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山村体験-1 [権じいの村-5]

「へ~、結構きれいに仕上がったわね、慶次、しばらく誰も住んでなかった家には見えないわ。」
「ああ、学生たちもがんばったし、下の町の大工さんにも手伝っていただいたから。」
「学生たちは全部自分たちだけでやりたいって言ってたのよね。」
「うん、まぁ、その気が有れば再生できそうな家屋はまだ有るし、次は新築だって有りだからって納得してもらった訳だけど…。
でも、彼ら、プロの技術を見せてもらったって、喜んでいたよ。
大学のキャンパスから出ることで、初めて学べることもあるのさ。」
「あ~、慶次ったらそこまで考えていたの?」
「まあな、学生たちには色々な人と接して、色々学んで欲しいからな。
時間的な問題もあったし…。」
「あっ、荷物が来たみたい。」

「みんな、お疲れさま。」
「お疲れさまです。」
「慶次さん、今から搬入作業ですから、ちょっとどいてて下さいね。」
「俺も手伝うよ。」
「だめですよ、これもいかに効率良く搬入するかの実証実験ですし…、どう考えても慶次さんはじゃまですから。」
「はは、じゃまか…。」

「みんな、準備はいいか?」
「オッケ~。」
「時間は計るけど無理はするなよ、怪我とかしたらマイナスポイント大きいからな。」
「おう。」
「じゃあ、スタート!」

「は、早いな…。」
「ふふ、確かに慶次が手伝ったらじゃまにしかならなかったでしょうね。」

「搬入作業終了しました。」
「早かったね。」
「もちろんです、今回は引越しのエキスパートが揃いましたから。」
「そうだったんだ…、そう言えば実証実験って言ってたね。」
「はい、ぼくら体力系なんで引越しのバイトとか良くやるんですけど、現場担当者によって作業効率がずいぶん違ってまして。」
「そういうものなんだ。」
「ひどい時はかなりのムダも…、でも、ぼくらは下で動くだけだから何も言えないんです。」
「うん。」
「で、今回は、言えなくて溜まっていたものをみんなで出し合って、作戦を練ってから作業しようということで。」
「はは、どうだった、ストレスは発散できた?」
「はい、短時間できちんと作業が終了しましたから、気持ちいいです。」
「そうか…、やっぱりペースの遅い人とかが作業に加わっているとやりにくいんだね。」
「ええ、この人がいなかったら作業がもっと早く終わったのにって経験もあります。」
「なるほど、もし作業に障害のある人が加わったとしたらどうする?」
「う~ん、そうですね…、自分がリーダーであれば梱包、開梱の作業をやってもらいます。
どんな障害かにもよりますけど…。」
「適材適所ってことだね、有難う、参考になったよ。」
「いえ…。」
「今夜は酒も肉も用意してもらってるからな。」
「宴会ですね。」
「やった~。」
「あっ、次の部隊がきましたから、俺たちはそろそろ…。」
「ああ、お疲れさま。」




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山村体験-2 [権じいの村-5]

「えっと、このカーテンは、この窓ね…。」
「みんな~、お茶にしない?」
「は~い。」

「搬入の子たちが分かりやすく置いていってくれたから、私たちの作業も楽よね。」
「千恵さんたちの下準備もしっかりしてるから。」
「部屋の雰囲気…、私の感覚だとかなり地味だけど…、それなりにまとまっていますね。」
「落ち着いた感じがするわ。」
「でも、もう少し華やかさがあっても…。」
「ふふ、私たちが住む訳じゃないからね。」

「千恵さん、良いよ、さすがだ。」
「慶次さんにそう言っていただけるとうれしいです。」
「この家は俺たちの次のステップ、その第一歩だからな。」
「第一歩なら、建物はともかく家具とかは新品の方が良かったのではありませんか?」
「はは、純ちゃん、きれい過ぎず、質素過ぎずってことも大切なんだよ。」
「どういうことなのですか?」
「ここは、都会の生活に疲れた、まぁ、お金のない人たちに、山村での生活を体験していただくための家なんだ。
ここでの生活体験の後、できればそのままここで暮らして欲しいと思っている。
だから、そう思ってくれそうな人を中心に募集して人選をしてる。」
「だったら、新らしい生活に向けて…。」
「心理的な問題があってね、きれい過ぎるとプレッシャーを感じる人もいるし、落ち着かない人もね。
こんな家に住んでみたいという人が、ここには調度いいのさ。
君たちとは感覚が違うと思って欲しいかな、まぁ色々な人がいるってことだよ、世の中にはね。」
「そうなんですか…。」

「慶次さん、ここには三人で暮らしていただくのですよね。」
「うん。」
「家の広さとか考えたら、もっと多人数でも良さそうに思うのですが。」
「そうだね、状況を見て五人とかに増やすかもしれないけど。」
「三人…、奇数、ということに、何か理由が有るのですか?」
「ここで山村体験をしていただく方々に横のつながりはないんだ、だから知らない人との共同生活から始まる。
独りでは心細いだろうからね。
初対面と二人だけでは落ち着かないだろうし、四人では二人ずつのグループで固定してしまいかねない。
五人になると、一人で四人の他人のことを考えなくてはいけなくなる。」
「でも四人ぐらいのことなら普通、問題ないのではありませんか?」
「そういう人もいれば、そうでない人もいる。
ここでは、まずはゆったりとした気分になって欲しいからね。」
「あっ、もしかして、ここでの山村体験って、調査研究の一部でもあるのですか?」
「ああ、そのことも理解していただいた人に来ていただくことになってるよ。」




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山村体験-3 [権じいの村-5]

こんこん。

「こんばんは~。」

「はい、少々お待ちを…、あっ、白川先生、どうぞどうぞ。」
「おじゃまします。」
「先生、こんばんわ~。
はは、西川さんたら、自分の家みたいな話し方だね。」
「ははは。」
「酒、持ってきましたけど、どうです?」
「先生と飲めるなんて感激ですよ。」
「はは、吉田くん、まぁ気楽にやろうや。」
「はい。」

「ところで、ここでの五日間どうでした?」
「いや~白川先生、色々考えさせられました。
なれない作業体験はやはり大変でしたけど。」
「はは、西川さんはお年ですから、俺は結構新鮮な体験で面白かったですよ。」
「吉田~、俺だってまだ四十代なんだから年寄り扱いするなよな。」
「へへ。」
「私は大学生たちに驚きました、みんな調査や研究に真面目に真剣に取り組んでますよね。」
「はい、高柳さん、彼らは本当にがんばってます。」
「私は以前、仕事で学生バイトを使うような立場にいたのです。
もちろん、真面目な学生もいたのですが、いい加減な学生も結構いましてね。」
「なるほど。」
「白川先生、ここの第一段階は大学関係者と聞いてますが?」
「はい、第一段階としては学生中心に、彼らの調査研究と平行しながらですが…。
そうですね、村の方々によそ者である我々を受け入れていただけるような活動をしてもらってきました。
ラッキーなこともあったし…、こんな不便なとこまで来るような学生たちは真面目な子が多いということもあってか、村の方々との交流は順調に進んでいます。
高齢者の多い村ですから孫のように可愛がられている子もいますよ。」
「そうなんですか…、ということは第二段階は?」
「第二段階としては、調査研究や実習に付随して、この村だけでなく下の町の人たちにも協力していただいているということです。
実験の手伝いや、この家の補修などを手伝っていただいたりとか、そんな形で大学関係者以外の人がこの村に関わり始めています。
そして第三段階は、新たな雇用の創設、雇用でなくても、人が普通にこの村で暮らしていける仕事を生み出していこうと考えています。
その仕事は都会からこの村に移り住んで下さる方にお願いしたいとも思っています。」
「私たちはそのための…。」
「はい、ここでの生活体験をお願いする時に、調査研究の対象でも有るとお話しさせていただいた部分です。」
「何となくわかってきました。」
「生活体験の目安としては後二日ありますが、明日からは特にプログラムを組んでいません。
できればその二日を利用して、私たちの挑戦、過疎の村の再生について…、問題点、可能性など、ご意見をまとめて教えていただけると有りがたいのですが。
もちろん、はじめのお約束通り、都会へ戻りたければ何時でもオーケーです。」
「私はもちろん残ります、色々考えさせて下さい。」
「ありがとうございます、高柳さん。」
「先生、二日したら帰らなくてはいけないのですか…?」
「吉田くん…。」
「お、俺、しばらくここにいたいんだけど…、もちろん色々な手伝いをするからさ。
じっくり考えてみたくて…、今までの都会暮らしと村の暮らしを…。」
「いいよ。」
「えっ? そんなあっさり、でもご迷惑じゃ、生活費の問題もあるだろうし。」
「西川さん、西川さんの生活費、ここでどれくらいだと思ってます?」
「? 考えてもいませんでしたが。」
「皆さんに住んでいただくために多少の支出はありましたが、そんなのは大学やら自治体からの援助で済んでますし。
元は放置されてた空き家ですから…、もちろん権利者の方にはご了承を得てあります。
早い話、家賃はいらないってことです。
食費は…、取れたて野菜を畑から自分で運んだでしょ。
料理は調理実習みたいなもので、学生たち、わいわいと楽しそうにやってますよ。」
「もしかしてかなり安く?」
「はい、まとめて作ってますからね。」
「そうなんですか…、でも、このお酒とかは。」
「大学関係からの差し入れも結構あるんです。
お酒はあまり飲まないのに、お歳暮でもらったから、とかね。」
「そういうことなら私もしばらくお世話になりたいです。
でも収入がないと、安いと言っても食費とかかかりますし…。」
「西川さん、まずは大学関連の仕事が結構有りますので、それを手伝っていただけたらと思っています。
色々事情があって高給とはいきませんが、明日にでも担当と相談して下さい。
食費はしばらく無料でいいです。
ただ長期滞在になるようでしたら、負担をお願いします。」
「わかりました、よろしくお願いします。」




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山村体験-4 [権じいの村-5]

「色々な仕事があるんだな。
吉田、穴掘りなんてのもあるぞ、得意なんだろ。」
「はは、西川さんには無理そうだ。」
「風呂のための穴掘り、重機を使いますけど手作業も必要になるそうです。
仕事は肉体労働が多いですが事務やお店関連もありますよ。」
「えっ? 佐伯さん、この村にお店なんてありましたか?」
「もうすぐオープンです。
ここも昼間人口が増えてきましたし、プロジェクトの次の段階へに向けての布石でもあります。
目標は独立採算ですが、始めの内は補助してもらっての運営になります…。」

「佐伯さん、しばらくは色々な仕事を体験って感じでもいいですか?」
「はい、構いません、午前と午後で違う仕事ということでも良いですよ。」
「私は商店に興味があります。
昔、店を持ってましてね…、つぶれましたが。」
「そうでしたか…、時給は一律千円です。
仕事によっては差を付けるべきかもしれませんが、きつい作業は休憩時間も労働時間に含めたりしてバランスを取ることになっています。
問題を感じる作業があったら私の方へ報告して下さい。」
「千円ですか…。」
「すいません、予算の関係とか色々ありまして。」
「いえいえ、とんでもない、倉庫で働いていた時の時給なんて九百円だったんですよ、もっと少ないだろうと思ってましたから。」
「一日の労働時間は八時間までなら好きに決めていただいて構いません。」
「そんなにアバウトでいいんですか?」
「基本、学生たちがやりますから大丈夫なのです。
お二方が働いて下さる分、学生たちの負担が減る、というぐらいに考えて下さい。」
「そういうことか…。」
「しばらく体験してみて、長期で働きたいということになったら、長期パートという扱いで保険とかもきちんとしますので、私の方へお願いします。」
「わかりました。」



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山村体験-5 [権じいの村-5]

「吉田さん、山の仕事って結構きついっすよね。」
「だな、君らはずっとここにいるの?」
「僕は先週から。」
「毎日植林地の手入れかい?」
「そうでもないんですけど、僕らの体験実習のメインなんで。」
「学生も大変なんだな。」
「いやー、これは自分で参加しようって決めたことだから。」
「そうなんだ。」
「自分は農学部でも林業とは全く違う分野を専攻してるんですけどね。
こういう体験も今しかできないかなって。」
「真面目なんだな。」
「そうでもないっす。
でも、この権じいの村の取り組みは学生たちの間でも結構有名でして。」
「へ~。」
「寂れた村を学生の手で再生しようなんて面白いじゃないっすか。」
「だよな、でも卒業したら普通に就職するんだろ。」
「そのつもりだけど…、吉田さん、白川先生の本読みました?」
「いや、ぜんぜん。」
「先生の本にね、学生に向けてのメッセージがあってさ。
学生時代の貴重な時間を過疎地の再生に少しでも良いから費やしてくれないか。
そして、その村を君の故郷にするんだ。
就職してからでも遊びに行けばいい。
って感じのね。」
「そうか、第二の故郷ってことか。」
「うん、もし就職に失敗したら、ここで暮らすという選択肢もあるし。
ここでの成果を元に他の過疎地の再生や廃村復活という手もある。」
「そうか…。」
「ここには参加できない遠い大学でも、先生の本を読んで活動報告も見て…、過疎の村再生をテーマにしたサークルも増えつつあるんですよ。」
「う~ん、君は何時までここに?」
「来週いっぱい、でも残念なのはここの本部で宿泊できるのは今日だけで、後はずいぶん離れた宿泊施設から、毎日通いなんです。」
「宿泊施設に余裕がないってことだったな。」
「はい。」
「そうだ、俺たちのとこで一度泊まるか?」
「いいんですか?」
「今夜相談してみるよ、寝具に余裕があったから、明日もここ?」
「はい。」
「じゃあ俺もここにするよ。
さて、そろそろ作業に戻るか。」
「そっすね。」



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山村体験-6 [権じいの村-5]

「白川先生、権じいはずっとこの村を見守ってきたのですね。」
「はい、高柳さんもそう感じますか。」
「なんか人間って小さいですよね、何百年もこの地に根ざしてる権じいを見上げていると…。」
「はい、同感です。」

「私の人生は色々あって、色々迷って、結局何も見つけられなくて…。
ちょうど派遣の仕事を切られた時に、この企画を知りましてね。
初めは過疎の村を体験なんて、新手の詐欺で、タコ部屋送りかとも思いましたよ。」
「はは、そういう世の中になってしまいましたね。」
「ま、説明を聞いてる内に…、しばらくは寝ることと食べることの心配がないのなら、最近旅なんてしてかったし、なんて軽い気持ちで参加をお願いしたんですけどね。」
「こちらとしては助かったんですよ、今の段階では誰でもいいという訳にはいきませんから。
村の人たちに悪いイメージを与えかねない人を受け入れるだけの余裕はまだないんです。」
「と、いうことは先々…?」
「何を、どこまでやれるかな、って感じですね。
豊かな自然があって、人の住める土地があって、ないのは便利な生活と安定した仕事。
でも、今の世の中、本当に利便性を求める人たちばかりなのか。
この村を離れていった人たちと違う視点が、都会生活に疲れた人たちの心に有りはしないかって思うのです。」
「そうですか、私は昨日、時計を持たずにあちこち散策してみました。
天気が良かったから太陽が時計代わりで、日が暮れる前に戻れば良いなんて気分で…。
風が木立を揺らす音、谷を流れる水の音を聞きながら、森の木々を見ていたら、時間に縛られていた頃の自分が馬鹿らしくなりましたよ。」
「確かに、森に入ると私ものんびりした気持ちになります。」
「でも白川先生はプロジェクトの中心人物って聞いてますから、お忙しいんですよね?」
「まぁそうなんですが、優秀なスタッフに恵まれましてね、私が権じいの下でのんびりしてても問題ないんですよ。
彼らが私に高柳さんとの時間を作ってくれてるってことですかね。」
「確かに優秀な人たちが集まってるって感じます、やはり白川先生の人徳ですか。」
「いえいえ、そんなんじゃなくて…、夢なんですよ。」
「夢ですか…。」
「学生たちだって、卒業後の就職に不安を感じてたり、迷ったり悩んだりしてる子も少なくありません、院生たちだって似たようなものです。
無事卒業できても、無事就職できても…、ってのが学生たちの現実なんです。」
「そうでしょうね、分かる気がします。」
「前向きに、自分の就職した会社で自分の力を発揮したい、と思っていても、現実のひどさは色々な情報として彼らに届いています。
それでも生活のためにはという感覚で割り切って…。」
「今の日本はどこかおかしいと思います、人が大切にされてなくて…。」

「そんな背景もあって、学生たちには色々な話しをしています。
簡単ではない過疎の村の再生を、俺たちの挑戦として取り組んでみないか。
一人の力は小さくても皆の力を集めて、やれることをやってみないか、とか、色々…。」
「あっ、過疎の村再生だけが目的ではなくて、学生たちの再生の場でもあるのですね。」
「はい、そして都会で暮らす低賃金で不安定な労働者をも、再生できないかと思っています。」
「はは私たちのことですね、学生たちもこの視点で?」
「最初は半信半疑だったでしょうが、最近は学生たちも理解が進んで色々な夢を描いてくれるようになってきました。」

「どうなのです、このプロジェクト…、その勝算は?」
「この村だけに限れば過疎の村再生はできると思っています、ここはすでに多くの大学の力が集約されていますから。
多くの実験研究をここに集めることで相乗効果もあるんです。
ただ、結局は、裏技でしかない訳で…。
他の過疎地の再生を考えると、勝算はほとんどありません。
でも、ここでの活動が多方面に色々な影響を与えることになれば、面白いとも考えていましす。」
都会で低賃金労働をしてる人が田舎暮らしを決意してくれて、その人たちをここみたいな村が受け入れてくれれば、この国がもっとバランスの取れた国になると思っています。」
「そういう大きさで考えてらしたのですか…。」
「はは、夢みたいな話しでしょ。」
「まずは、権じいの村からなんですね。」
「はい。」



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山村体験-7 [権じいの村-5]

「西川さん、吉田くん、私はここで暮らす決心をしたよ。」
「高柳さん、ずっとですか?」
「ああ、引っ越すにしても近隣の村にするつもりだよ。」
「じゃあ、しばらくは三人で力を合わせてってことになるんだね。」
「ああ、よろしくな。」
「はい、こちらこそです。
で、俺からは、お二人にお願いが有るんだけど。」
「何?」
「明日、学生を一人泊めたいんだけどさ、どうかな?」
「あっ、通いの子だね。」
「はい、白川先生の本を読んでいたりして、俺の知らないことも色々知ってて、本部に泊まるのは今夜だけなんだって、だったら、ここ余裕あるからさ…。」
「私は構わないけど。」
「ああ、問題ないよ。」
「じゃあ明日伝えて…、そうだ本部にも連絡しておいた方がいいのかな。
担当は誰だろう?」
「電話に出た人に伝えてもらえば良いんじゃないか。」
「そうだね、そう言えば、彼、今日だけは本部だって言ってたから、本人にも伝えておいてもらおうかな。」

「吉田くんちょっと待って。」
「はい?」
「ここは五人分の寝具があるから、二人でも良いんじゃないか、ねえ西川さん。」
「そうだな、学生たちが不便な思いしてるのに…、明日だけじゃなくても。」
「とりあえず明日は二人泊めても良いって連絡してよ。」
「はい。」

「私はね、この二日間、村の人とも、そう、農村体験なんです、なんてことも話したりしたんだ。
そしたらね、一度泊まりに来て村の本当の暮らしぶりも体験していったらいい、なんてお誘いも受けてね。」
「学生たちが良いイメージを持たれている証拠だな。」
「はい、だから私が泊めていただく日は、ここには学生を三人泊めることも可能だと思って。」
「まあ、西川さんのいびきに耐えれる子に限るけどね~。」
「ははは。」

「布団があったら十人でも余裕だな、ここ。」
「だよね~、俺なんか漫喫で一泊なんてよくやってたから、すごく贅沢な気分ですよ、西川さん。」
「ここはテレビぐらいしかないけど、君らぐらいの歳だと刺激が少なすぎるとかないの?」
「まぁね、でも仲間がいるからさ、ちょっと年寄りだけど。」
「だから、年寄り扱いすなって!」
「はは。」
「そうだ、派遣先で知り合った連中に声をかけてみるのも有りじゃないのかな、体験してみないかって。」
「うん、大学からの便に便乗させてもらって、ここに泊めて体験してもらえばいい、私たちで色々フォローできるだろうし。」
「明日本部で色々相談してくるよ。」
「りょ~かいしました~、高柳先輩!」
「おいおい、私は先輩か?」
「ははは。」



Levi's x Fenom
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山村体験-8 [権じいの村-5]

「慶次さん、山村体験の方々は皆さん、ここで暮らすことになったんですね。」
「まぁ、面接の段階で、村に残ってくれそうで、プロジェクトにプラスになりそうな人を選んでおいたからね。
真一は三人のことどう思う。」
「そうですね、吉田さんは学生たちの兄貴分ってとこですか、学生をあの家に泊めるなんて僕は思ってもいませんでした。」
「家に余裕を持たせておいて正解だったな。」
「慶次さんは、それも見越していたのですか…。
西川さんは次の山村体験の方を受け入れる時に、色々面倒を見てくれそうです。
それに、お店の店長をお任せしてもいいかも。」
「ああ、以前に経営していた店をつぶしたそうだけど、こんどの店が倒産することはまずないからね。」
「高柳さんは三十代半ばですか…、う~ん、うまく言えないんですけど…、リーダータイプですか?」
「うん、彼とは色々話してね、大学とは違った視点で、このプロジェクトを支えてもらうことになりそうだよ。」
「どんな感じなんです?」
「この村を広く見ていただくってとこかな…、その後…。」
「その後?」
「市議会議員になってもらう。」
「えっ?」
「まだ、ご本人もご存じない、俺の勝手な考えだけどね。
しばらく彼の様子を見て、俺の判断に確信が持てたら伝えるつもりなんだ。」
「はい…。」
「高柳さん、俺の考えにすごく同意してくれてな。
このプロジェクトのために働きたいって。」
「はは、慶次さんの話しを聞いたら、そう思う人少なくないですよ。」
「まあな、で、とりあえず彼には、この村のすべてのお宅を訪問して、聞き取り調査をして下さいとお願いしてある。」
「そういった調査なら学生でも…。」
「調査用紙は一切持たないし調査結果を全部報告する必要もない、高柳さんが我々に伝えるべきだと感じたことだけ報告してもらう。
調査と平行して、このプロジェクトに対する村の人からの質問に答えてもらう。
その場で答えられなかったら、翌日、答えを持って再度訪問してもらう。
学生のやる調査では表に出てこないことを、聞き出してもらうという一面もあるんだ。
相手が学生なのと高柳さんでは話題も当然違ってくるからね。」
「あっ、住民の生の声を聞いて…。」
「本来の選挙活動そのものを実践してもらうのさ。
あるべき選挙運動の姿と言ってもいい。
この村で手ごたえを感じてもらえて、俺も確信を持てたら市議会議員の話しをして、了承してもらえたら選挙区内の全戸訪問をしてもらうつもりなんだ、調査という形で立候補の予定とかには全く触れなければ問題もないかと思ってね。」
「次の選挙までは…?」
「時間は十分ある。」
「じゃあ、政治学とかの先生と連絡を取りますか?」
「それは、まだいいよ。
ただ名刺が必要になるんだ。」
「名刺なら簡単に作れますが。」
「問題は肩書きなんだ。
大学関係者からクレームが出てもいけないし…。」
「そうですよね…。」
「何かいいのないか?」
「う~ん…、いっそ開き直って、権じいの村、村民なんてどうです?」
「うん、そうか…、いいかもな、権じいのロゴも作ってさ、俺のも作ってくれよ。」
「はい…、自分のも作ろうかな…。」
「はは流行したりして…。」




WEB-CO2って?
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山村体験-9 [権じいの村-5]

「どうです、西川さん?」
「うん、権じいの村に住んでの感想か…。
う~ん…、そうだな、とまどうことも色々あったけど…。
自分にとって、ここは天国かもしれないな。」
「えっ、色々不便はありませんか?」
「はは、まあそうだけどな、でも明日は路上生活かもって生活してたから…、下界ではね。」
「そうなんですか…、でも普通の人ですよね、西川さんは。」
「ああ、自分でもそのつもりだった、でもね今は普通に働ける人でも、ちょっと間違ったり、運がなかったりするとな…。」
「…。」
「明日の見えない生活、槍投げな毎日。」
「投げやりでしょ?」
「はは、そんな生活と比べたら…、ここは…、まぁ守られてるって感は強いけどね。」
「はい?」
「権じいの村プロジェクトにさ。
ここに住もうって決めた時には、まだよく分かってなかったけどな。」
「そうなんですか。」
「他の村だったら、こんなに楽な生活できないだろうからな。
今は守られてる分、プロジェクトに、慶次さんたちに恩返ししたいと思ってるよ。」
「それで、お店の仕事を熱心に。」
「この店を独立採算の状態にして、初期投資をプロジェクトに返して、その後は…。
この歳になって夢が持てるとは思ってもいなかったよ。」
「あっ…、そう言えば権じいの村プロジェクトのことを夢プロジェクトって話してる人もいますよね。」
「ああ、慶次さんの描いてる夢は大きいぞ~。
自分が手伝えることなんてたかがしれてるけど、少しでも力になりたいって思う…。
そうそう、そこのパン、どう? 安くするからさ。」
「は、はい、じゃあ一つ。」



地球にやさしいWEBサイトって?
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山村体験-10 [権じいの村-5]

「高柳さん、俺、思うんです。」
「うん、何を?」
「ここへ来る前、俺、ここよりうんと便利で楽な生活をしてた筈なんです、都会で。
でも、貧乏で余裕がなくてさ、現実逃避してたっていうか現実逃避するしかなかったんですよ。」
「わかるよ、私も夢のない生活をしてたからね。」
「ここはすごく居心地がいいです、山奥の村なんてすごく不便だと思ってましたけど。
実際不便なことがあっても、慶次さんたちに守られて生活していて、すごく気持ちが楽になりました。」
「だな。」
「でも、ここは特別な村じゃないですか。」
「その通りだ、慶次さんに言わせれば裏技だからね。」
「高柳さんたちと始めた、過疎の村体験は本当の意味ではできていないと思うんです。」
「ああ、吉田くんの言う通りだと思うよ。
私は慶次さんからの提案を受け入れて、この周辺の村を周っているけどね、本当に人が少ないんだ。
この村の昼間人口を考えたら、すでにここは過疎の村と呼べないな。」
「俺、この村を出て他の村も体験しなきゃだめじゃないかと…。」
「うん、いい考えだ。」
「でも、どうやってどこへ行けばいいのか…。」
「はは、どうかな…、私と一緒に、しばらくここの周辺の村を周ってみないか。
気のあった方のお宅に泊めてもらったりできるかもしれないよ。
まずは私が仲良くなった人たちを紹介するかな。
でもな、無理はするなよ、私たちの家はここにあるのだからな。」
「はい。」




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