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短編集-2 ブログトップ

 [短編集-2]

夜、なんとなく目が覚めた。
明日は会議か、また部長から色々言われるのかな…。
何となくカーテンをあけ窓をあける。

あれ? 母親に抱かれた自分が…。
自分の古いアルバムで見慣れた写真の光景。
すぐに小学校の風景に変わる。
懐かしいな、あの木造校舎もうないんだよな。

でも俺はいったい何を見ているんだ?
窓がモニター? 映像のような、そうでないような…。
夢でも見てるのか。
俺、死ぬのかな?
死ぬ前に自分の人生が走馬灯のようにって…。
それにしても不思議な感覚だ。

もう中学生か。
あの頃は野球部でずいぶんがんばってたよな。
つらい練習もしたけど…、でも充実してた。

はは高校生活が一番楽しかったかも、色々やったな…。

と、いうことはもうすぐ大学、理佳と出会った頃だ。
楽しいことが沢山あったけど…。

卒業間近の俺の一言で…。
思いやりのかけらも無いことを言ってしまったからな。
何であんなことを言ってしまったのか、今考えると自分でも解らない。

おい目の前の俺、あんなこと言うなよ! 絶対言うなよ!
あの場面だけは見たくないけど、目をそらす訳にもいかないか…。
絶対言うな!

あれ?
まだ楽しそうにしてる、あの頃はもう別れた後の筈なのに。

と、いうことは俺の人生じゃないってことか?
微妙に違って…。

いや全然違う人生になっているみたいだ…。

あっ、窓の向こうの俺…、部長になってる!

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源じい [短編集-2]

宮原源一は73歳になる。
温厚な人柄から、周りの人たちは、尊敬の念を込めて源じいと呼んでいる。

「源じい、今日も山か~?」
「お~よ、下草刈りと枝打ちもせんとな。」
「けがせんようになっ。」
「あんがとよ。」

宮原は毎日のように山へ入る。
山仕事は決して楽ではない。
もう年なんだからという声もよく聞かされる。
ただ、そんな時の答えは決まって。
「ご先祖さまからいただいた大切な森だから、しっかり守らんとな。」

そんな会話のあった日は、森に入ると必ず木々を見渡す。
(この木は父ちゃんが植えたんだ、あっちの大きな木はじいちゃんがな。)
と、子どもの頃のことを思い出しながら…。

「この苗木が人様のお役に立てる頃にはわしは生きておらんだろうな。」
「え~、そんなこと…、でも植えるの?」
「あたりまえのことじゃ、源一が大きくなったら、この木を切って生活の糧にすることになるからな。」
「えっ?」
「わしもご先祖さまが守り育てて下さった木々を切って生きてきたんじゃ。」

そんな話を聞かせてくれたじいちゃんの歳になって、源一は少しさびしい気持ちになっていた。
(わしが死んだら、この森は…。)

「あっ、おじいちゃんめっけ~。
お弁当持って来たよ、あばあちゃんが作ってくれたの忘れてったろ。」
「おお、そうじゃった、ありがとうな…、なあ、継雄はこの森好きか?」
「大好きに決まってんじゃん、おじいちゃんが心を込めて守ってる森でしょ。」
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経営学 [短編集-2]

「良郎、大学の方はどうだ?」
「うん、おじいちゃん、なんとかがんばってるよ、レポートとか結構めんどいけどね。」
「そうか、でも今はパソコンとかで書けるから楽になったと思うけどな。」
「そうでもないよ、うちの経営学の教授は手書きのレポートしかだめなんだよ。」
「はは、それは…、またレトロだな。」
「でしょ、でさ、さらにテーマがね…。」


「まぁ、教授といっても、実際に何らかの経営にたずさわった経験があって教授になったのか、机上の空論で教授になったのかってこともあるからな。」
「うん、おじいちゃんから教えてもらったことの方がって思う時もあるよ、バランスの話とかさ。」
「はは、経営学にも当てはまるんだぞ。」
「えっ?」
「より、効率よく会社を運営していこうと考えたらきちんとしたバランス感覚が必要なんだ。」
「うん。」
「でもな、こんな当たり前のことが理解できてない連中が多くてな。」
「そうなの?」
「作業効率ばかり重視して、人の心を大切にしないシステムを作った大企業があってな。」
「ははは、前に言ってたとこだね。」
「特に中間管理職たちはプレッシャーで大変らしい。」
「うん、こわれる人もいるんでしょ?」
「みたいだな、で、そのシステムを見習ってる会社もあってな…、はは、昨日居酒屋で愚痴を聞いてやった奴はな、まあ中堅クラスの企業で働いてる男だったんだけどな。」
「うん。」
「効率ばかり重視されてアルバイトで働いてる人間の心は無視されていて、やめてく人数に入ってくる人数が追いつかないってぼやいていたな。
求人関係だけで数ヶ月間、百万ぐらい使ったみたいだけど余裕がないってさ。」
「はは、馬鹿じゃない?  結局効率が悪くなってるんでしょ。」
「そうなんだ、どんな仕事だって慣れた人の方が作業効率は高くなるからな。
人を大切にしてれば、やめる人も少なくて結果効率も上がるって気づいてないわけだ。」
「バランス感覚に欠けてるわけだね。」
「まさにその典型だな…、ふっふ、経営学のレポートなんてな頭にバランスというキーワードを置いとけば結構簡単なもんだぞ。」
「う~ん…、でも…、やっぱめんどいよ。」
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アルバム [短編集-2]

アルバムをそっとひらく。

元気だった頃のしずく…。
雨の降る日に、にゃ~にゃ~泣いててさ。

それから一緒に暮らし始めて。

色々あったね…。

一緒に生きてきたね…。

もうアルバムでしか会えないけど…。


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作家 [短編集-2]

机の上の何も書かれていない原稿用紙を夕陽が赤く照らす。
その横には使い込まれたペンが。
その前に座っているのは山県緑樹三十五歳、ある文学賞を受賞し作家デビューして間もない。
ペンネームの山県は郷里岐阜県の山県から、緑樹は山の緑の木という感じで結構簡単に決めてしまったらしい。

今は新聞社から依頼された短編に取り組んでいるのだが、締め切り時間が迫ってきているというのに一文字も書けていない。

朝からの彼の行動というと…。

机の上に原稿用紙を広げる。
ペンを置く。
少し構想を練ってみようとする。
何も思い浮かばないのと昨晩の酒が残っていたのか、しばらくうとうとする。
はっと、目を覚まし、時計を見てから原稿用紙に目を落とす。
どうやら、締め切りに間に合わなかった夢を見たらしい。
トントントントン…。
指先で机を叩き始める。
考え事をしている時の彼の癖で、家人は、いらつくと言ってトントンしてる時は近寄らない。
まあ、その方が彼にとって都合が良いのだが。

おもむろに立ち上がって庭を見に行く。
しばらく紫陽花を眺めた後、部屋の中を歩き回る。
分かり易く言えば動物園のオリの中の熊だ。

ちらり時計に目をやりテレビをつける。
毎日見ているお昼のメロドラマが終わると遅めの昼食。
昨日買ってきておいた、こだわりのカップ麺にお湯を注ぐ…。

どうやら満足したようで、食べ終わったカップ麺の名前をメモ。
そこへ新聞社から電話が入る。

「どうです、短編の方は締め切りに間に合いますよね?」
「はは、郵送で済ますつもりだったんですけどね、夜にでも取りに来ていただけますか。」
「わかりました、じゃあ七時頃でよろしいですね?」
「そうですね…、まぁゆっくり来て下さい。」
「そうも言ってられないんですよ、作品完成後のスケジュールはもう組まれていますからね。」
「そ、そうですよね。」
「とにかく山県先生らしさが出てれば、どんな感じでも構いませんからね。」
「は、はい。」

電話を切り、机の上の夕陽に赤く照らされた原稿用紙に目をやる山県。
今度は髪の毛を両手でかきむしり始める。
追い詰められた時に出る彼の癖だ。

突然、動きを止めペンを手に。
原稿用紙に向かっておもむろに書き始める。

--------------

机の上の何も書かれていない原稿用紙を夕陽が赤く照らす。
その横には使い込まれたペンが。
その前に座っているのは山県緑樹三十五歳、ある文学賞を受賞し作家デビューして間もない。
ペンネームの山県は郷里岐阜県の山県から、緑樹は山の緑の木という感じで結構簡単に決めてしまったらしい。

今は新聞社から依頼された短編に取り組んでいるのだが、締め切り時間が迫ってきているというのに一文字も書けていない。

朝からの彼の行動というと…。



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つばめ [短編集-2]

チチチチチ…。

小鳥のあわただしい鳴き声に窓の外へ目を。
電線に4羽の子つばめがとまっていました。
巣立ってまもないみたいです。

かあさんつばめが、すい~、って来ると、みんな羽をばたばたさせながら、チチチチチ…。
一番右の子がおやつにありつけました。
かあさんつばめがおやつ探しに行くと静かになって羽づくろいをしたり、とうさんまだかな~ってきょろきょろしたり。

とうさんつばめが、すい~、って来ると、みんな羽をばたばたさせながら、チチチチチ…。
とうさんつばめは飛びながらひょいひょいって2羽のおくちにおやつをほうりこんでいきます。

おや? とうさんつばめの飛んでいく方向に小さな黒い点が目に入りました。
あっ、やはりおやつだったみたいで、とうさんつばめは黒い点を消したかと思うとすぐに戻ってきました。
みんな羽をばたばたさせながら、チチチチチ…。

今度はかあさんつばめが来たのか、みんな羽をばたばたさせながら、チチチチチ…。
はは、近くを通っただけだったみたいで、みんながっかりしたように静かになりました。

-----

今日は子つばめたちいるかな?
昨日の場所には見当たりません。

窓からちょっと首を伸ばしてみると、いましたいました。
昨日と同じように電線の上で、羽をばたばたさせています。

あれ? 今日は、かあさんつばめ、休憩中なのかな。
昨日とはちょっと様子が違うようです。
あっ、電線から子つばめが飛び立ちました。
羽をぱたぱたぱた。

飛んでる、飛んでる。

まだ少しぎこちないのですが、一生懸命飛んでます。
「こら〜、そこのおやつ、待て〜。」
なんて声が聞こえてきそう。

-----

いっぱい食べて力をつけろよ。
秋には大変な旅が待ってるからね。


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流星群 [短編集-2]

夜道をのんびり歩く二人。

「あっ、流れ星。」
「うん、俺も見た。」
「流れ星にお願いすると、っていうけど早すぎて無理よね。」
「はは確かにそうだ…、う~ん…、日頃からお願いすることを心に強く思っていなさいってことなのかな?」
「えっ?」
「願い事ってさ星がかなえてくれるんじゃなくて、自分の思いの強さとかが大切なんじゃないのか。」
「そうかもね…。」

「子どもの頃さ。」
「うん。」
「キャンプファイヤーの終わった後のキャンプ場で、ペルセウス座流星群を見てたことがあってさ。」
「沢山の流れ星、見れた?」
「ああ、ただ、ぼ~っと見てた。」
「はは、純くんらしいわね。」
「なあ、お盆の頃にさ、ペルセウス座流星群見に山の方へ行ってみないか、天気が悪かったら見れないし、月が明るかったら沢山は見れないだろうけどさ。」

「うん…。」



〜北海道の奇跡〜北の大地の天然オリゴ糖

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パフェ [短編集-2]

「ねえ、綾香、美容整形ってどうかしら。」
「美容整形? 由香里は充分綺麗だから整形する必要ないと思うわよ。」
「そうかな~、でもさ、これ見て 『美容整形のカウンセリングが無料で受けられます。』 なのよ。」
「由香里は無料に弱いからな~。」
「カウンセリングだけなら良いわけでしょ。」
「あなたがカウンセリングだけで済む訳ないじゃない。」
「そんなこと…。」
「化粧品のお試しサンプルもらって、迷いながらも結局高いの買っちゃったのはどこの誰かな~?」
「あれは…、やっぱり高いだけあって物は良かったわよ。」
「で、おサイフの中身はどうなったのかなぁ~。」
「う~ん、ちょっとやばいかも…、でもさ、やっぱし女を磨いて素敵な彼を見つけて…。」
「外見だけ良くしてもだめなのよ。」
「えっ?」
「経理の早川さん、知ってる。」
「うん。」
「彼女は由香里に比べたら外見はぱっとしないかも。」
「う~ん、でも…。」
「そう、彼女素敵でしょ、自然に気配りしていて、いつも周りを明るくしてるから。」
「男性社員にも結構人気なのよね。」
「あなたもさ外見ばっかじゃなくてさ内面を磨くことも考えてみない?」
「うん…。」
「大人の女として内側からも美しくなろう、って講座があってさ、初回は無料なのよ、どう?」
「う~ん、そうよね大人の女か…、まさに私のことよね…。」
「会場はこの近所なの、申し込んでみる?」
「うん、綾香、お願い。」

「はは、やっぱ由香里は甘いな。」
「えっ。」
「その講座の前にさ、大人の女性のための経済学入門から始めた方が良いかも?」
「難しそうね。」
「確かにあなたにはちょっと難しいかも、しかも初回は無料じゃないし。」
「えっ? 高いの?」
「ほら、駅前に新しくカフェができたでしょ。」
「うん。」
「あそこのパフェ、おいしいらしいのよ、一度食べてみたいんだけどさ…、どう受講してみる?」


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PHENOMENON
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侵入者 [短編集-2]

び~! び~! び~!

警報音が鳴り響く。

「何事だ!」
「司令、侵入者です!」
「よし第一級警戒態勢、総員捕獲体勢に入れ!」
「はっ!」
「侵入者の現在位置は分かるか?」
「37番ブロック辺りを移動中の様です。」
「56番隔壁を閉鎖しろ!」
「ラジャ! 56番隔壁閉鎖!」

がらがらがら

「56番隔壁閉鎖完了しました。」
「侵入者が何者か確認できたか?」
「まだです。」
「現在位置は?」
「38番ブロックで未確認生命体反応!」
「よし、59番隔壁閉鎖!」
「了解、59番隔壁閉鎖!」

がらがらがら

「59番隔壁閉鎖完了しました…、侵入者確認、地球外生物の様です!」
「捕獲できそうか?」
「は…、はい61番隔壁閉鎖で40番ブロックに追い込めそうです。」
「直ちに61番隔壁閉鎖せよ。」
「61番隔壁閉鎖!」

がらがらがら

「閉鎖完了、侵入者は40番ブロック第3デッキの下で確認されました。」
「警備隊の状況は?」
「現在、侵入者を包囲しています。」
「よし、そのまま包囲を続けさせろ、危険を感じるまで手出しはさせるな。」
「はい。」
「私は現場へ行く、副司令ここを頼む。」
「了解しました。」


「あっ、司令官。」
「警備隊長状況は?」
「包囲したままで動きは有りません。」
「何かわかったことは?」
「そうですね、体長は40センチぐらい…、第3デッキの下にいますから御覧になられますか。」
「うむ、見てみよう。」

「あ~、目から光線が…。」

近寄るな

光線が警備隊長にあたる。
倒れこむ警備隊長。

「おいジョン、大丈夫か?」
「司令、ジョンは気を失っています。」
「至急医療班を呼べ、警備隊下がって待機、光線に気をつけろ!」
「司令、近付いてみます。」
「あっ、マイクよせ!」

近寄るな

「うっ…。」
「司令、マイクがやられました。」
「警備隊全員40番ブロックから退避!」

「司令、進入時の様子がモニターに残っていました。」
「どんな感じだ?」
「それが…、開いていた外部隔壁から普通に入って来た様で、間違って入ってしまったみたいです。」
「その時の警備は?」
「このところの暑さで手薄になっていました。」
「そうか…、ここは穏便にお帰りいただくのが最善だな。」
「はい。」
「よし、40番ブロックの外部隔壁を開けろ、光線に気をつけてな。」
「了解。」

がらがらがら

「司令、侵入者はダッシュで出ていきました。」
「そうか、まずは安心だな…、医療班、ジョンとマイクの容態は?」
「二人とも意識が戻りました、今精密検査をしていますが、特に問題はなさそうです。」
「よかった。 副指令、警備隊に全外部隔壁の安全確認を実行させた後、第一級警戒態勢の解除だ。」
「承知いたしました。」

「暑くても戸締まりには気をつけないとな。」




観葉植物
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入れ歯 [短編集-2]

「あれっ、兄ちゃん、こんなとこに入れ歯?」
「ほんとだ入れ歯が落ちてる。」
「誰かの落し物かな?」
「いらなくなったんだろ、キック~。」
「はは、変な転がり方だね、ぼくも、キック~!」
「サッカーボールより面白いな、孝也、パスいくぞ。」
「うん、あれ…、少し大きくなったような。」
「はは、気のせいだよ、ほらパス返せよ。」
「じゃあ、キック~。」
「おっと、どっちへ転がるんだ~、ははは…、ほんとだ少し大きくなった気がするな。」
「でしょ、蹴れば蹴る程大きくなったりして。」
「よ~し試してみよう、小さくパスを繰り返して公園の入り口がゴールだぞ。」
「兄ちゃん大丈夫かな。」
「孝也、何心配してんだ、パスいくぞ。」
「うん、おっと、返すよ、あっ兄ちゃんごめん、それちゃった。」
「大丈夫だ、それっ!」

「もうすぐ公園の入り口だね。」
「よし、シュートは孝也が決めろよ。」
「おっけ~」

「ナイスシュート!」
「あれ? 兄ちゃん入れ歯、どこいったのかな?」

「あっ! すごく大きくなってる!」
「ほんとだ!」
「わ~、食べられちゃう~!」
「あ~!」

-------------------

「わ~!」
「正也、孝也、どうしたんだい、二人揃って昼寝してたかと思ったらいきなり叫び出したりして。」
「あ~ん、母ちゃん怖かったよ~。」
「孝也、何泣いてるの、怖い夢でも見たのかい。」

がらがらがら

「ただいま。」
「ほら、父ちゃんもパチンコに負けて帰ってきたらスイカでも食べるかい。」
「おいおい、今日は負けてないぞ。」
「じゃあ、夕飯はご馳走にしなきゃね。」
「いや、勝ってもいない、まあ引き分けってとこだな。」
「おやおや…。」

「ねえ、父ちゃん、入れ歯がね。」
「入れ歯? どうした?正也。」
「孝也とね入れ歯を蹴って遊んでいたらさ、その入れ歯が、急に大きくなってぼくらを食べちゃったんだ。」
「食べちゃったって…、夢か?」
「う~ん。」

「入れ歯って言えばさ…、正也は婆ちゃんのこと覚えているかい?」
「うん母ちゃん、よく、おやつを貰った。」
「そう言えば、亡くなる前に婆ちゃんの入れ歯がなくなってみんなで探したな。」
「あの時は大変だったわね、婆ちゃんも少しボケてて…。」
「母ちゃん、入れ歯は見つかったの?」
「結局見つからなかったの。」
「まぁ、その頃はもう入れ歯も必要ない状態だったけどな。」
「ふ~ん。」
「そう言えば最近墓参りに行ってないな。」
「そうね…、ふふ、婆ちゃんが正也たちに会いたがってイタズラしたのかもね。」
「そうだな、明日にでも墓参りに行こうか。」

-------------------

「えっと~、お墓はこっちだぞ、孝也。」
「う、うん。」
「正也、孝也、そんなに急がなくても…。」
「あっ!」
「どうした、正也。」
「お墓に入れ歯が…。」







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