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権じいの村-13 ブログトップ

エピローグ-1 [権じいの村-13]

「権じい、おっはよ~。
理香、私達が一番乗りみたいね。」
「まぁ、集合時間まではかなりあるからね。
このみに誘われなかったら、私、まだ寝てたかも、でも朝の空気がおいしいわね。」
「ふふ、久しぶりに来ても、ちゃんと権じいが出迎えてくれて…、やっぱ私の故郷だなぁ~。」
「はは、でも、ずいぶん変わったでしょ?」
「そうよね…、初めて来た時は…、何もない寂しげな村って…。」
「建物もずいぶん増えたでしょ。」
「そうよね。」
「これでも、ここだけに集中し過ぎないようにしてるんだけどね。」
「えっ? どうゆうこと?」
「過密状態にならないように周辺地区へも施設を分散させているってこと。
バランスを考えてるってことよ。」
「そっか。
それにしても、ずいぶん変わったな~。」
「そりゃ、このみが二児の母になるぐらいだもの。」
「えへっ。」
「どうなの、英二さんとは?」
「どうって? 後から子ども達連れて、上がって来ることになってるけど。」
「特に問題なしってことか。」
「うん…、ここへ手伝いに来てる時に知り合って…、やっぱ慶次さんのおかげかな…。」
「はは、あの頃は慶次さまが総理大臣になるなんて思いもしなかったよね。」
「ふふ、子ども達が大きくなったらね、お母さんは白川先生と知り合いなのよって話して聞かせるつもりなの。」
「自慢にできるわよね…、はは、慶次さまだからね、前の総理大臣と知り合いだったとしてもなんの自慢にもならないけどさ。」
「子ども達のためにも、この国をより良い国にしていくのが私達の役目。
そして私の子ども達も、この国がもっと良い国になるようにと考えてくれるように育てていきたいと思っているの。」
「おお、このみも母になって変わったな。」
「へへ。」
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エピローグ-2 [権じいの村-13]

「吉田くん、権じいの下はやっぱ落ち着くな。」
「はは、高柳さんもですか。」
「市長になってからも問題が起こるとよくここで考え事をしていた。」
「来週は、また慶次さんと、ここで会合の予定です。」
「うん…、会議室でもなく料亭でもない、ここで、権じいの下で国を動かす話しをしていることの意味は大きいと、最近強く思うようになったよ。」
「どういうことです?」
「ここで慶次たちと話し合って来たから、自分達が何のために働いているか、ぶれなかった気がするんだ。
目の前の自然、山村の暮らし、これを守っていくこと、ここで話し合っていたから私達の挑戦は道をそれずにに続いていると思うんだ。
権じいに見守られてな。」
「慶次さんはそれも考えて…。」
「たぶんな、まぁ慶次の奥はまだ私でも掴みきれていないけど。
だからこそ、兄として尊敬している。」
「それにしても…、一国の総理を続けておられているのに俺達への態度は初めて出会った時のままですよね。」
「ああ、だから支持率も高いままなんだと思う。
政策的に難しい判断も色々あったけどな、国民の反対も当然というようなのも…。」
「ですね。
でもここで高柳市長の下、実験的取り組み、試験運用など国政レベルで実施される前に試行錯誤の機会があったことは大きかったと思っています。」
「ああ、それこそが私の役目と思っているし、ここの市民もそこを充分すぎるほど理解してくれている。」
「それは、高柳さんが尊敬されているからですよ。」
「はは、明日どころかその日の生活にも困ってた頃もあったのにな。」
「だからこそ、ぬくぬく育ってきたきた政治家とは全く違った視点で市政ができて…、二世議員なんて糞食らえだな。」
「はは。」
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エピローグ-3 [権じいの村-13]

「お前、移住決めたんだって?」
「ああ、佐藤、とんでもなく辺鄙なとこだよ。
ほんとに何にもなくてさ、そこに村を作るんだ。」
「よく決意したな。」
「だって、面白そうじゃないか
まず現地調査、次に一期工事の概要決定、そして工事着手、それと平行して移住予定者の相互交流。
大変なことも色々あるだろうけど、開拓者として、今まで経験したことのない挑戦なんだぞ。
まぁ最初はさ…。」
「うん?」
「新党宇宙の党員には軽い気持ちでなったんだ、何か今時~、みたいな感じだったからさ。」
「ああ、俺もさ。」
「でも、最近は俺達って日本史に残ることに参加しているんだって気になってきてさ。」
「そうだよな、戦後の高度成長時代から核家族化が進み、さらには隣に住んでる人の顔さえ知らないような暮らしぶりになって、自己中な奴が増えて…、まあ俺もその一人だけどな。」
「はは、最近はそうでもなくなってきたと思うぞ。」
「へへ、ちょっとは気にしてるからな。」
「しかし慶次さんが総理になられてから、色々変わったよな。」
「ああ、それから色々教えられた。
物の値段なんて安ければ良いって考えてたけど、その裏に低賃金労働があったり、正社員でも過激な労働環境があったり、介護の現場で働く人が、大変な仕事をしている割には低賃金だったりとかさ。」
「で、ずる賢い奴らは、そんな中でうまく立ち回って高収入だけど、要領の悪い連中は、その食い物にされてるだけだったんだよな。」
「自由競争社会が限界を越えて、人に優しくない国になっていた。」
「俺だって自分が楽できて楽しければって思ってたさ。
でも慶次さんからの色々な提案を自分なりに考えている内に自分が変わってきた気がするんだ。
この国をより魅力溢れる国にしていくのは、あなたなのです、って言われた時には、まじで考えたよ。」
「俺もだ、それにしても、慶次さんが総理になって日本を変えるって言った時には、ここまで日本が変わるとは思ってもみなかった。」
「そうだよな、単に行政のシステムを変えるということではなく、人の心まで変えるとはな。
それも強制ではなく、提案やお願いだったから自然と心に入った。」
「ああ、宗教ということでもなく論理的な、お話しだからな。
でもさ、移住するとしたら、お前の結婚願望の方はどうなるんだ?」
「はは、開拓者魂を持っているのは野郎ばかりじゃないってことさ。」
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エピローグ-4 [権じいの村-13]

「えっと…、明日の講義に向けて目を通しておくように言われたのは…。
うん、これだな…、白川総理就任から間もない頃、学生対象に話された内容か…。」

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「皆さん、今日は少し難しい話をさせていただきます。
今後の政治の方向性に関することです。
まず、そうですね…、昔、ソ連という国が有りました。
それが社会主義体制、計画経済がうまく行かなくなって現在のロシアなどに分かれ、経済の仕組みもずいぶん変わりました。
一方、資本主義国日本、最近の自由競争社会は行き過ぎた競争原理のなれの果てと言っても良い姿になってしまって、貧富の差を増大させ、幸せを感じられない人の率をうんと増やすことになってしまいました。
我が国の戦後の経済は自由主義ながらも、国による規制もあって、ある程度のバランスが取れていたと思います。
しかし、規制に問題があったり、安易な規制緩和策が取られた結果、雇用情勢はひどいことになってしまいました。
また、利益ばかり追求して、人件費をどれだけ削れるかが企業トップの命題かのような風潮が広がってしまい、結果、社員に優しくない企業ばかりになってしまいました。
この現状を踏まえ、私達はこの国に新たな経済社会を構築しようと考えています。

この取り組みでは、すでに色々な問題点も把握していまして、簡単なこととは考えていません。
しかし、現状からの脱却には小手先の政策変更では追いつかないと考えています。
これから我々が行おうとしていることには大きな反対運動も起こるかもしれません。
でも、大きくバランスを崩してしまったこの国を立て直していくには、大きな試行錯誤も必要ではないかと思っているのです。

その第一弾としてガソリン価格を全国一律とし価格競争を禁止します。
もちろん景品等による実質的な値引きにも制限を設けます。
各スタンドの経営者の方々には価格以外の部分で競争していただくことになります。
輸入される原油価格は変動する訳ですが、その変動幅は基本的にガソリン税の税率変更で吸収します。
つまり、原油価格が安ければ、税収が増え、高ければ、税収が減ることになり、ガソリン小売業者の収入には影響しない、ということです。

さて、政治主導による価格カルテルを行うことには色々な意味合いが有ります。
まずこの業界の安定化です。
今までの自由な価格競争が個々のガソリンスタンド業者にとって大きな負担となっていたことは誰もが理解できることではないでしょうか。
この施策では消費者が安いガソリンを求めて、ということがなくなります。
距離的な利便性が重視され、地元での給油が主となるでしょう。
安いガソリンを求めて、余分なガソリンを使うということもなくなります。

単価は現状より高目に設定させていただきます。
これは今後のエネルギー政策、地球温暖化防止効果などを踏まえてのことです。
原油は限りある資源です。
化石燃料は、この百年程でずいぶん消費されてきました、それによって経済発展を得られた訳ですが、地球温暖化、今後のエネルギー問題など、課題を残してきた訳です。
ガソリンを使うことを控えて欲しいという思惑が有ります。
そして、この価格設定で得られた税収は化石燃料以外のエネルギー源確保の研究などに使われます。

ここで私達の方向性の柱の一つ、百年計画について話をさせていただきます。
今、私達が行おうとしていることには現在の経済活動の発展にマイナスになることも幾つか有ります。
しかし、私達がこの国の、私達の地球の百年後を見据えた時、我々の子孫に対して誇れる施策を実施していきたいと考えています。
かつてこの国の植林地は人の手によって守られてきました、子から孫へという形でです。
自分が植えた苗が成木となって伐り出される時、自分は生きていないだろう、でも自分がこの苗を植えることによって、自分がこの森を守ることによって子々孫々が栄えればという気持ちがあったからです。
しかし、安ければ良いという発想で他国の森を切り崩し、安価な木材を輸入してきたことにより、我が国の山が荒れてしまっただけでなく、地球の環境破壊をも引き起こしてしまいました。

私達はもうこれ以上、現在の目先の利益の為に、我々の子孫に負の遺産を押し付けることをしたく有りません。
研究者の中には。もう手遅れだと計算している学者もいますが…。
我々は、これからの十年を百年後の子孫に誇れる国作りの初めの十年と考えています。
今後色々な施策を百年計画として実行していきます、初めは当然混乱も予想されますがご理解いただけたら幸いです。

では、話しをガソリン価格の問題へ戻し…。」

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「そうだったんだ、小学生の頃だったな、親父がガソリンが高くなるって言ってた、でも、う~ん、あの時は親父が少し興奮ぎみに、ガソリンが高くなっても、これから日本はよくなるぞ、いや、良くしていくからなって。
自分も学校の授業で色々聞かされたけど、変革の原点は、ここだったのかな。

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「ガソリンの価格が上がるということは、流通コストが上がることになります。
当然インフレを想定しています。
いえ、インフレにならなければ運送業界は破綻するでしょう。
今までも企業は運送コストを抑えるべく運送会社へ無理を押し付けてきました。
また、自社の利益追求を目的として低運賃を展開して、その結果物流業界を疲弊させただけでなく自社の末端では赤字という運送会社も存在しています。
そこで燃料価格の全国統一に伴って、物流業界の体質も見直していきます。
まず運賃体系もその目標値を示していきます。
ポイントは安すぎないということです。
利益を得るために社員に無理をさせて、それが重大な事故に繋がったというケースも有りましたから。
まずは、法的拘束を持たない目標運賃体系を提示していきますが、その後の状況ににより、法的整備も検討していきます。

個々の商品における物流コスト増は商品価格に上乗せということを基本に考えています。
企業努力で、と、今までは奇麗事でで隠されていましたが、企業努力を人件費の削減としか考えることのできなかった企業の姿勢は改めていただきたいと考えています。
当然インフレ傾向となるでしょう。
そしてインフレとなって一番困るのは低所得者層と心得ています。
その対策としては消費税の根本的な見直しを考えています。
本当は全面廃止としたい所ですが、現時点ではそうも行きません。
今の所、五千円までの買い物に関しては消費税非課税、五千一円からは十パーセントの消費税という形を考えています。
この制度変更は小売業者にもご負担をお願いすることになってしまうのですが、ここでひとつの提案もあります。
商品価格の設定時に一円単位出来れれば十円単位の廃止です。
一万二千三百四十三円という価格設定だった場合、一万二千三百四十円か五十円、もしくは一万二千三百円か四百円としませんか、これによってレジの効率が上がります。
消費者団体からは実質的な値上げだとの反論もあるでしょうが。
これはいわいるデノミ、デノミネーションへの布石でもあります。
百円を一円にするデノミネーションも近い内に実施したいと考えています。
これに伴い一円を1銭にと考えていますが貨幣としては現行の十円を十銭とした貨幣を最低としたいと考えています。
今、デノミを行う必要性は高いとは言えません、しかし今後十万円札を発行するよりは、将来を見据えてのことと考えて下さい。

さて、ここで話しをガソリン価格統一に戻しましょう。
この施策では、ガソリンスタンドに於ける雇用の安定という側面も有りまして…。」
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