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香織-1 [権じいの村-3]

「真帆、突撃部隊の子たちさ…。」
「うん…、またきます~って泣きながら手を振ってた子がいたわね…。」
「たかだか二泊だったのにな。」
「そうよね…。」
「また権じいに会いにきます~って子もいたな…。」
「ふふ、やっぱ権じいの力かしら…。」
「権じい~、ありがとう~。」

はは、わしゃ、な~もしとりゃせんぞ。
お前さん方を見守るだけじゃな。

「アクシデントもあったけどね。」
「ああ…、それにしてもさ、あの子たちから、もっとここにいたいから帰りを遅くして下さいって言われたのには、正直驚かされたよ。」
「彼女たちなりに色々考えたのでしょうね。」
「うん、今時の子たちだろうから、どうかと思ってたけど…。」
「みんな良い子だったわ。」
「まぁ、携帯電話の使えないような過疎の村での調査、というのに応じてくれた子たちだからな。」
「そうね…、あらっ、誰か上がってくるみたい…。」

「あっ、慶次さんと真帆さん、めっけ。
う~ん、おじゃまだったかしら?」
「そんなことないさっ…。」
「えっ? 何人で来たの?」
「全員だったりして。」
「夕食の当番も?」
「はい。」
「大丈夫なのか?」
「はい、ご褒美をいただきました。」
「えっ?」
「次三郎さんのことは、もう村中に知れ渡ってるそうなんです。」
「うん。」
「突撃部隊の子たちも、予定を変更して村の方々と交流していってくれましたし。」
「はは、そうだったな。」
「それだけじゃないですよ。」
「おれは畑仕事、手伝いました。」
「僕は壊れかけてた戸を直したりとかしたんですよ、慶次さん。」
「俺たちの挑戦が、ほんとの意味で始まったんだなぁ~。」
「はい、で、事情のわからない村の人には香織さんが色々説明して下さったんです。」
「あっ、香織さんありがとう。」
「ふふ、顔見知りが説明した方が話しが早いと思いましてね。」
「確かにその通りだ、ほんとにありがとう。」
「いえいえ、自分の生まれ育ったこの村が、元気に生まれ変われるかもしれないってのに…、皆さんのお力になれなかったらはずかしいですから。」
「そんな…、お仕事を休んでまで協力して下さってほんとに感謝してます。」

「慶次さん、突撃部隊の子たちの予定変更のこととかも村の方々に伝わってましてね。」
「うん、予定外の昼食準備、ありがとうな、みんな。
あの子たちと入れ替わりの予定で上がって来たメンバーと重なってしまったから大変だったろ?」
「そんなの大したことじゃなかったですよ。
でも、そんなことも香織さんが村の方に話して下さって、結果…。」
「結果?」
「今日の晩御飯は村の方々が私達にご馳走して下さるってことになりまして。」
「えっ?」
「小春ばあちゃんもはりきってましたよ。」
「うむ…。」
「まぁ、ゆっくりしておいでって感じで…、私たち、本部から追い出されちゃいました。」
「はは。」
「そう言われても、お店の一つもないじゃないですか~。」
「はは、確かに。」
「で、なんとなく、権じいのとこでも行くかってことになりまして…、今日上がって来たメンバーにも見せたかったし。」
「なるほど、なるほど、納得したよ。」

「慶次さん、私、びっくりしてます。」
「うん?、留美ちゃん?」
「私、村の人たちと仲良くなれるのは、もっと先だと思っていたのです。」
「う~ん、そうだよな、留美ちゃんの言う通りだ、俺もな、小春ばあちゃんや香織さんとの出会いがなかったら、もっと時間がかかったって思ってるよ、それがさ…。」
「次三郎さんのこともあったしね、慶次。」
「うん、ほんとに予定外の出来事だったけど、結果はプラスになっちゃったな、俺たちにとって…。」
「慶次さん、でもほんとのスタートはこれからですよね。」
「ああ、その通りだな。」




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香織-2 [権じいの村-3]

「ねえ香織さん、明日の予定は?」
「みなさんの食事の用意と掃除かな、明後日には帰…。
帰るって変ですよね、ここが自分の村なのに…。」
「出稼ぎに行くんですよね。」
「はは、慶次さんったら。」

「明日は食事の用意とかじゃなくて、みんなが何をしてるか見てくれないかな。
食事当番、掃除当番も、ちゃんといるからさ。」
「でも、私なんか…、おじゃまじゃないかしら。」
「じゃまなわけないですよ~、明日はおれたちと。」
「おいおい抜け駆けはよせよ、健吾。」
「はは、大歓迎ということだな。
見学の案内は…、真帆、いいかい?」
「いいわよ、私も現時点での状況を把握しておきたかったから。
みんな、明日のスケジュールに変更はないわね。」
「はい。」

「あっ、のろしが上がりましたよ。」
「えっ、のろし?」
「食事の用意ができたって合図なんです。」
「はは、なるほどな…、のろしなんて大昔のものだと思っていたけど…、面白いな。」
「でも本部に背中を向けていたら気づかないかも。」
「まさか、育ち盛りが何人もいるんですよ。
誰かさんなんかずっと本部の方を見てたりして。」
「えっ? 誰かさんって、おれのこと?」
「違ったかな、食いしん坊さん。」
「ははは。」

「じゃあ行こうか。」
「はい。」

「慶次さん通信手段の方は今のままなのですか?」
「うん、しばらくは無線中心だな。
まぁ、みんなが地元の方と親しくなれば固定電話をお借りして、ということもありだけど。
昨日も、源太郎さん…、君の家で一回お借りしたよ。」
「やはり携帯は無理ですか?」
「いや、そうでもないけど…、携帯の使えない環境ってのも研究対象の一つになっていてね。
そっちの研究がある程度まとまるまでは今のままかな。
ただね、携帯が使えないことを楽しんでいる子も結構いてね。
友達がいなくなる~、なんて、冗談っぽく言いながら手紙を書いてる子もいるし。」
「手紙かぁ~、ぜんぜん書いたことないです、私。」
「仲間がここにいるから必要ないじゃん、って言ってる子もいるよ。」
「そうなんですか…。」
「光ケーブルを引っ張ってくる予定はあるけどね。」
「えっ? ここまで? 簡単なんですか?」
「ケーブルの敷設方法とかの研究をしてる研究室、ケーブルそのものを研究してる研究室、と電話会社の研究所が共同でやってくれる。」
「でも、費用は…。」
「全部会社が負担してくれることになってるよ。」
「太っ腹~。」
「会社としても色々メリットがあるのさ。」
「メリットですか。」
「大学の研究室と良好な関係を保っていれば研究面のメリットがあるし、優秀な学生を見つけやすくなるし、ここでは光回線を利用した色々な実験もする予定だからね。
樋口くんっているでしょ。」
「はい。」
「彼は、独り暮らしのご老人が発作とかのトラブルに見舞われた時の緊急連絡システムの研究をしてるんだけど、光回線を利用して、緊急時以外でも、そのシステムが活用できないかって模索してるよ。
とにかく簡単で分かりやすくするということが、一番難しいそうだ。」
「そういうものなんですか…。」

「研究者にとってネットは不可欠だって理解してもらってるから意外と早く作業してもらえそうなんだ。」
「う~ん。」
「どうしたの?」
「じいちゃんちにパソコン、置こうかな~。」



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香織-3 [権じいの村-3]

「香織さん、見学の一ヶ所目はここよ。」
「はい、真帆さん男の子たちが作業してますね。」
「ここは駐車場にさせていただく予定なの。」
「駐車場なら校庭があるじゃないですか?」
「今はね、でもいずれは本来の運動場として利用したいから。」
「それだと、ここでは狭くないですか?」
「ええ、ここの他にも考えてるわ、ただね大学関係者の車についてはここへの乗り入れを制限するつもりなの。」
「制限ですか?」
「制限しなかったら、ここ、車だらけになっちゃうわよ。」
「そうか、大勢の人が来るようになるのですね。」
「だから駐車場はう~んと下に作る計画でね、土地確保の話しも進んでるのよ。」
「でも、それだとここまではどうするのですか?」
「駅と駐車場、診療所の前を通ってこことをバスでつなぐ予定、そうそう、ここだけだと宿泊に無理があるから、幾つかの宿泊施設も…、バス停候補ね。」
「路線バスということですか、昔はここにもバス路線があったそうですけど、バス会社は採算が取れないと…。」
「バスは自前で用意するから大丈夫よ。
ほら、山岸先生たち、大学のバスで来てたでしょ。
おかげで簡単に予定変更できた訳だけど、ああいうバスの古くなったのを使わせていただくことになっていてね。
まぁ現時点で八つの大学が関係してるから二三台なら簡単だし、場合によっては大学から直通ってのも有りなの。」
「私とかも乗せてもらえるのですか?」
「もちろんよ。
それとね、バスだけじゃあ効率が悪いから、7人乗りとかも使う予定でね、こっちは新車よ。」
「やはり何かの研究なのですか?」
「さすが、分かってきたわね。
自動車メーカーから無償で借りるという形になってるけど、ここみたいな坂の多い所で使った場合の色々なデータをとって研究に生かすそうよ。」
「そっか、でも真帆さん、誰も乗らないことがあったり、満員で乗れないってことは有りませんか?」
「一つの交通システムを研究中、コンピューターを使って乗員数を管理することになるでしょうね。
毎日同じ時間に運行する必要もないし。

あらっ、彼ら作業に区切りがついたみたいね。
行きましょうか。」
「はい。」



かみまど
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香織-4 [権じいの村-3]

「みんなお疲れさま、作業一段落ついたとこ?」
「はい、真帆さん、この後は本部に戻って計算とか検討とかになります。」

「みなさんは、今は何をしてたのですか?」
「香織さん、ここは駐車場にするんで、おれは測量をしてたのです。
今回は簡単に、ですけどね。」
「ぼくらは土質の調査です、一汗かきましたよ。」

「ここをアスファルトで覆うのですか?」
「そうしてもいいんですけど、ちょっと問題があるんです。
「どんな?」
「一つは水はけ、大雨が降ったら車が水没しかねません。
もう一つは堆積物、アスファルト舗装をしても、すぐ地盤沈下してがたがたになってしまいます。
休耕田って聞いてたから予想してたことなんですけどね。」
「じゃあどうやって駐車場に?」
「きちんとやるなら堆積してる草や木の腐った層を全部取り除いて、不純物のない砂利や砂で埋めてしっかり固めてから舗装、となるんですけど…。」
「それじゃあ費用も沢山かかるし、面白くもなんともないじゃないですか。」
「そこで、まず近くの砂防ダムに溜まってる土砂か、川から砂利を運んで埋めようかと。
色々混じりそうですから、お勧めではないんですけどね。」
「どちらにしても砂防法とか河川法とかあるので、可能かどうか、うちの大学の法学部で調べてもらっていまして…。」
「可能ならそのまま手続きをしてもらうことになってます。」
「治水に配慮した形なら問題ないと思って、治水が専門の研究室と連絡を取り始めました。」

「はぁ。」

「沈下の方は開き直って、沈みたかったら沈め、ということに。」
「えっ? 沈んだら…、がたがたになってしまうのですよね?」
「どんな風に沈下していくのか継続的に調査していこうということにしようかと。」
「沈んだ所は埋め直せばいいですからね。」
「表面は実験的に間伐材を使うつもりです。」
「間伐材って森のですか?」
「はい、植林地の調査をしてる奴から間伐材を有効に使えないかって話しが有りまして、何んでも、ここの森はずいぶん放置されていたそうで、再生を考えると大量の間伐材が出てくるんだそうです。」
「そうでしょうね…、昔は林業も良い収入源だったそうです、でも今はぜんぜんだめで、森の手入れをする人もいなくなって…。」
「で、おれが考えたのは駐車場で使うという案なんです。」
「昨日は議論が白熱したよな。」
「どんな議論だったのですか?」
「間伐材をどう使うかです。」
「始めに出たのは板にして並べる、でも安定が悪くないかって言い始めて、輪切り案。」
「そうしたら輪を四等分にして並べ変えた方が安定が良いかも、とか、輪切りにしても厚さはどれぐらいが適当かって感じで。」
「結論は出たのですか?」
「いいえ、結論を出す代わりに色々試すことにしました。
駐車スペースごとで色々条件を変えることにしたんです。」
「ちなみに数学科の友人とか、何人かと連絡をとって大学の方でも考えてもらうことにしました。」
「ユニークな駐車場になるのですね。」
「はい。」



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香織-5 [権じいの村-3]

「え~っと…、たしかこの辺りの筈なんだけど…。」

「香織さ~ん。」
「あっ、あそこで手を振ってますね。
畑で何をしてるのでしょう?」
「行きましょか。」
「はい。」

「ここでは何を?」
「畑の調査です。
畑の面積、何が植えられているか現在の状態といったことを確認しています。
あそこで、おばあさんと話してる子は聞き取り調査、今の季節以外の時期にはどんな作物を作っているのか、どれぐらいの収穫があってそれをどうしてるか、と、いったことです。
調査をお願いしたら、あのおばあさんは快く受けて下さって…、それだけでなくて明日は三食、おばあさんの所でいただくことになりました。」
「おそねばあちゃん、独り暮らしだから…、喜んでみえたでしょ、ふふ。」
「はい。」
「でも、きっかけは?」
「食生活の調査もしてるんです、彼女の専門なんですけど。
朝は何をどんな風に食べてるかといったこともお聞きしたいのですが、とお話ししたら、なら実際に食べていけば良いって。
慶次さんたちと小春ばあちゃんのことも思い出して、お願いすることにしました。」
「じゃあ明日の予定は少し変わるのね。」
「はい、真帆さん。」

「おそねばあちゃん、お久しぶり、お元気そうね。」
「おお、香織ちゃんか、父さんたちはどうしとる?」
「はい、こっちへ来る前に寄ったら、元気にしてました。」
「香織ちゃんは町で独り暮らしなんじゃろう、どうじゃ大変か?」
「あれっ、どうして知ってるの。」
「香織ちゃんが若い人たちの手伝いに来てるって、そうじゃな、噂のまとじゃぞ。」
「へへ。」
「どうじゃ、良い男、おったか?」
「いやだな~、ばあちゃんたら、そんなんじゃないわよ。」
「結婚してここに帰って来て欲しいがの。」
「はは。」
「まあ無理なんじゃろうな。」
「う~ん。」

「おばあちゃん、こんにちは。」
「はいこんにちは。」
「私はこの子たちの調査責任者のひとりで山神真帆と申します。」
「大学の先生かね?」
「はい、今回は色々協力していただきまして有難うございます。」
「なんのなんの。」
「明日もこの二人がお世話になるそうで…。」
「ええって、久しぶりに若い子たちとごはんできて、わしの方が楽しみじゃな。
ほんとはご馳走してあげたいんじゃが、普段食べてる物じゃないとだめなんだそうでな。」
「はい、調査の一つなので、よろしくお願いします。」




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香織-6 [権じいの村-3]

「香織さん、どうでした。」
「もうびっくりです、住む人がいなくなって朽ち果てたような家を調べてる人がいたり、虫のことを調べてる人がいたり…。
慶次さん、大学って色々なことを研究してるのですね。」
「はは、今日見てもらったのはほんの一部だけどね。」
「そうなんですか。
もう一つびっくりしたのは、違う大学、違う学部の人が協力しあってることです。」
「うん、これはすごく珍しいことなんだよ、本格的に動き出した時、学部を越えての大学間交流の規模は他に例をみないものになるだろうな。」
「大学ってすごく専門的に研究する所だと思ってました。」
「実際その通りだよ、一つのことを突き詰めて行くって感じかな。
でもね、そればかりだと見落としが出てくることもあるのさ。
すごく便利な物を生み出したつもりが公害の元になったり、すごく作業効率のいいシステムを作り出したつもりが働く人にとってストレスの大きいものだったり。
そんなことが実際色々あったのさ。
それで、専門的な研究も必要だけど、違った角度から、色々な視点で、その研究を検証できるような形が作れないかと思ってね。」
「何か難しい話しです。」

「はは、そうだな…、交通システムのことは聞いてくれたかな。」
「はい。」
「そのシステムをここで実際に使ってみることで、色々な問題点とか可能性とかが見えてくると思ってるんだよ。
利用者はほとんどが関係者だから気付いたことはすぐ伝えてもらえるだろうからね。
もちろん村の人たちにも利用してもらえたら問題点の見落としも少なくなると思ってるけど。
ここで改良を加えて問題の少ないシステムとして運用できそうなら、どこかの自治体が導入するかもしれないんだ。
でもね、もしここでの実験的運用がなかったらどうなると思う?」
「え~、よく解りません。」
「机の上で考え生み出されたものを、自治体がそのまま導入ということも有り得るんだよ。
そして運用が始まってから大きな問題に気付くということもね。
今回のシステムは比較的導入しやすいから起こりうることなんだ。」
「そっか、ある研究室で考えられたものを、みんなで見直してから実用化するのと、いきなり実用化という違いなんですね。」
「そういうことさ。」
「ここは車のある家ばかりじゃないから、下の町まですらめったに出ない人も結構いると思うんです。
バスが使えるようになったら、みんな喜んで利用するんじゃないかしら。」
「うん、調査の結果もそう出てるよ。」




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香織-7 [権じいの村-3]

「ただいま~。」

「おや、香織、早かったの~。」
「うん、おばあちゃん、明日帰…、じゃなかった、明日出稼ぎへ行くから用意をしておこうと思って。」
「なんじゃ? 出稼ぎって?」
「ふふ、慶次さんと話しててね、へへ、まぁいいじゃん。」
「で、どうなんじゃ慶次さんとは、なかなかの男じゃと思うがの。」
「どうって? はは、だめだめ、真帆さんがいるし、私なんかじゃぜんぜんついてけないスケールの大きな人だから。」
「喜んで手伝いに出かけるから期待してたんじゃがな。」
「ふふ、おばあちゃんの期待に添えなくてごめんね、でもねほんとみなさん素敵な人たちなのよ、私のことも普通に仲間って感じで接してくれたりしてさ。」
「歳も近いんじゃろ。」
「うん、同い年の学生さんもいるし、ちょっとお兄さんの院生さん、お姉さんも。」
「その院生さんの中にええ人がいるのかえ?」
「も~、おばあちゃんたら~、そんなんじゃないってば。
ねえ、おばあちゃん、初めて慶次さんたちと出会ってからね、私、ず~っと色々なこと考えてるの。」
「ふむ。」
「今までの人生でこんなに考えたことなかったってぐらいね。」
「そりゃまぁ大袈裟じゃな。」
「へへ、私が中学生になる時さ、お父さん、決心してこの村から離れたじゃない。」
「そうじゃったな、香織がここから中学に通うとしたら大変じゃったし、収入もな…。」
「町でも、お父さん苦労してたみたい、あまり話さないけどね。」
「な~に盆や正月の様子を見てればそれぐらいわかるというもんじゃったよ、遠くへ行けばもっと良い仕事もあったろうに、わしらに気を使っとったんじゃな。」
「私は普通に地元の高校へ進学、卒業して普通に隣の県へ働きに、こっちじゃ就職先探すの大変そうだったから、何の迷いもなかった。」
「あんときゃ寂しかったんじゃよ、ここから出てくだけじゃなくうんと遠くへ行ってしまうようでな、じいさんも、香織は今度何時来るんじゃろって…。」
「うん。」
「でも香織が何時帰ってきても良いように部屋はちゃんとしとかないかんて口うるそーてな。」
「ふふ、中学の頃も高校の頃も…、今も、ここに帰って来ると何時も私の部屋がきちんとなってて、おばあちゃんありがとうね。」
「な~も、ここは香織の家じゃからな。」
「うん。」

「そうそう、明日はどうするんじゃ?」
「お父さんと相談したいこともあるから早めに出るつもり。」
「ゆっくりしてったらええのに。」
「そうもね…、でも近い内にまた帰って来るから。」
「そうかい、そうかい、そりゃ楽しみじゃな。」



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香織-8 [権じいの村-3]

「香織さん、今回は色々手伝ってくれてほんとうに有難うね。」
「いえいえ、真帆さん、私の方こそです、すごく楽しくて不思議な経験ができましたから。」
「不思議? だったの?」
「はい、ここはいつ帰って来ても老人ばかりで…、自分と同世代の人たちがこんなにもいる風景なんて、よその村かと思うぐらいでです。」
「そっか、ねえ香織さんの目から見て私たちのチャレンジ、うまく行くと思う?」
「はい、きっと、村の人たちは活気が戻ったって喜んでるし…、そうそう、昨晩おじいちゃんと話したのですけどね。」
「ええ。」
「冬を越して春になったら、お祭りやりませんか。」
「お祭りかぁ~、いいわね。」
「昔ながらのお祭りは途絶えちゃったのですけど…。
おじいちゃんは、昔のお祭りを復活させてもいいけど、新しいお祭りを始めてもいいって。」
「えっ? 新しいお祭り?」
「はい、どんなお祭りだって、最初は何かきっかけがあって始まってる、良いきっかけがあれば悪いきっかけもあったかもしれないけど…、で、今回は村の再生というより新しい村を作る…、そんな感じで、その象徴的な祭りを開いててもいい、という様なことを話してくれたのです。」
「う~ん、すごい、そうよね…、その通りよね、はは、とても慶次を困らせた源太郎さんの言葉とは思えないわ。」
「ふふ、ちゃんと補聴器つけてましたから。」
「はは、そう言えば慶次はよく源太郎さんのとこへ行ってるのよね、何しにって聞くと相談があってなんて言ってたけど…。
源太郎さんって何者?」
「おじいちゃんは私が生まれた頃まで村長をやってたのです。
村長を退いてからはこの地区の世話役をずっとやってて、ふふ、慶次さんなら県知事だって任せられるなんて言ってましたよ。」
「はは、慶次が地方自治の問題とかにも詳しいということを見抜いてらしたのね…。」

「あっ、もうこんな時間、私そろそろ…。」
「そっか、そうそう私たちも交代で大学の方へ戻ったりするから、今度は大学の方へも遊びに来てね。」
「はい、ぜひ。」
「じゃあ気をつけてね。」
「はい、えっと~、いってきま~す。」




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香織-9 [権じいの村-3]

ピンポ~ン。

「香織~。」

「は~い、沙紀、今、開けるわ。」
「あらっ、前に来た時よりすっきりした感じね。」
「う、うん、あまり使ってないものは実家へ送ったの。
それより、番組もうすぐだからさ。」
「わかった、ちゃんとチューハイとか買ってきたからね。」
「うん、さぁさぁ。」
「はは、香織ったらワクワクモード?」
「へへ。」

「始まったわね、権じいの村、過疎の村での新たな挑戦かぁ…。」
「大杉さまだ…、あっ、沙紀、あの家は小春ばあちゃんちよ。」
「へ~、ここが香織の育ったところなのね…、雪が積もってる。」
「あっ、じいちゃんちも映った…、あそこには私の部屋もあるのよ。」
「ふ~ん、それにしてもすごい田舎ね。」
「ふふ、コンビニもない、信号もない…。」
「何にもないんだ。」
「でも豊かな自然があるのよ。」

『この村は…。』

「そっかお年寄りばかりの村なのね…。」

『この村をユニークな手法で再生しようという活動の…。』

「あっ、慶次さんだ、テレビ映りもいいわ~。」
「かっこいいじゃん。」

『現時点で12の大学が参加と…。』

「あ~、増えたんだ。」

----------

「こんな真面目な番組…、香織に誘われなかったら絶対見なかったわ。」
「でしょうね。」
「でも、何か考えさせられたし、ほんとに挑戦なのね。」
「うん、実際に大学の人たちとかのお話しを聞くと、もっと、すごいって感じるわよ。」
「そっか、こんなことに香織は始めの頃から関わっていたのね。」
「ふふ、ちょっとした偶然でね。」
「それにしても、あんなとこで暮らすなんて大変そ~。」
「うふ、住めば都よ。」
「私には無理。」
「はは。」
「あっ、お正月はあそこで過ごしたのね?」
「うん…、沙紀…。」
「香織…。」
「お正月にね…、おじいちゃんや家族のみんなと相談したんだ。」
「うん。」
「今の仕事やめて帰ろうかなって。」
「えっ?」
「さっき映ってた、じいちゃんちで暮らそうかなって。」
「え~、何にもないとこなんでしょ? お年寄りばかりで…。」
「はは、そうなんだけどね。」
「大変そうだけど…、そっか、香織はここでの生活に馴染みきれてないとこがあったから…。」
「うん。」
「でも仕事とかないんじゃ…?」
「それがね…。」




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香織-10 [権じいの村-3]

「えっ? 香織ちゃん、会社やめるの?」
「はい、慶次さん、ずっと考えていたのですけど…、お正月に帰った時におじいちゃんやお父さんとも相談して決めました。
私、おじいちゃんちで暮らします。」
「そうか…、でも、仕事は?」
「私一人ぐらい、贅沢しなければ何とかなるって、おじいちゃんは慶次さんたちの手伝いを奉仕の気持ちでしなさいって。」
「う~ん、そうかボランティアって感覚なんだろうな、さすが源太郎さんだ。」
「手伝わさせていただけますよね?」
「もちろんさ、ただしボランティアではなく、きちんとした形で働いて欲しいかな。」
「え?」
「色々な大学が関わってくれているから…、今は組織が複雑になってる訳、それを整理して円滑に運営していくための、独立した法人を立ち上げる計画も順調に進んでいてね。
はは、まあ適度に揉めながらだけど。」
「はい。」
「当然、職員が必要になってくるのさ、香織ちゃんなら即採用だな。」
「は、はい、私にできる仕事も?」
「いや~、香織ちゃんにしかできないっていうか、香織ちゃんが適任という仕事も幾つかあるよ。」
「そ、そうなのですか?」
「真帆なんか、香織ちゃんに今の仕事やめてもらって、なんて本気で話してたぐらいさ。」
「そんなこと聞いてませんわ。」
「うん、軽はずみな話しで香織ちゃんの人生を狂わせてはいけないからってことでさ…。」
「もっと早く話して下さっていたら長く悩まずに済んだのに~。」
「でも簡単で楽な仕事でもないからさ…。」
「村のためになって、慶次さんたちのお役にも立てる仕事ですよね!」
「もちろんだよ。」

「はぁ~、お父さんの仕事がないから村を離れ、地元では仕事がないから、私はここで就職して…、でも…、今は村に仕事があるのですね?」
「ああ、香織ちゃん、俺たちと働いてくれるかな。」
「もちろんです! よろしくお願いします!」




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