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Lento 14,薔薇 ブログトップ

薔薇-1 [Lento 14,薔薇]

「ねえ、和音、こんなポーズどう?」

真子は真っ赤な薔薇を口にくわえポーズをとる。

「うわっ、真紅の薔薇ね、真子にぴったりだわ。
その薔薇は?」
「ここへ来る途中、綺麗な庭を見つけてね。
車をちょっと止めて見てたの。
そしたら、そのお宅の方が私に気付いて、ちょっと待ってて下さいねって。」

そこへ直美が口をはさむ。

「真子、その薔薇使うならドレスのトーンは落とすわよ、お客様の目が薔薇に行く様にね。」
「あっ、そうか真紅の薔薇に真紅のドレスじゃあ、この薔薇がかわいそうね。」
真子は直美に応えて、また和音に話し始める。

「その初老の方は、はさみを手に戻ってみえてね。」
「うん。」
「で、一番素敵かなと、思ってた薔薇を切り始めたの。」
「えっ?」
「大切にしてみえる薔薇だろうから私も驚いてね、でも何て話しかけて良いか解らないから、ただ見てただけ。
で、しばらくしたら薔薇の花束ができあがっていてね。」
「う~ん、真子のファンだったんだ。」
「それは、良く解らないけど…、とげもちゃんとして下さって、で、その花束と別にいただいたのが、この薔薇なの。」
「ふ~ん、少しはファンサービスしてきたの?」
「ふふ、ちゃんとさっきの決めポーズで被写体になってきたわよ。」

そこへ祥子が。

「じゃあ今日の即興的演奏は、この薔薇をモチーフにする? 和音。」
「そうね、この真紅の薔薇だとやはりカルメンかな、ビゼーさんのカルメンを主題に始めて…、真子、どう?」
「カルメンか、と、いうことは、和音の演奏も情熱的になるのかな。」
「う~ん、とりあえずイメージを膨らませているけど…。
まぁ、それなりに覚悟しといてね~。」
「はいはい、お姫様。」


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薔薇-2 [Lento 14,薔薇]

茂根達也は薔薇を見ていた。
絵を描く用意はできているが一向に書き始める様子はなく、真っ赤な薔薇をぼんやり眺めているだけだ。
時折目を閉じて、そう目に映った薔薇を心でも見ている…。
薔薇は真子から3輪もらったものをシンプルな花瓶に、活けたというよりはただ入れただけ。

おもむろに絵の具で色を作り始めたのは、薔薇を見始めてから30分後ぐらいか。
彼の場合、ここからの描き方は二つに分かれる。
日数をかけてじっくり描くか、一気に仕上げてしまうかだ。

この薔薇は一気に仕上げることにしたみたいで。
いきなり一枚一枚の花びらを完成させていく。

一気に描いて行く時は完成した作品のイメージが頭の中で完成した時だと、彼は言う。
時間をかけ過ぎるより、結果自分の納得のいくものが描けることが多い、とも。

「うわ~、素敵、薔薇のアップを描いたんだ~。」
「うん、和音、最初この薔薇を見た時はあまりの鮮やかさに、描ききれるかな、とも思ったけどさ、まぁ、何とか描ききったって感じかな。」

「ねえ、この絵さ、今度出す、真子のJazzボーカルメインのアルバムで使っていいかな?」
「もちろんOKさ、情熱の真紅は真子のトレードマークになりそうなんだろ。」
「うん。」


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バラ
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薔薇-3 [Lento 14,薔薇]

「どう? 真っ白な一輪挿しに真紅の薔薇一本。」
「う~ん、素敵ですね、これだと薔薇の赤がさらに引き立ちますよね。」

真紀はLentoお花係の顧問的な立場になっていた。
自分で活けることもあるのだが今は後輩たちに花を綺麗に飾るポイントを教えていることが多い。

「この薔薇を見てると真子姫さまの舞台を思い出しますよ~、すごく素敵だったなぁ~。」
「そうか、有里ちゃんもあの舞台見たんだ。」
「はい、私よりいっこ上なだけなのに、すごく大人の女性って感じで、憧れてるんです。」
「確かにそうね、元々美人系の子だけど…、この一年でずいぶん大人びたわね、私の方が年上なのに舞台とかで一緒に写ってる写真みると…。」
「真紀さんも、真子さんとはタイプは違うけど美人で、私の憧れの人ですよ。」
「ふふ、おだてても何も出ないわよ。」
「えっ、本心ですって。」
「はは、あっ、そう言えば、真子ちゃんが言ってた言葉を思い出したわ。」
「なんて?」
「Lentoでまだ有里ちゃんと同じように、ホールの仕事をしてた頃ね。」
「うんうん。」
「私は、ここで演じているんです、って。」
「えっ、どういうことなんです?」
「働いているというより、この空間の中で、素敵にホールの仕事をしている人を『演じてる』って感覚だったと思うわ。」
「は~、やっぱ凡人の私にはついて行けない世界なんですね…。」
「あっ、もしかすると…。」
「何なんです?」
「真子ちゃんは、真紅の薔薇の似合う大人の女性を演じ続けてきたのかも。」
「あ~、ますます憧れちゃう、でも素顔は…?」
「和音ちゃんとか、川野さんとかしか知らないのかもね。」
「う~ん、ミステリアスだ~。」


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薔薇-4 [Lento 14,薔薇]

Lentoの休憩室。

「やったのね、高雄…。」
「どうしたの? 由香里。」
「あの写真見てよ。」
「わぉ、不思議な色っぽさを感じさせる素敵な薔薇の写真ね、いつもは絵が架かかっているのに今日は写真なのね…。」
「真由、撮ったのは岩倉高雄って言ってね、真子姫さまの写真とか撮ってるんだけどさ。」
「あっ、知ってる知ってる、Lentoのサイトでも見たことある、記録係り&DVD担当の河津さんとは違った視点で、というコメントがあって、本当に真子姫さまたちの色々な表情を捉えていたから印象に残っているわ。」
「うん、でね、Lentoの写真係りが決定した去年の12月にLentoオーナーの白川さんからは、色々な写真を色々な視点で色々な角度から撮ってごらん、ってアドバイスをいただいてたそうなの。」
「なるほど、だから薔薇の写真もということなのね。」

「ねえ真由、この真っ赤な薔薇の写真がここに飾られているってことは、彼にとって大きな意味があるのよ。」
「えっ? どんな?」
「3月の終わりに彼ね、白川さんに就職のことで相談したの。」
「そ~よね私たち3年生になっちゃったからね、って彼も3年生だったかな。」
「ええ、で白川さんからはね、Lentoに飾れるレベルの写真を撮れるようになれたら、うちの正社員という選択肢も君にあげげるかな、って言われたそうなの。」
「と、いうことは。」
「そういうことなのね。」
「それにしても由香里ったら自分のことのように嬉しそうね。」
「へへ。」


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薔薇-5 [Lento 14,薔薇]

さわやかな風が緑の木立をやさしくゆらす、そんな公園の散歩道。
岩倉高雄は皐月躑躅、そうサツキの花にピントを合わせていた。

後ろから声が。
「やっぱり早く来ていたんだ、高雄。」
白いドレス姿の、由香里が微笑んでいる。

「うん待ち合わせ場所をここにしたのは待ってる間に何枚か撮ってみたかったからなんだ。」
振り返って応える高雄。
「高雄はいつもそうね、私を待たせるなんて考えたことないの?」
「ないな、人を待たせるより…、君が来るのを待ってた方が楽しいし、う~ん今日は白なんだ。」
「はは、どう?」
「似合ってるよ、じゃあ一枚撮っとこうか?」
「ふふ、もう、いっぱしのカメラマンね。
「そうそう、高雄、おめでとう、あの薔薇の写真がLentoの休憩室に飾られたということは、就職内定というよりほぼ確定なんでしょ?」
「うん、自分の自信作もなかなか認めてもらえなくて結構プレッシャーだったんだけどね。
どうやら、謎の師匠からもOKが出たそうなんだ。」
「えっ? 謎の師匠って、白川さんの知り合いっていう?」
「ああ、今になって思うとすごく色々なことを教えていただいた気がする。」
「へ~。」
「一月頃だったかな、白川さんから、君を型にはめる気は無いんだけどね、って感じで話しが始まってさ。」
「うん。」
「自分の知り合いが僕の写真を見て、違う角度からも撮らせてみろっ、て言ってるんだけど、って。
それならば、ということで、とりあえず横からとか上からとか同じ被写体を色々撮って白川さんに見ていただいたんだ。」
「どうだったの?」
「大笑いされてしまったよ、90度角度が違っていても写真家としての角度じゃないって。」
「写真家としての角度?」
「言葉に込められていた意味は色々な視点で被写体と向き合えということだったんだ。」
「へ~。」
「それからは色々な課題をいただいてさ。」
「どんな?」
「梅の花を遠くから、それを写して白川さんに渡すと、梅に近づいて、そして、もっと近づいてって感じでね。」
「ふ~ん。」
「始めのうちはよく分からず撮影していたんだけど、少しづつ課題の意味が分かりかけた頃からは、課題というより質問になってきてさ、目の前の真子さんは何を考えているのかな? ってな感じのね。」
「高雄の写真の進化には気付いていたけど、そんな裏があったのね。」
「最後のアドバイスは、被写体を愛しなさい、しばらく君の作品を静かに見守るから自分で色々考えて沢山撮って、きちんと選らんだのを色々な人に見てもらいなさい、ってことなんだ。」
「う~ん、重い一言。」
「ああ、ただ、この言葉をいただいた頃からLentoのサイトに自分の写真をUPしていただける回数が増えてきたからな。」
「そうか、謎の師匠さんも、少しは高雄の写真を認めて下さってたんだ。」
「うん、そう信じたいよ。」


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薔薇-6 [Lento 14,薔薇]

Lentoの休憩室にはパソコンも置いてある。
お花係りの顧問的立場になった真紀が有里にあるブログを見せながら…。

Rose
Roseさんの花瓶



「あらっ? 真紀さん、これって花瓶なのですか?」
「ふふ、有里ちゃんて意外と頭固いのね。」
「え~。」
「どう、紫陽花と花器とのバランス。」
「すごく良いです。」
「でも、ふと気づいたら花瓶じゃないような…。」
「ふふ、お花は花瓶に活けなきゃいけないって誰が決めたのかなぁ~。」
「あっ。」
「ふふ、私の兄さんなんてさ、コップや湯のみに活けるなんて当たり前なのよ。」
「はい?」
「この前は缶コーヒーの空き缶に雛菊を活けてたわね、どの缶が雛菊に合うかな~、なんていいながら。」
「はは、華道の家元を継ごうかというお方がですか?」
「うふ、そんな感性がなかったら家元なんて無理なのよ。」
「へ~。」
「そうだ、この部屋にワイングラスに浮かべた一輪のバラなんて、どうかしら?」
「あ、バラはよく頂くから…。」
う~ん、ちょっと待ってて。」
「はい。」

「さあ、どう?」
「いいですね~シンプルだけど薔薇そのものに華があるから、このテーブルにぴったしですね。」
「ふふ。」





Lento 薔薇の締めくくりとして


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