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夢プロジェクト-1 [権じいの村-11]

「…、ということで山里市の市長選は高柳裕也氏の圧勝という結果になりました。
今日は、その高柳裕也さんと高柳さんの所属する政治団体宇宙の代表白川慶次さんに来ていただいています。
高柳さんおめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「それにしても圧勝ということだけでなく投票率も高かったですね。」
「はい、皆さんのご支持に感謝しています。」
「やはり震災復興ボランテアセンターのリーダーをされたことが大きかったのですか?」
「はい、支援活動を通して多くの方々と接してきましたから…、それと…、ある雑誌社が協力してくれたことも大きいです。」
「雑誌社ですか?」
「はい、私達の活動母体は権じいの村プロジェクトという大学の研究室の集合体で、こちらの白川慶次をリーダーとして動いています。
しばらく前、そこの雑誌に白川を中心とする我々の活動を誹謗中傷する記事が掲載されまして、まあ無いこと無いこと書かれたのです。
それに対して、白川を知る者たちが怒りの声を上げまして、雑誌の記事がでたらめだということを、私に一票入れることで証明しようという運動を展開してくれたのです。
その結果がこの数字です。」
「そうでしたか、普通、圧勝となる選挙は投票率が落ちるものですから不思議に思っていたのです。」
「はは、実はその雑誌社に対して抗議をしまして、でも謝罪文を載せてもらっても大して嬉しく有りませんから、我々のプロジェクトのことを連載してもらうことになりました。
法学部の先生が交渉にいったら、何故か、あっさりと決まりまして。
ライターは我々の仲間で、白川との共著のような形にしたいと思っています。
もちろん、原稿料はいただきますから…、まあ仲間に仕事が一つ出来たということです。」
「はは、転んでもただでは起きないってことですね。
でも、いい加減な記事を掲載する雑誌に載せてもいいのですか?」
「ええ、色々な人たちに知って欲しいですから。」

「そうですか…、それでは話しを変えまして、今後の市政についてはどのようにお考えなのか、お聞かせ願えますか?」
「はい、今、色々な大学の色々な研究室がこの市についての調査を進めてくれています。
震災からの復興計画、市の財政の見直しをしてくれている研究室もあります。
この市では大学の実験的な取り組みを、すでに幾つか実践しています。
これは現市長、大山堅信氏が我々の取り組みを快く受け入れ、後押しして下さった結果です。
この地をもっと活力のあるものにしていく取り組みを大学関係者たちと連絡を取り合って実行していきます。
この市の周辺部、特に山間の地では過疎化が進んでいます。
そこには都市部からの移住者をどんどん受け入れていきたいと思っています。
権じいの村プロジェクトが始まった頃は景気もそれほど悪くなかったのが、ここの所のひどい不況で、失業者が農林水産業にも目を向けるようになりました。
我々のスローガンは、手を差し伸べる、ですから、その支援も、ボランティアセンターと連絡を取り合って進めていきます。
土地はありますから住むところだけを何とか確保して、生活の支援をしていく予定です。
手入れされなくなった果樹園、耕されることの無くなった畑、農業を考えれば色々な仕事があります。
農業未体験の人には大学の農学部が協力してくれます。
また、自分達の食べる分も自分達で作れば良いのですから食費はあまりかかりません。」
「そうすると、一人で色々な種類の野菜を作ることになる訳ですか?」
「いいえ、玉ねぎばかり作る人がいたり、大根の畑担当とかになりますが、収穫した作物は共同の物と考えてもらいます。
レタスの産地といった形でレタスばかり作ることはしません。
色々な種類の作物を生産することで、豊作、不作で価格変動するリスクを抑えます。」
「すでに色々な計画が有るというか、当選前から計画が立てられ進められていたのですね。」
「はい、大学関係者の手によって色々な提案が出され、それを地元の市民団体の方に伝えたり、調整したりという役目が、震災前の私の仕事でした。」
「そんな話しを聞いていると当選して当たり前って感じですね。」
「ははは。」

夢プロジェクト-2 [権じいの村-11]

「ところで、最近の市長選、県知事選では無所属という形が多いですが、今回は政治団体宇宙の所属として出られましたね、その辺りのことをお聞かせ願えますか?」
「はい、宇宙は出来て間もない団体ですが、そうですね…、この件に関しては、代表の白川からでもよろしいですか?」
「は、はい、そうですね、紹介が遅れました、宇宙、代表の白川慶次先生です。」
「こんにちは白川慶次です。」
「先生、でよろしいのですよね。」
「はは、そうですね、大学の方での講義とかは中断していますが、籍は残っています。
学長から、失敗したら、その経験も研究対象にすればいいから、と暖かいお言葉も頂いていまして。」
「新しく結成された政治団体の概要をお話し願えますか?」
「はい、時間はどれ程よろしいですか? 
時間を切っていただかないと、ずっと話し続けてしまいますから…、途中で切れるのもなんですし…。」
「そうですね…、五分程度でお願いします。」
「はい、それではまず目的からお話ししましょう。
まず我々の目的は政党としての要件を満たし且つ政権を握ることです。
この瞬間、無理だと思った多くの方々に、一つお話ししておきたいことがあります。
現時点で日本中の学生が会員に、そうですね、一つの大学での人数はまだそれ程多くはないかもしれません。
でも、学生中心に会員数は日に日に増え続けています。
また、この市ではすでに一万人を越す方が会員になって下さっています。
今回、高柳が当選したことによって、さらに増え続けることは間違いないでしょう。
なぜ増えるのか、それはこの国の政治に不満を抱いている人、魅力を感じていない人が少なくないからです。
でも、この話しを聞いても、政権政党になるなんて無理だろうと思われる方がほとんどだと思います。

では、本当に無理でしょうか。
我々は大学の力の結集という裏技を使いましたが、過疎の村を、ずいぶん賑やかな村にすることに成功しました。
そして、今、高柳の当選によってこの市も、震災からの復興というレベルでなく、さらに発展していくと思っています。
市民運動の形でもっと活気あふれる市にしようという機運が盛り上がっていますから。
そして、ここの活動は周辺の市町村へも広がりつつあります。
すでに、県政の建て直しというレベルでも色々な計画が進められています。
他県の大学でも、この市の取り組みを参考に行政のバックアップという運動が広がりつつあります。
学生だけが動く訳では有りませんが、第二の学生運動という感じになってきているのです。
今まで、若者は大人が作ったシステムを受け入れて社会人となって来ました。
でも、それだけで本当に良いのか? 
問題の多い今の社会構造を受け入れて継承していくだけで良いのか? 
自分達の国を自分達の手で世界に誇れる国にしてみないか?
今のままでは老いた国になってしまわないか?
といった呼びかけに応じてくれた学生が少なからずいる訳です。

国会議員が一人も居ない状態から、政権を担う政党にするなんて、馬鹿げていると思う人も多いでしょう。
でも夢を持っても良いじゃないですか、我々はこの国がもっと明るい、夢の持てる国になったらいいなということで、夢プロジェクトとも呼んでいます。
愛国心を語る政治家もいます、しかし、夢も持てないこの国で愛国心なんて押し付けられても迷惑な話です。
我々は自分達が愛せる国にして行きたいと思っているのです。
そんな夢プロジェクトなのです。

さて、誰が首相に相応しいかというアンケート調査で、他に適当な人がいないから、という理由を挙げる人が少なからずいるのが現実です。
我々の仕事はまず力のある、魅力有る人の発掘です。
本当にこの国の為になるという考えを、党利党略抜きで語れる人、高柳の様に多くの人に尊敬される人物を仲間にしていきたいと思っています。
そんな中から党首を選び、国会議員候補を選んで行きます。
でも、人それぞれな訳ですから魅力的な人物でも、皆考えが同じということは有り得ません。
そこで派閥というか、グループが出来ても良いと考えています。
国のため、国民のためという視点を持って、グループ同士が討論することも有るでしょう。
意見が分かれることも有るでしょう。
でも目的が同じなら、妥協点を見出すことは可能ではないでしょうか。
同じ政治団体内のことですから、党利党略なんて考える必要も有りません。
視点を常にこの国の為、この国に住む人の為と考えて下さる方の参加をお待ちしています。

それから…。」

夢プロジェクト-3 [権じいの村-11]

…、といったことが今後の課題です。
では、我々の夢に乗って下さる方の参加をお待ちしています。
よろしくお願いします。」
「有難うございました、でも白川先生のお話しを聞いていると、夢の様な話しでも実現できそうな気になってきますね。」
「はは、この夢に乗ってくれる人がどれぐらいの人数になるかがポイントですけどね。」
「えっと、ここで、現市長大山堅信氏のご自宅前と中継が繋がったようです。
レポーターの菊池さん、お願いします。」

「はい、こちら菊池真由美です。
市長選の盛り上がりから、まだまだ興奮冷めやらぬ山里市、現市長大山堅信さんのお宅前に来ています。
市長さん、一言お願いできますか。」
「大山です、まずは市民の方々にお礼を申し上げたいです。
私の義弟、高柳を市長に選んで下さって本当に有難うございます。
当選するだろうとは思っていましたが、これだけの信認を頂けるとは正直、思っていませんでした。
私は、表からは引かさせていただきますが、今後も…、死ぬまでこの市のため、義弟を影から支えていくつもりです。
よろしくお願いします。」
「高柳さんは弟さんなのですか?」
「義兄弟ってことで、私の大切な義弟です。
はは、しかしまあ…、初めは慶次…、白川慶次と高柳と私の三人で義兄弟の契りを結んだのが…、
私らの仲間内から、真剣に働きますから、俺も義弟に、私も義理の妹にという形で増えて、毎日若者達と誓いの杯を交わしています。
遊び半分の義兄弟ではなく、皆真剣ですから、次兄としては嬉しい限りです。」
「全国市長会でも一目置かれる存在の義弟や儀妹ということですか…、あっ、次兄ということは長兄は誰なのですか?」
「慶次、白川慶次ですよ、もちろん。」
「でも年齢的に…。」
「義兄弟の契りに年齢なんて関係ありません、私に夢をくれた慶次を、私は尊敬しています。
長兄、白川慶次の為なら私は何んでもしますよ。」
「白川さんはずいぶん、お若いと思うのですけが…。」
「確かに若いがしっかりした考えを持っている。
私らがきちんと支えていければ、各方面へ良い刺激を与えることのできる男です。
今時、政治家の駆け引きでなく新党を作ろうという人物なんていませんよ。」
「確かにそうですけど…。」
「う~ん、レポーターならもう少し調べてからインタビューに来て欲しかったな。
そうだな、時間をあげよう、色々調べてから、またおいで、はい、今日のインタビューは終了。」
「は、あの…。」
「テレビの前の皆さん、私達は真剣です、いい加減な気持ちで動いていません。
私自身、余生は我々の長兄、白川慶次のためにと考えています。
そして我々の夢のようなプロジェクトを後押しして下さる方の参加をお待ちしています。
以上、山里市からでした。」

「あ、有難うございました。」
「ははは、大山さんやりすぎですよね。」
「はは、元々型破りな方だから、すいません、義兄が暴走しまして。」
「いえいえ、確かに準備不足なインタビューでしたから…。」

夢プロジェクト-4 [権じいの村-11]

「慶次さんお疲れ様でした。」
「テレビ局関係は、ここが最後だよな、真一。」
「はい…、あっ、高柳新市長お疲れ様です。」
「はは、確かに疲れたけど、慶次の方が気疲れしたんじゃないか?」
「まあね、でも手応えは感じられましたよね。」
「ああ、各放送局が時間をとってくれて、単に市長当選だけだったらこんなことはなかっただろうね。
「高柳さんのおかげで、宇宙に興味を示してくれた局も時間を取ってくれて、俺が話してた時間の方が主役の高柳さんより長かったりして…。
大山さんもやってくれましたし。」
「はは、ちょっと暴走気味でしたから、長兄として一言言っておいても…。」
「う~ん、しかし大山さんから、あれだけのことを全国に向かって話していただけたから、もう一度腹を括り直さなくてはって気になりましたよ。」
「慶次さん、反響は大きいです、ネットでの入会申し込みはすごい勢いですよ。
明日の電話受付も、久美が…、どれぐらいの人数、どれぐらいの回線数に増やそう、なんて嬉しそうに困っていました。」
「ははは、大丈夫そうかい?」
「そうですね…、かなりの人数までは対応できる様に下準備はしておいたのですが…、ネットでの会員登録申し込み数を考えると、それをはるかに上回る可能性があります。」
「俺達の夢プロジェクト、本格始動ということだな。」
「はい。」

夢プロジェクト-5 [権じいの村-11]

「慶次さん、衆議院議員の渡会さんから電話がありまして、現在無所属ですが宇宙に参加したいとのことです。
渡会さんに関するデータはパソコンの渡会というアイコンで確認して下さい。」
「真一は電話を受けてどう感じた?」
「そうですね、いささか興奮気味に話しておられましたが、無所属では何も出来ない、でも、今の政党には魅力がないと話してみえて…、慶次さんの本も全部読まれたそうです。」
「ならば、すぐにお会いしないとな、真一、調整頼む、最優先だ。」
「解りました、後、政党所属の議員からも会って話しを聞きたいとの打診が来ています。
今、個人データを確認しているところですが。」
「思ったより早かったな。」
「はい、議員さん達の中にも今の政党に疑問を抱いてみえる方がみえるのですね。」
「その方とは?」
「はい、やはり優先事項として調整を始めています。」
「お会いするのは、もちろん高級料亭だろうな?」
「ははは、近所の居酒屋の二階が確保して有りますよ。」
「こちらに来ていただくのか?」
「はい、渡会さんもですが、こちらに来ていただくことで本気さを見たいと思っています。
それとも高級料亭の方が良かったですか?」
「はは、まさか、高級料亭は冗談だよ、あそこの居酒屋だろ、おいしい物が気軽に食べれるからな。」
「店の二階は一部屋しか有りませんから、他の人に話しを聞かれることもないんです。
店長も、宇宙の会員ですから、優先的に…、というか今後二階はうちの自由に使ってくれて良いそうで。」
「そんなに通えないぞ。」
「普段は会員が来たら二階を使ってもらうそうです、で、僕達で部屋が必要になったら、会員は一階でという形で…、もっとも最近の客はほとんどがうちの会員だそうですけどね。」
「はは、学生達も通ってるのか?」
「はい、おいしいから…、飲もうか、となったらまずあの店へ、でも満席のことも多いから、だめなら別の店へって感じらしいです。
店長からは、最近は何時も満席で売り上げもぐっと伸びているから寄付もするよっ、て言葉もいただきまして。」
「それは嬉しいな。」

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「ニュースの時間です。
先日からお伝えしております、政治団体宇宙にまた衆議院議員が入会しました。
無所属の渡会氏の後、日本共和党などから離脱しての入会が続き、衆議院議員が五人となりましたので政党としての要件を満たし、新党宇宙を名乗ることとなりました。
では記者会見の模様をご覧下さい。」

「…、高柳氏が山里市の市長に当選されてから、ひと月程で衆議院議員五人の政党となった訳ですが、白川代表から感想をお聞かせ願えますか。」
「そうですね、正直言って早かったですね。
無所属の渡会さん以外は所属政党との問題もあったでしょうから、よくご決断いただけたものだと思っています。」
「代表からお声を掛けられたのですか。」
「いいえ、まだこちらからお誘いさせていただく様なレベルではありませんから。」
「そうですか、では、今日入会…、入党を発表された岩永議員から一言お願いします。」
「はい、私が最初にこの党のことを知った時は、学生達のお遊びかなと、正直思いました。
しかし、少し気になって白川代表の本を読んだり大学教授の友人に尋ねたりしたのです。
そして白川代表のスケールの大きさに圧倒されされました。
宇宙の本部へ行ってまた驚きました。
今までの政党とは全く違うのです。
例えば会員、もう党員と呼んで構わないですね、その党員は大きく三つに分けられています。
自分の意見を積極的に出す人達のグループ。
この人達はネット上で自分の意見を発表しています。
将来の議員候補でもあります。
それから、その意見に対して自分の意見を出したり、賛否を投票したりするグループ。
そして、党費を払い寄付もするから、がんばってという形ののサポートグループとなります。
ネット上にはすでに膨大な量の意見が上げられていまして活発な意見交換がなされています。
それが、分野ごとにきれいにまとめられていまして、さすが大学がからんでいるということでしょうか。
とにかく党員に発言の場が与えられているのです。
これは私が魅力を感じたことの、ほんの一例に過ぎません。
法学部中心に法律全般の見直し作業も始まっています。
党員となった学生達の中には自分の卒論テーマを、新党宇宙の今後の取り組みの中から選んで研究している者も少なく有りません。
単に卒業する為だけの論文ではなく、国の為にと考えて研究しているのです。
今、若者達が立ち上がった、ならばそれを支えるのが私達の役割だと思うのです。
自分自身は国の為に働こうと思って立候補、ご支持をいただいて衆議院議員となりましたが、本当に国の為に働けているかと考えたら、色々党に縛られて大したことが出来てなかったと思うのです。
でも、新党宇宙でなら本当の国民目線で自分の力を発揮できると思っています。
所属する政党を変えるということは、支持して下さった方々には申し訳ないと思っています。
しかし、私も夢を持ちたかったのです、自分達の力でこの国を活気あるバランスのとれた国にして、他国に対しても誇れる国にして行きたいと。
それと…、これはいささか個人的な夢ですが、白川代表に日本の総理大臣になっていただきたいとも思っています。
皆さん、白川代表とともに、この国を若返らせませんか。
余計なしがらみのない新党宇宙なら、それも可能だと思うのです。
よろしくお願いします。」

「有難うございました。
では、次に…。」

夢プロジェクト-6 [権じいの村-11]

「では皆さん、最近の状況を報告して下さいますか、はい、渡会さんどうぞ。」
「私の選挙区では後援会ががんばってってくれていまして、新党宇宙の党員数が増え続けています。
油断は禁物ですが、何時解散総選挙となっても大丈夫そうな感じです。」
「うちもです、慶次さん、選挙運動は簡単で済みそうです。
自分の選挙運動に余裕ができれば、新人候補のフォローに時間を取れます。」
「私の所では党員達が勝手連的に動いてくれまして、私に投票予定の人達から署名を集めて下さいまして。
署名の数から考えると、まもなく当確となりそうです、後援会の人からも地元は大丈夫だから新人候補の手伝いをして欲しいと言われています。
そうそう新人候補は何人ぐらい立てる予定ですか?」
「すでに四十七都道府県全部に地方支部が出来ています。
すべての支部から一人以上の候補を擁立したいとの打診が来ています。
解散、総選挙の時期によりますが、準備期間が長くなれば成る程、うちが有利になるかもしれません。
早すぎると準備が間に合いませんから。」
「政権政党になれた時の準備はどうですか?」
「そちらの方はずいぶん前から進めていまして、例えば岩永さんが大臣になった場合、補佐する形で党員が数十人か…、百人を超えるかもしれませんが、とにかく付くと思います。
そして、今までなら官僚がしてきたようなことも受け持ちます。
そこから色々な助言も出てくるでしょう、相反する意見も出てくると思いますが…。
それらを参考にして、大臣としての最終判断を当然岩永さんにしていただくことになります。」
「私も大臣候補なのですか?」
「もちろんです、どうです、総理大臣でも良いのですが。」
「はは、総理大臣には慶次さんがなって下さいよ。
そう言えば、慶次さんはどこから出馬される予定なんです?」
「もちろんここからです、権じいの村プロジェクトを始める時に住民票もこちらに移しましたから。」
「どう考えても、すでに当確ですね。」
「はは、まあ絶対ってことは有りませんから…、落選したらなぐさめて下さいね。」
「ははは。」

「ところで、現時点での問題点として財界との関係があります。
きちんとした筋道を通せば協力もしていただけるとは思っているのですが、根回し出来るだけのコネもなくて…、財界と対立してしまうことは避けたいですから…。」
「慶次さん、そっちは向こうも気にしてまして、私の方にも探りが来ています。
しばらくは腹の探り合いになるかもしれませんが、こちらが下手に出る必要もありません。
彼等だって自分達にとって不利益になる法律を作られては困ると思っている筈ですからね。」
「確かにそうですね、今はどんな団体にも媚びへつらう必要はない、というより媚びてはだめですよね。」
「その通りです、そして、その姿勢を貫けたら我々は本物になれるのではないですか。」
「う~ん、もう一度腹を括り直すか。」
「はは。」
「夢プロジェクトを考え始めてた頃は、総理大臣候補も見つけて、なんて思っていたんですよ。
それが、色々動いている内に自分がその候補になってしまって…、でも学生達にずいぶん語ってきたから、今は私自身が夢プロジェクトの象徴になってると感じています。
でも、自分一人の力なんてたかが知れてますから…。」
「はは、たかが知れてる力でいったい何人の人に影響を与えたと思っているんです。
現時点での試算で数百万人、否、すでに数千万人かもしれませんよ。」
「皆で支えますからがんばって下さい。」
「はい、ありがとうございます。」

夢プロジェクト-7 [権じいの村-11]

「なあ、俺達の選挙運動では名前の連呼なんてことしないんだろ、お前、選挙対策部所属だったよな。」
「ああ、騒音公害を出しながら、人に優しい国作りなんて説得力ないだろ。」
「じゃあ、どんな感じになるんだ?」
「まずは、ねずみ講のシステムだな。」
「は?」
「マルチ商法とか問題になっているけど、正義のためなら問題ない。
党員の中で志のある人にお願いして、その選挙区の立候補者への応援を、知人とかにお願いしてもらうのさ。
その話しに乗って下さった方の中で、強く応援したいと思ってくれた人にも同じことをしていただく。
もっとも、現時点での党員数を考えると…、応援をお願いしようと思った相手がうちの党員という確率も低くはないけどな。」
「だろうな、でもさ、党は有名になったけど、それぞれの候補は無名だったりするだろ。
やはり、この人に一票を、って目に見える形での活動は必要ないのか?」
「うん、今は党の支部会議を頻繁に行っているよ。
「立候補予定者は選挙区内のあちこちで、色々な規模で、党員会議を開いていてな…。」

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「こんにちは、青山誠一、二十九歳独身です。
次期総選挙で、新党宇宙の候補として、この選挙区から立候補させていただきます、皆さんよろしくお願いします。」
「早速ですが、青山さんの専門は財務関連ですね?」
「はい、当選したら財務、副大臣候補の一人です、落選したら財務大臣の下で働きます。」
「なんか、我々が政権を握るということが既定の事実という話し方だな。」
「現政権が、解散をずるずると先延ばしして下さったおかげで、我が党に対する支持率はずいぶん高くなっていますし、我々の準備も進んでいます。
色々な調査結果から…、油断は出来ませんが、白川先生を総理にできると確信しています。」
「君に一票入れたらこの地にとってプラスになるのかい?」
「そうですね、直接的にはプラスにならないでしょう。
我々は国のレベルで考えています、この地へ利益誘導するために、ここから立候補する訳ではありません。
もちろん、自分が生まれ育った地ですから大切に思っていますが…。
私の使命は、国の財政の健全化です。
すでに現在の財政状態は調査済みで、どこをどうして行くかという検討も進んでいます。
国の財政状況が良くなれば、この地ににもプラスになると思っています。」
「なるほど、でも他の候補者は、地元への利益誘導を考えたりしないのか?」
「我が党の候補者は全員、国というレベルで考えています。
このことは党員の方々にも理解していただけると思っています。
もし、地元への利益誘導を図る候補者がいれば党員からの報告で、すぐ除名処分になるでしょう。
皆さんにもお願いしておきます。
私が議員として相応しくないと感じられましたら、すぐ党本部へ連絡して下さい。
その内容によってはすぐ身を引いて、議員のバックアップに回ります。
自分は国会議員として自分の力を発揮したいと思って立候補を決断しました。
しかし、自分が相応しくないのであれば、違う形で我らの夢プロジェクトを支えていくつもりです。」
「はは、気に入った、俺は応援するよ。」
「地位や名声を得るために立候補するんじゃないんだ。
よし、私は君の後援会に…、ってあるの?」
「まだありません。」
「じゃあ…、どうだ、青山くんの後援会を作らないか。」
「よし、俺も乗った。」
「私も入るよ、定年退職してから時間を持て余し気味だったからな。」
「はは、暇つぶしか?」
「そんなんじゃない、新党宇宙は私の夢でもあるから。」
「じゃあ、後援会の幹部を決めるか?」
「でも、ここだけで決めていいのか?」
「まずはこの地区の後援会ということでいいだろ。
他の地区でも後援会が出来たら連絡を取り合ったり、合併したりとかでいいんじゃないか。」
「そうか、まずは青山くんの後援会第一号ってことだな。」
「あの~、皆さん、私のことまだ全然お話ししてないのですが…。」
「はは、君の自己紹介文は熟読してるよ、この選挙区から君の様な候補者を推せるだけでも嬉しいし、当選してくれたらもっと嬉しい。
応援するから、がんばってな。」
「それとね、昨日県支部に問い合わせたら、ここの選挙区の党員が全員青山くんに一票入れたら、すでに当確って数字らしいよ。」
「それでも、きちんと党員会議で顔を覚えてもらってな。」
「は、はい、有難うございます、よろしくお願いします。」
「どうだ、独身なら、うちの孫が年頃なんじゃが…。」

夢プロジェクト-8 [権じいの村-11]

「ねえ裕子、党の資金の方は大丈夫なの? 選挙ってお金がかかるのでしょ?」
「そうね、私も全体を掴んでる訳じゃないから…、でも大丈夫だと思うわ。」
「でもさ、企業からの献金とか少ないんでしょ。」
「うん、でも党員も増えてるし。」
「と、言っても二千円でしょ、党員になるには。」
「最低二千円、その内千円は登録手数料で、千円が党の運営資金、二年目からは千二百円で二百円が事務手数料で千円が党の運営資金、郵便で党機関紙を希望される方は実費プラス手数料となるけど。」
「一人、年間千円でやっていけるの?」
「そろそろ党員が二千万人を越すそうよ、なんかうちの党員になるのことが、今時ってみたいになってきてるから…。
はい、千掛ける二千万っ、い・く・ら?」
「えっ? えっと…、うんと…。」
「二百億、さらに寄付も沢山いただいてるからね。
私達の挑戦を、夢と希望を持って応援して下さってる方も多いのよ。」
「…、そうなんだ。」

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「じゃ~ん、どうだ浩二、これが新党宇宙の党員証だぞ。」
「へ~、でも兄ちゃんまだ高校生だから選挙権ないじゃん。」
「はは、党員資格に年齢制限はないんだよな。」
「そうなの、まあ兄ちゃんは流行に流されやすいタイプだからな。」
「そんなんじゃないぞ、父さんとも相談して党員になったんだ。
新党宇宙のことを知るまでは、漠然と受かりそうな大学受験して適当に学生生活を送って就職してって考えていたけどな、今は党員として自分にできることを真剣に考えているんだ。」
「ふ~ん、あっ、おじいちゃん。」
「健一、浩二、ちょっと話しておきたいことがあるのじゃが、いいか。」
「うん。」
「お前達はわしの遺産をどう考えておる?」
「えっ、そんなこと考えたこともなかったよ。」
「ぼくも。」
「わしはお前達のことを思って親から受け継いだ財産を守り増やしてきた。」
「うん。」
「だがな、ちょっと増やし過ぎたかもしれん。
今までは多い程良いと思ってたがな。」
「そりゃ、多けりゃ安心だよね。」
「でも、お前達が余程馬鹿なことをしでかさない限り充分過ぎる財産がある訳だ。」
「いつもおこずかい有難うね、じいちゃん。」
「はは、で、今、この国を変えようという動きが有る事は知っているな。」
「うん、僕も新党宇宙の党員になったからね。」
「そうか、ならば話が早い、新党宇宙へ一億程寄付しようと思ってな。
まあ遺産相続しても相続税でがっぽり持っていかれるから同じことなんじゃが、白川党首の、手を差し伸べる、という言葉を噛み締めてみてな、お前らの父さんは賛成してくれた。
そうだな、お前達も遺産を当てにすることなく、自分で生きていく力を身に着けるんじゃぞ。
まあ、真面目にやっていても何が起こるか解らん、そんな時はちゃんと手を差し伸べてやるから安心せいよ。」
「うん、解った。」
「そうだ、浩二も新党宇宙の党員になるか?」
「う~ん…。」

夢プロジェクト-9 [権じいの村-11]

「真一、そろそろ開票速報が始まるわよ。」
「なあ久美、ここまで長かったな。」
「ええ、もっと、早く解散総選挙だと思ってたのにね。」
「それが僕らにとってプラスとなって…、過半数とれないかな…。」
「出来立ての政党の候補者がどれだけの支持を得られるのか未知数なのよね…。」
「おっ、始まった。」

「衆議院選挙、開票速報を始めます。」
「中川さん、これは事件ですよね。」
「はい事件としか言いようが有りません。
開票に先立ちまして、我が局の出口調査の結果を紹介させていただきます。
出口調査の結果、すでに半数近くの選挙区で当確者が出ています。
すべて、新党宇宙の候補です。
新党に入ることが社会現象の様になってましたから、ある程度とは思ったのですが、ここまでとは思いもしませんでした。」
「やはり既存の政党に対する不満が爆発したということでしょうね。」
「若さに溢れ清潔感がありますから、有権者の心をぐっと引き付けたということでしょう。
大学関係者が多く関わっていることもプラスに作用したと思います。
ただの素人集団じゃないって安心感が有りますね。」

「やった~!」
「予想以上ね。」
「あっ、慶次さん。」
「どうだ、開票は始まったばかりかな。」
慶次さん出口調査の結果では私達の圧勝みたいですよ。」
「そうか、ということは比例の方も…。」
「いけそうですね。」
「あっ、もう当確の表示が並んでいる。
うちの当確者はすでに、二百十一人か…。」
「祝勝会の準備はどうなってる?」
「もうばっちりですよ。」
「あっ? 公園?」

「中継は東京代々木公園です。」
「ここ代々木公園では、新党宇宙の党員たちによる祝勝会がすでに始まっています。
大変な熱気です。
この集まりは計画してたことなのですか。」
「はい、選挙で勝てたら、みんなで集まってお祭りやろうって。」
「でも明日は仕事や学校があるのでは?」
「はは、仕事に行く奴もいれば、有給とった奴もいるし、俺んとこは社長達と一緒に来てるから…、まあ明日は臨時休業って社長が前から決めていたんだけどね。
社長曰く、国民の祝日だそうだ。」
「はは、そうなんですか。」
「慶次さ~ん、俺達やりましたよ~。」
「ばんざ~い。」

「この様な集まりは日本各地で行われているそうです。」
「そろそろ、白川党首と連絡が…、まだ…。」
「では、開票結果の続きを…。」

「慶次さんお呼びがかかってますよ。」
「おお、ちょっと待て、俺は当確かな…?」
「…、あっ、出ました!」
「よかった~、俺が落選してたら、めちゃくちゃかっこ悪いからな。」
「はは、じゃあテレビ局と連絡をとってきます。」
「私は記者会見の準備を始めます。」
「ああ、なあ、俺達…、やったんだな…、もっともこれからが大変でもあるけど…。」
「はい、がんばりましょう。」

夢プロジェクト-10 [権じいの村-11]

「それでは、ただいまより、新党宇宙、党首、白川慶次先生の記者会見を始めさせていただきます。
先生、どうぞ。」
ぱちぱちぱち…。
「こんばんわ、全国の皆さん、私達へのご支持、有難うございました。
皆さんのおかげで政権政党となることがほぼ確定しました。
これからも、よろしくお願いします。」
ぱちぱちぱち…。
「白川党首、今のお気持ちを。」
「そうですね、俺達の夢として皆で語り合ってきたことが、一歩現実に近づいた訳ですからとても嬉しいです。
でも、これからが本番です。
今、喜びの中、気合を入れ直している党員が日本全国にいます。
みんな~、これからがんばろうな~!」
「そうなんですね、選挙結果はゴールではなくスタートなのですね。」
「はい…、でも…、今日まで何度も、これが俺達の夢へのスタートだって思う機会がありました。
これからもまた、何度もスタートがあるかも知れません。」

「…、白川さん、先程のお言葉に、全国の祝勝会場で大歓声が上がったそうですよ。」
「まさに日本列島を激震が走るといったところでしょうか。」
「はは、大地震はもう起こって欲しくないですけどね。」

「これからのビジョンをお聞かせ願えますか。」
「そうですね、日本は自由競争により、すばらしい発展を遂げました。
が、それが行き過ぎた結果、社会の色々なバランスが崩れてしまっている、というのが今のこの国の現状と捉えています。
私達は少しずつ、色々な意味でバランスの取れた国にしていきたいと考えています。
もちろん制度改革などを行っていきますが、実際には法律や国の力だけで出来ることではないと思っています。
これから私達は皆さんに、色々なお願いや提案させていただこうと考えています。
もちろん強制するものではありません。

今日は二つのお願いをさせて下さい。

まずは、国民の皆さん全員にお願いがあります。
食生活のバランスを考え健康的な生活を心がけて下さい。
また、悩み事は一人で抱え込まない様にして下さい。
国民の皆さんが健康で文化的な生活を送ることが、私達の基本理念です。

私達は今日から色々なプロジェクトを本格スタートして行きます。
まずは自殺者をなくし、ホームレスをなくすプロジェクトが最優先で動き始めます。
この不況下、簡単にできることとは考えていませんが、とにかく、この社会の中で弱い立場にある人達への支援を考えています。
正式な支援活動は、後日、新党宇宙の各地方支部ボランティアセンターから発表の予定です。
支部によって準備の進捗状況が異なっていますので全国一斉とはならないことをご理解願います。
その後公的機関も…、こちらは予算配分とか色々有りますから時間がかかると思いますが。
我々の体制も完成している訳ではありませんから、多少のお時間をいただくことなると思います。
とにかく社会的弱者の方々に手を差し伸べることが私達の取り組みの第一歩です。

次に、企業のトップの方々にお願いがあります。
企業としては利益の追求が最優先とは思います。
今は、業績も悪化していると承知しています。
しかし、あえて今、人に優しい企業作りをお願いしたいのです。
あなたの会社で働いている方々は幸せですか?
人に優しい、環境に優しいと宣伝している企業で働いている人が、自分には全然優しくない会社だと話していました。
人件費を抑える為に人を減らしたら、残った人たちに余裕がなくなってしまってミスも増えて、という話しも聞きます。
企業のトップの方々へのお願い…、その一つ目は皆さんの会社で働く人が、本当に愛せる会社作りをということです。
よろしくお願いいたします。」

「ありがとうございました。
旧来の政治家とはずいぶん違う発想ですね。」
「はい、今までの政治は国民の声を充分に聞けてなかった、というより聞くだけの余裕がなかったと思うのです。
でも、私達の取り組みは、国民の夢から始まっています。
こんな社会になったらいいな、皆が幸せに暮らせたらいいな、といった夢を政治の場で手助けする…、あくまでも主役は国民の皆さん一人一人です。
あなたの住むこの国をもっと素敵にする、そんな夢プロジェクトの始まりなのです。」
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