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履歴書 春野詩織 (猫洞堂、おまけ) [猫洞堂]

履歴書書くのって結構面倒なのよね。

由香里は履歴書で落とされることはないから簡単でいいのよ、って言ってたけど。
落ちたら次を探さなきゃいけないし。

まあ、とにかく書くとしますか。
春野詩織、1981年9月3日生まれのおとめ座よ~、って星座書く欄ないわね。
住所は名古屋市名東区極楽3丁目5963番地っと…。

さあここからが問題ね、学歴と職歴、学歴はともかく職歴はなぁ~。
高校卒業してから色々やったのよね。

まずは小さな会社の事務員。
怒られてばかりだった。
で、嫌になってやめて、喫茶店でアルバイト。
コップとか皿とか、色々割りまくった…。
とどめは店長の大切にしていた柱時計を掃除中に落下させて大破だったな~。
なぜか私の周りの物って壊れやすいのよね~。
壊れにくい物と考えてブティックで働き始めたら、お客さんがよく切れて困ったものだったわ。
30分待たせたぐらいで切れるなんて、今時のお客は気が短いのよね。
まあちょっと私のミスでサイズが違ってたなんてこともよくあったけど。
がんばれば着れたと思うけどなぁ~。

職歴は適当にごまかしておくかな。

次は免許とか資格ね。
高校時代資格試験落ちまくったから特別な資格なし。
運転免許は、お父さんが半泣き状態で取らないでくれって、運転なら由香里よりうまくなれた気がするんだけど、さすがに親の猛反対を押し切ってまでというのもなんだったから、結局、ここは空欄になっちゃうのよね。

志望の動機か…。
う~ん、由香里に誘われたからなんだけど…。
そう言えば、この履歴書持っていく会社って何やってる会社なんだろう?
まぁいっか。




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面接 武田謙二 (猫洞堂 おまけ) [猫洞堂]

「人事部長、入社希望の方が、おみえになってますが。」
「何? わが社では一般募集はしてないぞ。」
「まぁ、お固いことはおっしゃらずに面接だけでもしてあげればどうです。」
「う~ん、由香里くんがそう言うのなら会ってみるかな。」

「武田謙二です、よろしくお願いします。」
「どうぞお掛け下さい。」
「失礼します。」

「う~ん、まずは、うちで働きたいと思った理由は?」
「そうですね簡単に言ってしまえば好奇心です。」
「ふむ、で、どうやってうちの会社のことを知ったのかね?」
えっ? 普通に求人誌に載っていましたけど。」
「何? ちょっと失礼。」

奥に入る人事課部長。

「おい、誰だ、求人誌にうちの情報を出したのは?」
「あら? お話ししてませんでしたか…、あ~人事部長ったら、この前の宴会の時って酔ってないって言いながら実は半分寝てたのですね。」
「何? 確かあの時は…。」
「武田さんが、お待ちですけど。」
「仕方ない、適当な理由をでっち上げて、保留、後で不採用で良いだろう。」
「少しはお話し聞いてあげて下さいね~。」
「当たり前だ、私も子どもじゃないからな。」
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ぷろろーぐ [猫洞堂]

「ふわ~、よく寝た、ちゃんと二度寝もしたし、そろそろ起きるかな。」

ベッドから起き上がり身支度を始めたのは、遠野由香里、24歳、独身、独り暮らし…。

「ちょっと~、何勝手にナレーション入れてるのよ~、自己紹介ぐらい自分でするわ、もう年までばらしちゃって!」
はい、ごめんなさい。
「分かればいいわ!」

「あ~ら、ごめんなさいね、ほんとはとてもおしとやかなのよ、うふふ。
今日は涼しげな白の軽いワンピースに、日傘はかわいい空色。
まだまだ暑いですからね。
さてと、そろそろ出かけるとしますか。」
パタン、カシャカシャ。
「このマンションの良いところは、やっぱり眺めの良さかな。
11階ってこともあるけど、結構緑も多いでしょ、って見えないか。
下に見えてるのが猫ヶ洞池…、あっエレベーターが来たから乗るわね。」

「この辺りは坂が多いの、しかも急、なのに結構ご立派な家が多くて…、お金持ちは坂が好きなのかしら。」

由香里は楽しげに坂道を上っていく。
白い肌の美女が軽く揺れる白いワンピースを身にまとい、空色の日傘をかざして、立派なレンガ塀の前を通りすぎる。
絵になる光景だ。

「ふふ、さあ着いたわ、マンションから歩いて5分、私はこの猫洞堂で働いてるの。
マンションから見えてた池は『ねこがほら池』、ここは『ねこぼらどう』って呼んでね。」

猫洞堂は坂の途中、小さな森に囲まれる形で、ぽつん、と建っていて古いが手入れは行き届いている。
入り口の木陰では黒猫が一匹、涼しげな表情でくつろいでいる。

「あっ、社長、おはようございます。」

黒猫に頭をさげる由香里。
心なしか、黒猫の表情が緩んだ感もある。

「社長は今日もお元気そうでなによりです。
ご飯は何になさいますか?」

黒猫の表情が少し変わる。

「はい承知いたしました、しばらくお待ち下さいね。」

由香里は猫洞堂の中に入っていった。
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猫洞堂~由香里-1 [猫洞堂]

ふふ、猫洞堂って何なんだ~ってお方のために、私が普段何してるのか教えてあげるね。

出勤したら、まず「にくきゅうスタンプ」を出勤簿に押して、その後は社長のご飯の準備。
慣れない頃は失敗もあったけど、最近はずっと社長に満足していただけてるみたい。
ただね~、社長がメタボとかになっちゃったらって思うけど…、専務は気にしなくて良いよ、っていつも言ってる。
ほんとに大丈夫なのかな、専務が社長の座を狙っているのかどうかは、私には分かんないけどね。

社長のご飯が済んだらお店のお掃除。
業務部長からは、毎日掃除して綺麗にしておいて下さいね、って言われてるし、商品のアンティーク家具とかに埃がかぶってたら、わたし的にも嫌だから真面目にやってるわ。
ただね、未だに商品が売れる瞬間を見たことはないの、商品は減ったり増えたりしてるけどね。
ちょっと不思議だなぁ~。

掃除が終わると、お買い物、社員のみなさんからの注文を受けて買出しってとこかな。
坂を下りたとこにスーパーがあってね。
ふふ、量が多い時はバイトの遼君が猫洞堂まで運ぶの手伝ってくれるの…。

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「遼君いつもありがとうね。」
「いえいえ由香里さんのためなら何でもありませんよ、でもこんなに買い込んで猫洞堂にはいったい何人いるんですか?」
「う~ん、難しい質問ね…、実は私もよく分かってないの、お店はこじんまりしてるけど奥はね…。」
「広いんですか?」
「うん…。」
「なんか変わったお店ですよね。」
「ふふ、社長は黒猫さんだし。」
「はは、遊び心いっぱいなんですね。」
「あら、腹ペコ社員が待ちきれなくなったみたい。」

「由香里さ~ん、もう待てません~俺のランチお願いしま~す。」
「はいはいシャケ弁当だったわね、はいどうぞ、でもついでに皆さんの分も運んで下さいね。」
「了解です、じゃあ先に戻ります。」

「遼君ありがとうね、じゃあまたね。」
「は、はい…、もっと由香里さんと話したかったのにな…。」
「ふふ。」
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猫洞堂~由香里-2 [猫洞堂]

お昼ごはんは休憩室で、今日はバッハの無伴奏チェロ組曲を聴きながらのんびりと。
休憩室はね、お部屋そのものがアンティークみたいなものなの。
木のぬくもりが伝わってきて落ち着けるのよ~。
窓からは木々の緑しか見えなくてね。
木の葉を揺らしながら入ってくる風が気持ちいいわ~。

さてと、そろそろ食後のお茶にしようかしら。
どう? このティーカップ、素敵でしょ。

お茶してると若い社員が遊びに来ることもあるんだけど…、あらっ、誰か来たみたい。

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「由香里さん、おこんち。」
「あら、こんにちは、ジョニー。」
「ミルク。」
「はいはい、ちょっと待っててね。」
「ねえねえ由香里さん、今日ね蝉を捕まえたんだよ。」
「ふふ、ジョニーは元気ね、はい、どうぞ。」

さて私も一口、とカップを口に運んで…。
あらっ、ジョニー消えたわね。
まぁ何時ものことなんだけど。

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ここの若い社員たちはね、なぜかミルク好きが多いの。
だから冷蔵庫のミルクがなくならない様に気を配るのも私の役目。

それからジョニーってのは私が適当につけた名前でね。
初めの頃はみんなの名前をちゃんと覚えようと思ったんだけどさ。
総務部長から、「適当に名前を付けて適当に呼べばいいよ。」って言われてね。
理由はすぐ分かったわ。
人が入れ替わり立ち替わりでね。
今日は10人ぐらいみたいなんだけど、昨日いなかった人達ばかり。
そんな感じだから、社員が全部で何人かなんて見当もつかないのよ。
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猫洞堂~由香里-3 [猫洞堂]

さてと、そろそろ店番にいきますか。
お昼当番さんをあまり待たせすぎてもいけませんからね。

あら、当番のマリアちゃん…は、お昼寝中か。
まぁ、お客さんなんてめったに来ないからいいけどね。

「ふふふ、ふふふ…。」

あらっ、寝ながら笑ってるし…、楽しい夢でも見てるのかしら。
さてと、もう一度掃除のし残しがないか確認して、暑いから外に打ち水でもしておこうかな。

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「ふわ~、あれ~?」
「マリアちゃんよく眠れたみたいね。」
「ふふ由香里さんおっはよ~!」
「当番お疲れさま。」
「なんの、当番なんて朝飯前のじゃなかった、昼飯前のおなかグ~グ~です。」
「ごはんは休憩室の冷蔵庫の中よ。」
「うっほっほ~い、いったっだっきマンモス~。」

走っていっちゃったわ。
よく遊んで、よく寝て、よく食べる…、健康そのものね。
あらっ、もうこんな時間、買出しに行かなくちゃ。
え~とお留守番は…。

「由香里ざ~ん、おばようございます。」
「おはよう、カオちゃん…、どうしたの?」
「じづれんしまひぃた~。」
「あら、それはショックね、大丈夫?」
「だめれす…。」
「じゃあ今日の当番誰かに代わってもらう?」
「じゃんとやります、気分でんがんに店番じます。」
「そっか、じゃあなるべく早く帰ってくるわ、でも今日は色々お買い物しなくちゃいけないの。」
「ゆぅ~っぐりでいいれす、でも…、あれ、お願いじます。」
「オッケイ、あれね。」
「はいです…。」
「じゃ留守番お願いね。」
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猫洞堂~由香里-4 [猫洞堂]

今日は色々買わなくちゃいけないから、ちょっと遠くまでのお出かけになるの。
坂の下のスーパーはそんなに大きくないし、今夜は食事をしながらの重役会議があるから…。
重役さんたちは結構注文が多いのよ。
あれも買わなくちゃいけないしね。
おや、電話で頼んでおいた空猫タクシー、ちょうど着たところね。

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「今日は虎姫姉さんなんだ、よろしくお願いね。」
「あいよ~、おや由香里さん今日は一段とお綺麗で…、白のワンピお似合いでやんすよ。」
「ふふ、ありがとう、今日はあれを買わなくちゃいけないから、まずはあそこへお願いね。」
「がってんです。」

「そう言えば虎姫姉さん、息子さん、最近はどうなの?」
「へへ、色々手を焼かせてくれたんでやんすけどね、結局はしばらく猫洞堂でお世話になることになりやして。」
「そうなの。」
「由香里さんにもご迷惑をお掛けすることになるかもしれませんから、よろしくお願いいたしやんす。」
「ふふ、大丈夫よ任せといて。」

「はい、木天堂に着きやした、お供するでやんす。」
「何時もありがとうね。」

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木天堂の周りは不思議なところなの。
なんかのんびりしててね、家の前でお昼寝中って人もいたりするのよ。
建物は木造ばかり、自動車もめったに通らなくて、そうね時間がゆっくり流れてるって感じかな。
ここへ来る途中は必ず霧の中を通るの、でね猫洞堂からは5分もかからないけど遠くに来た気がするのよ。
そんな話を虎姫姉さんに話したら、近いようで遠いところ、遠いようで近いところでやんす、って解り易いような訳の解かんないような答えが返ってきたわ。
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猫洞堂~由香里-5 [猫洞堂]

木天堂の中は少し薄暗くてね。
古ぼけた木の棚には、見慣れない物が色々置いてあって、これは何に使うのかなって感じ。
興味はあるんだけどね、お店の人が無愛想だから聞きにくいの。
買い物は欲しい物のメモを渡すと揃えてくれるから楽。
ただね、総務の人が書いてくれたメモで、自分が何を買ったのか解かんないのよ。
解るのはカオちゃんに頼まれた物ぐらいね。

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「さてとここでのお買い物は済んだから次へ行きましょうか、虎姫姉さん。」
「がってんで。」
「あらっ、こんな所に扉ってあったかしら。」
「あちきも初めて見たでやんす。」
「でも立ち入り禁止って張り紙があるわね。」
「な~に入らなければ良いということですねん。」
「そういうものなの?」
「社会の常識でやんす。」

なんて言いながら扉を開けている虎姫姉さん。

立ち入り禁止の扉

「ぎゃ~!」
「どうしたの? 虎姫姉さん。」
「ゆ、由香里さん、見てはだめでやんす、こんなところは早くでるでやんす。」

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猫洞堂~由香里-6 [猫洞堂]

「虎姫姉さんいったい何を見たのですか。」
「由香里さん、思い出させないで…、早く次へ行くでやんす。」
と、逃げるように車へと向かう虎姫姉さん。
「はいはい、でも気になるな~。」
「次はキャッツ!」
キャッツとはペットショップのことだ。
「はい、お願いします、社長のために色々買わなくちゃいけませんからね。」
「今日も大量に?」
「そうなの、沢山買っておいてもすぐなくなっちゃうのよね~。」
「猫洞堂だから…。」
と、つぶやく虎姫。
「えっ?虎姫姉さん何か言った?」
「いえいえ気のせいでやんすよ。」
「社長だけであんなに減るわけないのに、まあ総務部長は気にしないで下さいって言ってるから…。」
「着きやした。」

キャッツにて。

「あ~ん、かわいい~、子猫ってほんとにかわいいわ。」
「いや~、それが色々手もかかりやして。」
「虎姫姉さんも子猫飼ってるの?」
「ええ、まぁ飼ってるっていうか…。」

「見て見てこっちの子、メロンの箱に入ってる。」
「箱の中は落ち着くでやんす。」
「そ、そういうものなの…、でも顔をのぞかせて、か~わいい~。」

店員が声をかける。
「その子は売り物じゃないのですけど…。」

メロン箱




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猫洞堂~由香里-7 [猫洞堂]

ペットショップの後は魚八とかにも寄ったから由香里が猫洞堂に戻った頃にはもう日も暮れかかっていた。

「ただいま~。」
「おかえりなさい由香里さん。」
「あら、今の店番は丸尾くんなのね。」
「はい、ちゃんと真面目にお店番してます。」
「あのね、商品のソファーに寝そべったまま真面目にって言われても説得力ないわよ。」
「え~、そうなんですかぁ~。」
「それより、虎姫姉さんを手伝って荷物を降ろしてくれないかな、私もこの後色々やることがあるの。」
「面倒だな~。」
「真面目なんでしょ?」
「はいはい。」

「さてと虎姫姉さんと丸尾くんが荷物を降ろしてくれてる間に、色々やることがあるのよね。」

買い込んだ荷物の整理を始める由香里、そこへ総務部長が。

「由香里さん、お疲れ様です。」
「あら、総務部長、何の、こにしきですよ。」
「はは重そうですね…、今日は重役会議の準備まではお願いしますね、後は若い奴らにやらせますから。」
「今夜は他に予定はないですから、最後まででも大丈夫ですよ。」
「いえいえ、若い連中にも色々経験させなければいけませんから…、ただ…。」
「ただ?」
「明日は今日のお片づけをお願いすることになるかもしれませんので。」
「ふふ、了解しました、今日は早目に帰って明日のお片づけに備えますわ。」
「お願いします。」

「ここの若い子達って散らかすのは得意なんだけどね~。」



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