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岩崎高校生会議-27 [高校生会議-19]

エリア会議は、王国国民でなかった大統領らの参加希望者が遥香姫親衛隊の隊員となり岩崎王国の一員となる事であっさり決着した。
実は大統領の妻が前から親衛隊の一員だったという様なパターンばかりで、五カ国とも簡単に解決したそうだ。
奥様方はすでに会議の日をワクワクしながら待ち望んでいるとも聞いている。
会議を前に岩崎高校生会議国際ネットワーク上にエリア会議のワークシートが作られた。
各国の首脳が意見交換できる場は震災後に作られていたが、五か国のエリート達による国際問題に関する共同研究の場が出来た事の意味は大きい。

「桜、エリア会議のワークシートは見てくれてる?」
「はい、とても活発ですね、五か国の経済水準を今より高めた状態で平均化、通貨統合、犯罪抑止など、難しい課題でも色々な可能性を探り合っていて…。
今までは思ってはいても口にする機会すらなかった事が、国境を越えた遥香システムを通して提案できる事が嬉しくて、遥香さまに感謝の祈りを捧げている人もいます。」
「今までは、他国の事情なんて分からなかったのでしょうね。」
「はい、今回特徴的なのは軍事に関する事です、震災後五か国の関係が余程良くなっていないと難しいレベルの意見交換をしています。」
「エリア会議で皆さんに集まって頂くのが楽しみね。」
「はい。」
「桜は通貨統合、どう思う?」
「ドル立ての貿易を統合された通貨にすれば五か国間での取引が安定するのではないでしょうか。」
「そうね、岩崎としても可能性を探る様に指示を出しておいて。」
「はい、岩崎王国の通貨を考える動きも有ります、紙幣は発行せず仮想通貨をオリジナルで運用、他の通貨との交換レートが問題ですが。」
「岩崎がほとんどの株式を上場していないという事はプラスになるわね。
岩崎王国が海外展開での利益を現地での再投資に充てる事によって拡大が止まらなくなっているという事も。」
「ですね、安定的に発展している王国の通貨なら安心感が有ります、上場していないという事で、業績に関係ない要因で株価が下がる事が有りませんし。
岩崎の株式を保有している企業も人も、今は受け取った配当を岩崎に再投資しています。」
「岩崎高校生会議の存在も大きいでしょ、如何に人件費を抑えるかを考える様な企業ばかりの中で、お父さまは各企業のトップ達に高校生会議を通して一般の若者達の将来を考えさせた。
結論は人件費を抑えていては消費が拡大しない、国の活気が失われるだけ、充分な給料を払えるだけの企業作りには高校生時代からの効率的な教育が必要。」
「はい、高校三年間適当に卒業できるだけの点数を取って来ただけの生徒と、遥香システムを通して実際の仕事に触れて来た生徒とでは雲泥の差です。
岩崎高校生会議が世界展開して各国の首脳まで参加するとは思いもしませんでしたが。」
「そうね、私も世界中の高校生が繋がれたら素敵かな、というぐらいにしか考えてなかったわ。
でも、大きなネットワークが色々な形で広がって行くと、可能性はまだまだ広がりそうね。」
「エリア会議が成功すれば…、まず一歩です。」
「ええ。」
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岩崎高校生会議-28 [高校生会議-19]

私の城でのエリア会議には五か国の他、岩崎王国をすでに国として認めている三カ国からの代表も参加した。
その立ち合いの下、五カ国が岩崎王国を正式な国として承認。
準備を進めて来た友好条約の内容を確認して行く。
条約の中で岩崎王国はリアル八カ国友好の象徴と位置付けられる。
軍事、通商を中心にまとめられた友好条約は翌日発表の予定。
この九か国の枠組みは岩崎国際同盟と名付けられる事も決定した。
参加各国に対して経済的貢献をして来た事が認められた形だ。
これを機にエリア会議のネットワークシステムは岩崎国際同盟に名を変える。
予定していた友好条約に関する確認作業が終わった後も前向きな討論が続いた。

「桜、会議は終始和やかな雰囲気だったわね。」
「はい、内容はほとんど調整済でしたし、バーチャル王国のリアル女神、遥香さまに見守られていては自然と笑顔になります。
発言に対し、遥香さまに笑顔で頷いて頂だけた大統領は嬉しさを隠しきれていませんでした。
皆さん、岩崎国際同盟の可能性に対して気持ちが高ぶっていらした様ですし。」
「参加国が増える事を想定しての条約、岩崎の支社が頑張ってる小国中心に動きが有ると予測してるのよね。」
「検討中の国は明日の友好条約発表を見て動くと思います。
新通貨の話も議論を深めた上でスタートとなりそうで、注目を集めると思います。
国は違えど同じ女神さまをお慕いする仲間同士と、話された方がみえましたが、その仲間に加わりたい人も多いでしょう。」
「女神扱いは誤算だったな、女神という表記は一切禁止して遥香姫で通してる筈なのに…、桜、ボーダーレス教は、所謂先進国でどの程度広がってると思う?」
「分かりにくいですね、日本でも教団グッズは売れていますが、信仰心関係なくおしゃれグッズとして売れてるだけかも知れません。
岩崎国際同盟の国民達とは信仰心のレベルがかなり違うと思います。」
「欧米諸国ではどうかしら?」
「日本よりは…、教団のグッズでもキリスト教のアイテムに寄せたものが売れたりしています…。
一度詳しく調べさせましょうか?」
「そうね、熱心に布教活動をする必要はないけど、ボーダーレス教が広まれば岩崎国際同盟の国にとってもプラスになるでしょ。」
「はい、色々な意味で…、リクエストに応じての信徒向け衣装が売れ始めているといった経済面だけでなく、国境を越えてという意味など。」
「先進国で広がれば、私はただの姫に戻れないかしら。」
「姫と女神の中間がベストではないかと思いますが…。」
「冷静に考えればその結論に行きつくのよね、でも女神扱いは…、神様に失礼な気がしてね…。」
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岩崎高校生会議-29 [高校生会議-19]

岩崎国際同盟発足の発表は多くの人を驚かせた。
バーチャル王国がリアル国家友好の象徴になる、勿論先例はない。
情報を知っていた岩崎王国の関係者は落ち着いていたが、支社長達は今後の展開に頭を悩ませている。
自分の担当する国が岩崎国際同盟に参加してくれたらプラスになるが、国家を動かすには多くのハードルが存在する。

そんなタイミングで、一本のハリウッド映画が公開された。
男女に襲い掛かる悲劇と喜劇が、海中都市建設現場や砂漠に広がりつつあるニューシティ、大震災から復興しつつ有る町などを舞台に繰り広げられる。
私は岩崎王国の遥香姫として登場、ボーダーレス教団も登場する。
その映画を見て…。

「ボーダーレス教団の弱者向け総合ホームが一つのシンボルとして描かれていたわね。」
「一人の子を多くの大人が見守り育てる、子どもが老人から学ぶ環境、震災によって傷ついた人達が女神さまに守られて生きているという部分はフィクションでは有りませんでした。
朝は、遥香さまの鎮魂歌を聴きながら祈りを捧げ、希望の歌を口ずさみながら学校へという姿は現地支社が送ってくれた映像とダブリます、彼等の衣装が可愛かったですね。」
「教団から支給したのでしょ、他では普通に売れてるみたいだから、これからまた売り上げが伸びそうね。
あそこの工場で生産しているから、利益はそのまま復興資金に回せるわ。
各地の支社長達はこの映画をきっかけに岩崎国際同盟参加への機運が高まればと考えているの、今後、岩崎は同盟国重視になるでしょ。」
「今後は支社の再編とかも有るのでしょうか?」
「お父さまは、岩崎に協力的でない国の岩崎支社の規模を縮小して、単なる輸出先にしようと考え始めているの、そうなったら支社長は売る事に専念かしらね。」
「それはそれで王国にとってプラスですね、その国の富をどれだけ吸い上げる事が出来るか…、利益は協力的な国への投資に回せます。」
「ええ、協力して岩崎王国を拡大し教育や医療などの充実にも力を注ぐ国と、岩崎の商品やサービスに対してひたすらお金を支払って頂く国に別れて行くでしょうね。
勿論、中間的な国も出て来るでしょうが。
人材の配置も変えて王国拡大の速度を上げる事に成るでしょう。
支社長会議のネットワークで調整しているから…、そうね桜もアクセスしておいて、今からアクセス出来る様にするわね。」
「はい、お願いします。」
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岩崎高校生会議-30 [高校生会議-19]

岩崎国際同盟発足を受けて岩崎王国は海外支社の体制を徐々に変更している。
利益はその国への再投資に回すという原則は、各国の国情と岩崎への協力姿勢などから判断し見直された。

「大震災がきっかけで岩崎国際同盟が発足、このタイミングで支社長会議のネットワーク完成度が上がった事は大きいですね。」
「そうね、国同士の繋がりが強くなった段階で、支社間の横の繋がりが強化されたとも言える、岩崎の海外展開が大きく変わるわね。」
「生産、販売体制がより効率的になりつつ有ると感じましたが、同盟に参加しそうにない国でも、拡大速度を落としはするものの継続的に活動して行くのですね。」
「ええ、岩崎王国の印象を悪くしてはだめでしょ、岩崎を正式な国と認めて下さら無くても友好的な国は多い、重要なマーケットでも有るわ。」
「そうですね、政府は岩崎王国に無関心でも、国民がボーダーレス教団グッズを沢山購入している国が有りました。」
「ふふ、そんな国では岩崎高校生会議が政党みどりの風をこっそり立ち上げ、政権政党を目指そうとしてるわよ。」
「すぐには無理でも何年後かには同盟の一員となる可能性が有るのですね。」
「ええ、支社の対応は国ごとに違いが有って単純じゃないのよ、高校生会議が活発かどうか、ボーダーレス教が広まってるかどうかだけでなく、治安や政情も考慮しないといけないでしょ。
だから岩崎国際同盟だけに拘っていては駄目でね、幾つかの王家からは、新たな枠組みを応援するとの言葉を頂いてるわ、彼等は国連とは違った国際平和会議の開催に興味が有るの。
準備チームは経済的視野からの国際平和を考えていて、そうね経済問題を現場レベルで検討しているという感じかしら、その結果を推進して行くためには、先進国も名を連ねる様な国際機関が必要になるのよ。」
「既存の組織では動きにくいですね、友好国が多く参加して下されば、実の有るものに成りそうですが、岩崎王国を正規の国と認めていない国への働きかけはどうしますか?」
「日本その他の友好国が提案するという形でスタートすることになるでしょうね、岩崎を前面に出す必要はないのよ。
実際のネットワーク運営は担当してもね。」
「あっ、日本が主導権を握る事も可能…、岩山総理の国際的な立場が強くなるかも知れません。」
「でしょ、総理は大変だから、せめて岩崎の友好国と日本がより仲良く出来る様、お手伝いさせて頂くのよ。」
「はい…、リアルで日本人だという事を忘れかけていました。」
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岩崎高校生会議-31 [高校生会議-20]

忍が担当している事の一つに研究所や大学を越えた共同研究が有る。

「忍、共同研究は進んでいるの?」
「はい、遥香さま、分野によって、また研究室によって成果は様々ですが、他大学の優秀な研究者の発想に触れる事で大きな刺激を受けるといった効果も出ています。
勿論、無駄を大きく減らせて…、色々な角度から色々な視点で見ている為、見落としに早く気付ける事が最大の利点です。
それと、教育的な側面も有ります。
アメリカの研究室が先生役になって、他国の研究室を指導という取り組みも始まりました。
自国内でトップの大学では有っても、アメリカのトップクラスと比べたらかなり見劣りする大学は少なく有りません。
この取り組みに協力的なアメリカの教授は、遥香システムがなかったら考えられないレベルで研究活動が進んでいる。
自分達の研究成果を上げる事は勿論重要な事だが、この分野の研究が世界的に底上げされる意味は大きい、と話しておられました。」
「良い取り組みだわ、システムを活かして下さっているのね。
留学出来ない人にとっては夢の様な事かも知れないわ。」
「はい、共同研究に関連して、日本国内で進めて来た、公開して問題のない情報は極力開示して行くという姿勢も少しずつ海外へ広げています。
軍事技術、権利関係などの問題が有りますから慎重にですが。」
「利害が絡んで共同研究のマッチングが出来ない事はないの?」
「結構多いです、結果、今はまだ、共同研究の九割以上が岩崎関係の研究所や岩崎学園大学だけになっています。」
「小規模な取り組みが多いのね、規模が大きくなっているのは?」
「海中都市建設に対する取り組みは、複数の分野にまたがっていますので参加している研究室も研究者も多いです。
大きな水圧に耐える構造研究などのハード面だけでなく、ずっと海中で暮らした場合の健康や精神面に与える影響といった研究や、人の組織作りなどかなり広い分野の研究が、一つのシステム上で互いに確認し合える形で進められています。
世界中の研究室からの参加が有って、組織構築に苦労したそうですが。
参加受け入れが決まってから遥香システムの講習というパターンも有ったそうです。」
「高校生会議が頑張って講習をしてくれていると言っても、始まって間が無いエリアが有るものね。」
「はい、でも、これからは高校や大学で教えて貰う様に働きかけています。
学校のローカルサーバーでトレーニングすれば、そのまま学習効率が上がり成績アップに繋がると、
日本国内での取り組みから、岩崎学園大学の研究で証明されていますので。」
「そうなって来るとシステム関連で雇用の機会を増やせるわね。」
「はい、すでに世界中の岩崎高校生会議支部と協同で、遥香システム管理者育成を行っています。
かなりの人数ですが、今の勢いで有れば、全員遥香コーポレーションで雇っても足りないぐらいです。」
「質が落ちる様な事はないの?」
「はい、皆さん真面目です、女神さまを怒らせるとどんな不幸が待っているか分かりませんし、遥香さまのお写真は単なるお守りではなく、自身が誓った事を思い出させてくれる大切なアイテムだそうです。」
「う~ん、私が考えてたボーダーレス教と違って来てる…。」
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岩崎高校生会議-32 [高校生会議-20]

しばらく前から私のお城では高校生の実習アルバイトを受け入れている。
広い庭園と映画やドラマ撮影の舞台となった城の一部を公開している事で観光スポットとなり、スタッフが不足気味になった事も有るが、高校生達との繋がりを強くしておきたいとの思惑も有る。
高校生は岩崎高校生会議の原点でも有るからだ。
城は岩崎王国のシンボルという事情が有るので、岩崎高校生会議のスタッフは特に優秀な生徒を送り込んでくれている。
私としてはそんな彼等と直接話しをしたかったのだが、諸事情により彼等との対話は聡美に委ねる事になった。

「あなた達、どう、仕事は慣れた?」
「はい、先輩方の記録を参考にさせて頂いて頑張っています。」
「聡美さん、システムのワークシートがすごく分かり易くて…、さすがですね、同じシステムでも高校生会議のとは全然違います、自分も遥香システム運用管理者を目指していて、無駄なく、漏れなくと教えられていますが…、自分が良く分かって無かった、という事が分かりました。」
「はは、そうなの、でもね、ここでは緊張感も半端ないのよ、遥香さまがご覧になられる事が有りますからね。」
「えっ、遥香さまは怖い方なのですか?」
「まさか、でもね、遥香さまからの指示や提案が多くなると申し訳ないでしょ、お手を煩わせては…。
そうならない様にスタッフが動いているのだけど、その上を行く指示や提案がね…。」
「聡美さん始め、遥香さまの周りには優秀なスタッフが沢山いると聞いてますが。」
「ええ、手足となって働いているわよ、世界規模で動いてるから大勢ね。
その優秀な筈のスタッフが三人がかりで長時間かけて練り上げた完成間近の企画が、システム上でチェックして下さってる遥香さまの目に留まると…、どうなると思う?」
「え~、ボツになるとかですか?」
「あなた達も遥香システムを使ってるから、当然作業途中でチェックが入ってる事は分かるでしょ。」
「はい。」
「そんな練りに練った様な企画に対して修正案を出されるのだけれど、それが的確なのよ、三人がかりで長時間掛けてたのは何、ってレベルでね。」
「遥香さまから駄目出しですか?」
「それだと、作業して来たスタッフのダメージが大きいでしょ。
だから側近メンバーが大勢で検討している事にして少しずつ修正案を出して行くの、遥香さまの指示に従ってね。
これが結構気を遣うのよ。」
「大変そうですね、でも聡美さんクラスの側近だと、そんな事はないのですよね?」
「勿論よ、遥香さまから振られる作業が中心だから報告は欠かせない、報告時に指示やヒントを頂けるので修正が楽なの。
それと頼れる部下が多いから、受けた仕事は一旦全部丸投げしてるしね。
あっ、管理職の仕事って把握出来てる?」
「自分は今、企業内の役割分担について学んでいます、一旦という事は、その後管理監督をされているという事ですね。」
「そうよ、君はリーダー候補なのかな?」
「えっ、えっと…。」
「聡美さん、彼はこう見えて優秀なのですよ。」
「でも、今はリーダー候補ではない様ね。」
「えっ?」
「岩崎高校生会議は世界に広がっている、勿論岩崎王国もね。
私の部下は世界中にいるのよ、遥香システムのお陰で一か所に集める必要が無いの。
当然沢山のリーダーが存在しているわ、リーダー候補も。
さあ、この環境で、あなた達が優秀だと思ってる彼がリーダーに成れると思う?
リーダーに必要な資質を考えてみてくれないかな。」
「太一はリーダーというより裏方向きなのかも。」
「そうだな、リーダー候補かと聞かれて、そうですと答えられない人がリーダーに成れる状況とは思えないです。」
「ねえ、将来、どんな立場で自分の力を発揮出来るか自分の可能性は考えてるの?」
「自分は、まだまだおぼろげです…、聡美さんは高校卒業後すぐに遥香さまの側近になられたと聞いていますが、大卒ではない高卒のハンデは有りませんでしたか?」
「全然なかったわよ、必要な事は働きながら学べば良いし、遥香さまの下で働かさせて頂いているという事は、すごく高度な学習をしているのと同じ事なの。
ハイレベルな大学の学生と話す事が有るのだけど、専門的な分野でもたまに教えてあげるぐらい。
私の場合学力が無くて進学しなかったのでは無くて、岩崎で目いっぱい働くのなら大学へ行くのは無駄だと思ったからなのよ。
遥香さまのお陰で、今は思いっきり正解だったと思えているわ。」
「私達が遥香さまの側近に成れるチャンスは有りますか?」
「多分無理ね、希望者に体験して貰う事が有るのだけど、皆さん緊張しすぎて何も出来なくなるの。
私がお仕えし始めた頃の遥香さまは美しくて聡明な姫、でも今は更に美しくなられてオーラが半端なくて…、女神さまの側近になるだけの覚悟はあるかしら?」
「写真や映像だと、多少細工出来るのかと思っていましたが…。」
「へ~そうなの、もう直ぐいらっしゃるから、色々話して差し上げてくれるかな。
高校生会議の様子とか知りたがってみえましたから。」
「えっ、本当ですか、お会いしたかったのです、今度の文化祭のお話とかさせて頂きますよ。」

私は自分の仕事を終え、聡美が高校生達と話している部屋へ。
入室してにっこり微笑むと…。
固まる高校生達。
しばらくすると、ぎこちなく跪く者、土下座をする者、手を組んで泣き出す者…。
誰とも話せそうにない。
なぜこうなってしまったのか分からないが、最近人間扱いされなくなってきた。
気を失いかけている子がいるので退室することになる。
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岩崎高校生会議-33 [高校生会議-20]

姫にはそれを演ずる事で、その立場になった。
だが、女神には…。

「聡美、予想以上に分かり易く反応してくれた高校達の感想は?」
「ぼーっとした状態で、神様っていたのですね、とか、土下座していた子達は、何も考えずにボーダーレス教のアイテムを身に着けていたけど、これからはもっと真面目に向き合うそうです。
泣きながら、私達は神様に守られていたのですね、と話す女生徒は貧困状態から岩崎のプログラムで生活改善出来た家庭の子でした。」
「私は姿を現して微笑んだだけよね。」
「はい、ですが私も彼等と大差有りません、今でも…。」
「う~ん、自分では分からないのよ、どうしてなのかしら。」
「遥香さまは、本当の女神さまでは無いのですか?」
「そんな事有り得ないでしょ。」
「人間離れした美しさと頭脳…、最近、更に神々しさが増して…、岩崎国際同盟国歴訪の前に女神さまの様子を世間に見せておくべきかも知れません。」
「う~ん、感じてはいたけど…、あの高校生達の姿を見ては…、策は有るの?」
「はい、岩崎高校生会議第十七支部の文化祭にご降臨して頂き、その様子を世界へと考えています。
ここの支部なら、遥香さまと直接会った事の有る人が多いですし、私達に逆らえる様な人はいませんから。」
「ふふ、いぢめちゃだめよ。」
「女神さまに会える機会を作って差し上げるのですから、誰も文句は言わないですよ。」
「そうなの…、色々片付いて少し時間が出来たから、久しぶりに高校生会議の様子を見てみようかな。」
「はい、私は文化祭実行委員会とコンタクトを取ります。」

高校生から直接話を聞けなかった代わりに高校生会議のシステムに入り確認していく。
高校生が管理しているエリアは稚拙ながらも活気が感じられる。
研究室の共同研究とは違った、共同学習が盛んになっていて、上を目指している高校生達が先輩の残したデータを参考にしながら熱心に教え合う。
社会問題についての討論も盛んで、高校生なりの共同研究と言える。
そんな中に、遥香さま女神伝説というワークシートを見つけた。
私を女神扱いしている人達の心理や経済的背景などを高校生の視点で分析、大学の論文には程遠いが大きく間違ってはいないと思う。
と、そこへ新規入力があった。
第十七支部、実習バイトで城へ来てくれた高校生だ。
『昨日、遥香さまの居城で遥香さまに会わせて頂きました。
その時の事を書かさせて頂きます。
自分は一目見た瞬間、その美しさと神々しさに固まり、気が付いたら跪いていました。
写真や映像では遥香さまの一部しか伝わっていません。
お目にかかるまでは我々の文化祭の話をさせて頂こうと思っていたのですが、喜び、緊張、興奮と様々な感情が入り乱れ何も話せませんでした。
仲間達も同様です。
城を出てからようやく落ち着いて、女神さまにお会い出来た余韻なのか穏やかで幸せな気分になっていました。
その場にいたメンバーも同じ感覚だった様で、ボーダーレス教には漠然とした神ではなく、リアル女神、遥香さまがいらっしゃる。
ボーダーレス教が盛んになっている地域の人達はそれに気付いているのだという事が我々の結論です。
遥香さまは美しいだけのお方では有りません。』
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岩崎高校生会議-34 [高校生会議-20]

高校生との対面後、継続的に高校生会議のネットワークにアクセスしている。
総合的に見ると、就職や進学の支援、ボランティア活動や社会問題研究など、私が思い描いていた形で進んでいる事が分かって嬉しかった。
ただ、遥香さま女神伝説が盛り上がっている所へ、第十七支部文化祭実行委員会から、文化祭へ遥香姫ご降臨と発表が。
どうなるか不安では有る…。

「聡美、文化祭は大丈夫なの?」
「城のホールへ三百人程の高校生を招待して、遥香さま中心に二時間ほどのステージという事で如何ですか。」
「城での開催なら安心ね、それで、招待者はどうやって選ぶの?」
「希望者を受け付け、そこから学年ごとに百名ずつ選びますが、岩崎の共通テストで各教科の上位者からとします。」
「成績優秀者への御褒美という事なのね。」
「はい、今回は日本国内限定です、日本各地から集まってくれるでしょう。」
「でも人数は限られるわね…、一度、高校生会議のネットワークに降臨してみようかしら。
面と向かってだと話せなくても、文字なら大丈夫でしょ。」
「そうですね、遥香姫のワークシートを作って…、書き込み制限は…、共通テスト上位者から書き込めるという形にしましょうか?」
「ええ、いきなりフリーでは混乱しますものね、閲覧フリーにしておけば、苦情も少ないでしょう。」

ページのトップには私の写真。
聡美曰く、最近撮った中で一番神々しいそうだ。
『岩崎の世界展開が進み、少し時間に余裕が出来ましたので、日本の高校生会議メンバーと交流させて頂く事にしました。
岩崎高校生会議、共通テスト各学年上位百名のみ、書き込み制限を外して有ります。
まずは質疑応答と考えていますのでどうぞ。』
反応は…。
『遥香さまご降臨下さり有難う御座います。
第十七支部の文化祭へ降臨して下さるそうですが、どの様な形でしょうか。』第十五支部T.G.
『概要は間もなく発表します。
ここにもリンクを張りますので、もう少し待って下さい。』チーム遥香 聡美
『ボーダーレス教の世界展開がどの様な広がりを見せているのか掴めません、どう調べれば良いですか?』第二十八支部A.K.
『岩崎高校生会議国際ネットワークのコピーページを作りリンクしました、確認して下さい。』チーム遥香 桜
『研究職に興味が有ります、岩崎で進めている共同研究の状況を知りたいのですが、どこを見れば良いのか分かりません。』第八支部D.H.
『表に出せない情報が多いのです。
問題のない部分を簡単にまとめたものをリンクしました、確認して下さい。
尚、担当を置き今後更新して行きますので参考にして下さい。』チーム遥香 忍
『私はまだ高一で良く分かっていませんが、将来遥香コーポレーションで働きたいと思っています。
就職までの流れを知りたいのですが、教えて頂けますか?』第十一支部R.O.
『遥香コーポレーションは巨大な企業に成長しています、どの部門のどんな職種を目指すかで大きく違います。
リンクボタンからは、遥香コーポレーションの概要紹介と就職相談窓口にアクセス出来ます、確認をお願いします。』チーム遥香 前野
『遥香さまご自身へ質問してもよろしいのでしょうか?』第二十二支部H.N.
『構いません。』遥香姫
『遥香さまは女神さまなのですか?』第十九支部S.K.
『神様では有りません、普通の人間です、私が姫になった経緯はご存知ですか?』遥香姫
『勿論知っています、映像でも美しさにため息をついていますが、直接会われた人が女神の如きオーラに圧倒されたそうです。
私は直接お会いするチャンスが無さそうですが気に成ります。』第十九支部S.K.
『高校一年生の頃からお側に仕えさせて頂いていますが、演じておられた姫が最近は自然な女神さまになられたと感じています、そもそも神様の定義とはあやふやなものでは無いでしょうか。
もうご覧になられたかもしれませんが、遥香さま女神伝説のシートへのリンクを付けました。』遥香姫親衛隊隊長 静香
『現人神という表現も有りますね、後は遥香さま女神伝説で語り合いたいと思います。』第十九支部S.K.

返事を返す人は聡美が割り振ってくれる。
チーム遥香のメンバー達も、気分転換と言いつつ積極的に関わってくれた。
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岩崎高校生会議-35 [高校生会議-20]

高校生達との交流の中ではこちらから問題提起をさせて貰ったり、文化祭で歌う歌の希望を聞いたりもした。
そして、文化祭特別ステージ当日。
私達のステージは、生で世界中に配信する体制になっている。

「遥香さま、ライブは久しぶりですが大丈夫ですか?」
「何の問題もないわ。」

始まってみると問題はなかったが違和感がすごく有った。
私の登場と共に起こりかけた拍手はすぐに消え、多くの観客は跪いて胸の前で手を組む。
それ以外の人達は立ちすくんだまま呆然としていた。
予定通り一番人気の鎮魂歌を英語バージョンで歌い始めると目頭を押さえる光景があちこちで見られた。
進行は聡美、一曲歌い終えたところで…。

「地球に生物が誕生してから、数え切れない生物が生まれ、生き、死んでいった、それを受け継いで今が有ります。
二曲目も鎮魂歌、地球上に生き、死んでいったすべての生物、今生きているすべての生物に思いをはせ、歌って下さいます。」

予定通りに歌い私のパートは終了したが…。

「静香、拍手なかったね。」
「はい、拍手しては失礼にあたる様な気が、私もしました。
やはり、遥香さまは女神さまです。」
「う~ん…。」
「今まででも、一国の大統領が跪きたくなったと話しておられました。
国と国の問題では遥香さまが仲裁に入ると比較的簡単に治まって行きます。
これは、姫さまだからではなく女神さまのお力と考えて良いのでは有りませんか。」
「静香の言う通りです、ようやくすっきりしました。
遥香さまがにっこり微笑むだけで解決した問題が有るぐらいです。
遥香さまは、自覚しておられなくても、女神としての力をお持ちなのです。
我々は今まで通り、姫さまとして後押しさせて頂きますが、人にはない不思議な力をお持ちという事で…、遥香さまも納得して頂けませんか。」
「桜…、女神さま扱いされた時はどうすれば良いの?」
「これからも、遥香姫として振る舞って下されば何の問題もないです。」

ステージは何とか無事済んだが、世界配信された映像には問題が有り、プログラム終了後、すぐに担当責任者が謝罪した。

「遥香さまの歌唱中、映像トラブルが有りました事をお詫び申し上げます。
遥香さまのお姿を全世界へお届けする役目を頂き、万全の態勢で準備をして来たつもりでしたが、カメラマン始めスタッフ一同にとって、女神さまの撮影は始めて経験、思う様に行きませんでした。
この後、少しお時間を頂いて、観客の感想などを交え、編集して配信させて頂きますが、画像の乱れはカメラマンが女神さまのオーラに圧倒されての事ですので、お許しください。」
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岩崎高校生会議-36 [高校生会議-20]

文化祭特別ステージの配信に対しては批判的な声も寄せられた。
ただのパフォーマンスだとか、インチキ宗教だとか。
そのお陰で、私の女神パワーは映像を通しては伝わらないという事が判明した。
一方、高校生会議の遥香さま女神伝説は、一段と盛り上がっている。
神について、宗教について考える良い機会となった様だ。
会場にいた人達から、ステージの模様についての報告も有るが、面白いのは人それぞれに受け止め方、感じ方が違っているという事。
同じ経験をしての事だから、色々な宗教が多くの宗派に別れて行くのは当たり前なのかもしれない。
ステージに関しては他に…。

「過呼吸その他の症状でしばらく動けなかった人が結構いたみたいです。」
「ええ、舞台の上からでも気付いたわ。
皆さんの体調を悪くしてしまうとしたら、神ではなく悪魔ね、私は。」
「でも、その後は一様に穏やかで幸せな気分になったそうです、体調が良くなったという人も。」
「それは思い込みじゃないかしら、これからは心臓に持病がある方は入場禁止とか対策を講じて置く必要が有るわね。」
「来月からの関係諸国歴訪の旅では、高校生達に起こった症状と共に心臓疾患のある方は気を付ける様告知しますか…。
側近の私でさえ、最近は普通に跪きたくなるのですから初対面の方が受ける衝撃の大きさは分かる気がします。」
「ふふ、怖がって誰も寄り付かなくなったりしてね。」
「それは無いと思いますが…、遥香さま、今回の歴訪では国家間の関係強化を一つの目的としています、女神パワーを確認する意味でも、提案のハードルを上げてみませんか、ダメもとですので。」
「そうね…、今からでも準備は間に合うの?」
「はい、段階を追ってと考えていましたから、一度にクリア出来れば作業効率面のメリットも有るのです。」
「無理の無いように進めてみて、でも私は今まで通りの姫としてしか対応できないわよ。」
「はい、問題無いです。」
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