
でも今回がんばってくれた気がする…。
岡崎、平岩、田中と結構面倒みてくれてたし…、単にお遊び気分だけで企画に乗ってくれてた訳じゃないと思う…、私の指示ですぐ動いてくれてたし…。
頭、悪くないんだろうな…、でも…、よく分かんない奴なのよね…。
今度、省吾たちに話してみようかな…。

「おはよ、奥田さん、なにぼ~っとしてるの?」
「あっ、鈴木くん、おはよ…、ちょっと考え事しててね。」
「はは、その上履き、誰のかな~。」
「あ~、いっけな~い、え~っと私のは…。」
「チームのメンバーからは姉御とも呼ばれるお方がね~。」
「あ、あれは、星屋…、星屋くんが勝手に呼んでるだけで、私は、そんな…。」
「まあ奥田さんが頼れるリーダーだってことなんだろうな。」
「そんなことは…。」
「そんなリーダーに、ちょっとお見せしたいものがあってね。」
「何?」
「えっとね、あっ、哲平だ、お~い、哲平。
哲平にも見てもらいたくてさ。」
「おはよ鈴木、なんだい?」
「こんなん作ってみたんだけどさ、どうかな?」
「どれどれ…。」
「地図? っていうか…。」
「あっ、F組の勢力図?」
「第一回数学小テスト団体戦の結果を簡単なイメージ図にしてみたんだ。」
「チーム麻里子が目立ってるのね、あら、メンバー全員の名前を入れて…、あらら、チーム哲平とチーム正信、小さ過ぎない、メンバーの名前の文字も小さいし。」
「団体戦の結果をデフォルメしてみたってとこ、ちょっと面白くないかな、これを見て俺たちは、打倒『チーム麻里子』で団結するって感じでさ。」
「いいね、でさ、はは、真ん中のハートは、笑えるな。」
「よね~、まあ確かに美咲と省吾の名前がここになかったら嫌だけどね。」
「でしょ、後さ、これにタイトルとか付けたいと思うんだけどさ、第一回数学小テスト団体戦ではちょっと味気ない気もしてさ。」
「そうね…。」
「はは、F組三国志ってどうだい?」
「三国志か…。」
「で…、このマップは、え~と第二シーズンってことかな?」
「えっ? 第一回じゃないの?」
「ああ、うん、二人にも知っておいて欲しいことなんだけどね。」
「うん。」
「ことの発端は、美咲が省吾にF組のいじめについて相談したことに始る、でね…。」

そうだった、美咲が省吾と付き合い始めた頃に聞いたな。
いじめないグループ作りだったっけ。

「…、で、遠足の企画でさ…。」

「そうか、班がすぐ決まったのは、哲平のグループと秋山さんのグループが裏で動いていたからだったのか。」
「ちょっと、裏で動いてたから、鈴木には黙っててごめんな。」
「いや、俺もその時点では、全然動けなかったと思うから、気にしないでくれよ。」
「有難う、で、結果としてだな。」
「うん、それは俺にもわかるよ、最近は森もおとなしくなったっていうか、おとなしくなるしかなかったって言うか…。
富岡は俺のグループに入りたいって言ってきてるし、平岩はすでに麻里子さんのところだから、あいつの仲間って誰が残ってる? 今、下手に目立ったら、いじめられるのは自分の方だって分かってんじゃないのか。」
「はは、だよな。
何にしてもさ、遠足以降、団結力が高まったF組という訳なんだけど、始めに省吾から話しを持ちかけられた時、あいつは三国志みたいになんて言ってたんだ。」
「そういえば省吾、今回の小テスト団体戦でも三つのグループにこだわってたわね。」
「なんでもバランスが取り易いそうだ。」
「そうか、じゃあ、F組の勢力図も、そこから作ってみるかな?」
「まぁ、そっちは微妙な部分もあるからさ、とりあえずこのF組勢力図のタイトルをF組三国志にして完成させてくれないかな。」
「うん。」
「第二回小テスト団体戦で、勢力状況がどう変わるのか、その後の定期テストでって、みんなが思ってくれたら励みになると思うんだ。」
「ふふ、チーム麻里子しか見えなくなるんじゃない? 他のチームは虫眼鏡を使って探して下さいってことになってね。」
「はは、俺を甘くみるなよ、顕微鏡サイズまで縮小されて泣くなよ麻里子。」
「ははは、そうなったら、俺がなぐさめてあげるかな。」
「おいおい、鈴木はそっちに付くのか、打倒麻里子で、団結しないとやばいかもしんないのに。」
「あいにく俺はフェミニストでね。」
「そ、そうか、ならばまとめて倒してやるか。」
「ふふ、競ったり協力したり…、そうだ鈴木くん、これは完成するまで、省吾と美咲には内緒ね。」
「うん、了解、真ん中のハートをもう少し印象的にしたいしね。」
「でもさ、あいつら開き直り過ぎだよな、からかう気もおきなくなってきたよ。」
「そんな二人した張本人は、哲平じゃないの?」
「いや、麻里子でしょ。」
「ははは。」

F組三国志か…、私たちの青春の一ページがそこに刻まれていくってことなのかな。

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