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神沢祐樹-96 [高校生会議2-18]

「祐樹くん、番組撮影、高校ではバスケ部からなのね。」
「ああ、公式戦で俺がベンチ入りする事になったから、絵的に面白いと言われてね、でもすぐに合唱部や軽音楽部とかの撮影も始まると思うよ、継続的に記録して行きたいそうなんだ。
そうだな、千恵がどんどん素敵な美しい大人の女性になって行く姿を見られたら、視聴者の方も楽しいと思うだろ。」
「も~、そんな台詞は女心を微妙に惑わせるから駄目よ、嬉しいけど。」
「そんなに褒めてないよ、千恵は小学生の頃から知ってる、当然高校生になって可愛いから綺麗になってきてる、でも君はまだまだ成長の途中でしょ…。」
「だ・か・ら~、真顔で可愛いとか綺麗とか言われると、女の子は祐樹くんの事をもっと好きになってしまうのよ、でも絵美がいるでしょ。」
「む、難しいんだな…。」
「愛人にでもしてくれるのなら構わないけど、ほんとに自覚がないだけ罪な人なんだから。」
「御免…。」
「分かればよろしい、ところで継続的な撮影をして行くとなると大変じゃないの、その…、制作スタッフとかは。」
「ああ、だからスケジュールの組み立ての為にも、うちの社員を何人かスタッフに加えて貰った。
さらに、効率良く撮影する為、各部のコーチ達にも協力を要請して有るんだ。」
「色々な部活を取り上げるって事?」
「うん、高校の部活紹介って感じになるかも、中学生の参考になれば良いし、科学的トレーニングを全国の学校でも取り入れて欲しいからな。」
「全国?」
「ああ、キー局の人が絡んで全国放送になるかも知れないんだ。」
「ここまでの放送はやっぱり好評だったのね。」
「うん、でもこれから高校生社長というインパクトは薄れて行くだろうし、高校生カップルという事で確実にアンチは増えるだろうから微妙だよ。」
「長くは続かないかもって事なの?」
「スタートが子ども向けの歌だろ、そこに高校生活や昭和の歌と、ターゲットを絞ってないからね、続けて見て貰えるかどうか微妙だと思わないか?」
「逆に言えば、マンネリという言葉にはしばらく縁が無いって事でしょ、祐樹くんをテレビで見られるのなら大丈夫よ、もし視聴率が上がらない様なら、ゲストを呼べば良いわ。」
「ゲストか…、そっちに予算を使われると柿川フレンズがね。」
「まだあまり登場してないけど、柿川フレンズのメンバーは全国放送になっても大丈夫なの?」
「セミプロとして可もなく不可もなくという感じかな。
彼等には元々沢山稼いで貰おうとは考えていないんだ、ある意味ダブルワークという事で、安定した生活を送って貰いながら柿川の活性化に協力して貰う。
成功したら、そんなスタイルを他の小規模地方都市にも広げたいんだよ。」
「あくまでも地方の活性化なのね。」
「ああ、トップアーテイストを目指してる人とは一線を画して、ローカルでの活躍でも生活には全然困っていないというスタンス、それを柿川スタイルとして出してみて、世間の反応を見てみたい、もちろん柿川フレンズの中から大きく活躍してくれる人が現れたら嬉しいけどね。」
「ふふ、LENTOは行けそうじゃないの、CDの予約はかなり来てるのでしょ。」
「まあね、踊り付きにしたお陰でDVDも良いペースで予約が来てるよ、テレビで度々流して貰った効果がしっかり現れている。」
「大ヒットになると良いわね。」
「大ヒットは分からないけど、現時点の予約数から考えて、CDはどんどん出そうと思っているんだ。
制作にお金を掛け過ぎなければ、ある程度の売り上げ枚数で利益が出る、メジャーだと小回りが利かないけどインディーズだからね。」
「でもあんまり出されるとファンが困らないかしら、その…、経済的に。」
「予備調査から、カバー曲集は行けそうなんだ、メインターゲットを中高年に置くから購買力に問題はない、しかも編曲だけで済むから新曲を作るより簡単なんだ。
伴奏は柿川フレンズのメンバー、ジャケットには経済的に問題の有る子の絵を積極的に使って行こうと考えている。」
「あっ、安上がりなだけでなく…、そうね曲を聴きたければジャケットの絵はそれほど重要でもないのかな。」
「なぜその絵なのかを上手く伝える事が出来れば、とても意味の有る絵になると思わないか。」
「そうね、それで沢山売れれば絵を描いた子も潤うって事なのね。」
「ああ、ただ、親に問題が有るケースが多いみたいだから金銭管理方法を検討して貰っている。
そっちの方がCDを制作するより大変かも知れない。」
「それって…、CDを作るのは簡単って事?」
「うん、千恵も作るか?
売れるかどうかは分からないが、CDの自主制作も請け負うからね。」
「あっ、柿川なら需要が…。」
「有るだろ、合唱団の記念CDとかが簡単に作れるシステムなんだ、五周年記念CDを出すのに苦労してた合唱団が有ったけど、うちに任せれば、それより安く簡単に作れるよ。」
「もう、スタートしてるの?」
「これから柿川フレンズのCDをサンプルに宣伝を始める、趣味で音楽やってる人を対象にね。
出来上がったCDを聴かせて貰って、柿川フレンズにお誘いさせて頂く事も視野に入れているんだ。」
「市民コーラス全員を柿川フレンズにって事は?」
「それは…、ギャラの総額が高過ぎて赤字の連続になるから無理だな、CDの自主制作は喜んで請け負うけど、柿川フレンズはアマチュアではないんだよ。」
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神沢祐樹-95 [高校生会議2-18]

「難しい問題ですね、確かに古典を全く知らなくても生活には困らない訳ですから、どれだけ綺麗ごとの理屈を並べられても受け入れられない人は少なくないでしょう。」
「祐樹くんにそう言われてしまうと…、でも昔の人も恋をしたり、美しい風景に感動していたと思うの、そんな事を日本人として感じて欲しいわ。」
「それなら…、まず暗記を強要する様な授業はどうでしょう。
生徒の中には暗記の苦手な人もいます、古典を味わう前に嫌いになりませんか?」
「そこなのよね…、学校教育が受験をゴールにしてる一面が有るでしょ。」
「そうですね、うちは大学合格をゴールにしない教育を目標に掲げていますから、まだましなのでしょうが…。」
「進学校の場合、受験に直接関係ない教科…、音楽の授業なんて当然低く見られていてね、音楽教師として残念な気持ちにさせられる事が有るのよ。
進学とか考えていない生徒にとっては古文だって似た様な事なのかもね。」
「高校の場合は、入試によって生徒が分けられていますが、小中学校の教育は全ての子に同じ教育を施そうとしています。
学力差が大き過ぎてバランスが悪く、とても残念な状態だと思いませんか?」
「そうね、教科書を一度読めば理解出来る子と、丁寧に何度説明しても理解出来ない子が同じ教室で授業を受けているものね。」
「教師は大変でしょうが…。
自分は小学生の頃から、同級生に算数を教えていました、その話の流れで親父が教師の役割について話してくれた事が有ります、小学生の頃なら、その教科を好きにさせる事が一番大切なんだと。
親父は点数、成績に関係なく、例えテストが零点でもその教科が好きになれたら楽しいだろって、まあ、好きな教科で零点を取るのは難しいと思いますが。
好きに成れたら次に繋がる可能性が広がります、でも、嫌いになったら可能性は極端に小さくなりますよね。
本当にきめの細かい教育をするなら個々で目標設定を変えるべきで、百点取れる子と十点しか取れない子だったらテスト問題その物が違っていても良いと思うのです。」
「そうね、大人の事情が色々有って難しいでしょうが…。」
「自分が算数や数学を教える時は、その子の力に応じて、例えば難しい問題は取り敢えず捨てよう、と話し、出来る問題を増やす様にしていたのですよ。」
「あっ、祐樹くん伝説の一つね、先生より分かり易いと評判だったのでしょ。」
「はは、中学では人数が増えて大変でしたが…。」
「そうか、祐樹くんは小中学生の頃から、自分の考えに沿って教育活動をしていたのね。」
「教育活動というのは少し大袈裟ですが、話を戻すと、古典の授業が楽しくないのに強制されているとしたらどうでしょう。
それで…、先生方から生徒へのメッセージというのは、どの様な内容なのですか?」
「そうね…、祐樹くんが、綺麗ごとの理屈、と話したそのままかも。
考えてみると、一部の子にとっては学習が嫌いになるような授業を受けさせられ、テストでは良い点数を取れと言われて来た、それなら生きて行くのに困らない教科に必要性を感じなくなって当たり前ね。
祐樹くんは、学習が好きになって、その子なりに、少しずつでも理解が深まって行けばって思っているのでしょ。
もう一度話し合ってみるわ、少し先になるけど夏休みにはチームの全員が揃う話も出てるし、教科を好きにさせる教育を他の教科の先生にも問いかけてみようと思う。」
「お願いします、そんな過程を番組に盛り込んで欲しいのですよ。
まず先生から生徒へどんなメッセージを伝えようとしたか、そこからどの様な議論がなされたか、簡単で構いませんのでまとめて頂けませんか。
番組制作のサポートをお願いしている社員には、早めに『しのぶれど』とコンタクトを取って貰いますので、どんな結論になろうと構いません、古典なんて学習する意味が分からない、と生徒に言われてしまった先生から始まるストーリー、それを通して視聴者の方にも考えて頂けたら良いと思うのです。」
「分かりました、祐樹くんは、楽しく古典に接するきっかけと考えて百人一首をモチーフにした歌を提案してくれたのよね、分かっていたつもりだったけど改めて良い曲を作りたいと思うな、私も祐樹くんの部下として頑張るわ。」
「いえ、先生は部下ではないですから。」
「良いのよ、でも、そういう内容の場合、祐樹くん達は出演しないの?」
「制作サイドの判断に委ねていますが、VTRを見て一言みたいな形が有るかも知れません。」
「そっか、教師として恥ずかしくない内容になる様、頑張るわね。」
「でも、無理はなさらないで下さいね、部活の指導も有って大変なのですから。」
「だ、だめよ…、そんな優しい言葉を気安く掛けられたら…、私の婚期に影響しちゃうじゃない。
私の周りの男どもには優しさが不足しているのよ。」
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神沢祐樹-94 [高校生会議2-18]

「祐樹くん、テレビ見たわよ、可愛い高校生なのに、しっかりした受け答えは、流石ね。」
「はは、春日部先生、褒めても何も出せませんよ。」
「そんなの期待してないわ、それより部活を休んだ日の録音は聴いてくれた?」
「はい、絵美と聴きながら歌っています。」
「忙しそうだけど、コンクールは出られるの?」
「大丈夫ですよ、日程は合わせて有りますし、合唱コンクールも番組で取り上げて貰いますから。」
「なら安心なのかな。
ねえ二枚目のCDに向けての選曲は進んでる?」
「はい、自分達の世代にも喜んで貰えそうな曲を探って貰っています。
でも、候補曲を増やしたいと考えていまして、先生が子ども時代に好きだった曲で、お勧めの曲とか有りませんか?」
「そうね…、あなた達のイメージとは少し違うかしら、でも原曲と全く違った雰囲気で歌うというのも面白いのかな。
一度、昔聴いていた曲を聴き返してみるわね。」
「お願いします。
ところで、小倉百人一首をモチーフにした曲作りがどうなってるのか、気になっているのですが。」
「あっ、遥香システムにはあまり情報を上げてないものね。
アドバイスを貰い過ぎると、まとまらないでしょ、だからこっそりやってるのよ。
それでもチームメンバーは三十人を越えてね、良い作品が出来たらLENTOに歌って貰えるという事で盛り上がってるわ。
競技かるたの読手の方も加わって下さって、百人一首、その独特の雰囲気から曲に繋げるのに苦労はしてるものの、何とか形になりそうよ。」
「英語の先生とは?」
「えっ、ま、まあ仲良く取り組んでるわ、日本の文化を外国の方にも親しんで貰えるかも知れないでしょ。」
「そこで顔が赤らんだという事は上手く行ってるという事ですね?」
「もう、祐樹くんたら、大人をからかわないの!」
「はは、面白い曲が出来上がる事を期待していますよ、ある程度完成したら、編曲をお願いしている先生方にも聴いて頂きます、完全に仕上げようとは考えないで下さいね。」
「ええ、LENTOの二人に歌って貰って初めて完成だと思っているわ。
普通なら作詞作曲なんて個人作業でしょ、でも私達はプロではないから意見を出し合って…、祐樹くんに言われた通り一曲に付き複数の案を残して作業を進めてるわ、最終判断はお願いね。」
「それが社長の務めかな、でも編曲の先生を尊重しますよ。
著作権はチームに帰属する方向ですが、チーム名を『しのぶれど』としたのは、どんな流れなのですか?」
「ふふ、絵美さんは全く忍んでいませんが、私達の祐樹くんに対する気持ちをね。」
「はは、訊かなきゃ良かった。」
「ねえ、『しのぶれど』にも取材が入るのでしょ。」
「ええ、実験的取り組ですからね、現代音楽と古典との融合だけでなく、学校改革で余裕が出来た教師という観点からも掘り下げて貰うつもりです。」
「そこに教育者サイドから生徒へのメッセージとかも入れて貰えないかしら。」
「その想いを制作スタッフへ伝えて頂ければ大丈夫だと思いますよ。
柿川の教師から全国の生徒達へ、内容が良ければ一回の放送枠に収める必要も有りませんから。」
「うん、古典なんて学習する意味が分からない、と生徒に言われてしまった先生がね…。」
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神沢祐樹-93 [高校生会議2-18]

「神沢社長、パーティ―が終わったばかりでお疲れの所、お時間を作って下さり有難う御座います。
先ほどの歌は古い曲のカバーでしたが、LENTOのお二人が歌うと新鮮で聴き惚れてしまいました。CD化の予定は有るのですか?」
「時期は未定ですが準備は進めています。」
「それは楽しみです。
ところで、神沢社長はアカペラグループから祐樹くんと呼ばれていましたが、私共もこれからその様に呼ばせて頂いてもよろしいでしょうか。」
「はい、呼ばれ慣れていますので問題有りません。」
「では、今後の番組では祐樹くんと絵美さん、という形で紹介させて頂きます。
お二人で作詞作曲された曲は柿川の子ども達の間で、すでに広がっているそうですが、CDの発売日は決まりましたか?」
「自分達の録音は済んでいます、夏休みのイベントで皆さんにも歌ったり踊ったりして頂きたいと考え、仕上げを急いで貰っている所です。
インディーズですので販売はプリンセス遥香の通販サイトが中心になります。
発売日が決まり次第お知らせさせて頂きます。」
「インディーズという事で通常のCD販売とは違うのですね。」
「はい、まだ、柿川以外で売れるかどうかも分かりませんので。」
「売れると思います、発売されたら私も買いますよ。」
「有難う御座います。」
「LENTOとして、これからの活動予定を教えて頂けますか?」
「今のところ決まっているのは、柿川で行われる柿川フレンズのイベントです。
後は、取材依頼、出演依頼が来ていますので、決まり次第webでお知らせさせて頂きます。」
「では、社長となられました、オフィス白川に関してお願いします。
事業内容は芸能活動とグッズの制作、製造販売といった事の様ですが、登記上は幅広い内容になっているそうですね。」
「はい、すぐに色々スタートさせる訳では無いのですが、社員の特殊性を最大限に活かして行きたいと考えています。」
「特殊性というのは?」
「多くの社員は別に仕事を持っています、二つの仕事、ダブルワークという働き方なのですが、我が社が、彼等のもう一つの仕事や趣味に係わって行く可能性を考えています。」
「具体的には?」
「まだ発表させて頂ける段階では有りません、何人かの社員とは相談していますが。」
「社長としてのお仕事もしっかりされているという事ですね。」
「自分自身は、まだ学ぶべき事が多いと考えていまして、しっかり出来てるかどうかは分かりません。
でも、優秀な社員が僕達の提案をしっかり受け止めてくれていますので問題無いと思っています。」
「一気に注目を集めている訳ですが、今のお気持ちなどお聞かせ下さいますか。」
「高校生起業は中学の頃から思い描いていましたが、正直、最初はもっと小さく、もっとゆっくり進めるつもりでした。
それが、多くの方のバックアップを頂ける事になり、大きなスタートとなりました。
協力し応援して下さるすべての方に感謝しています。
僕達の活動はまだ始まったばかりですので、ここからどんな展開になって行くのか未知の部分も多いですが、応援して下る皆さんの期待を裏切らないだけの活動をして行きたいと思っています。
ただ、高校生活が有り、大学進学が有りますのでライブ活動などは控え目にさせて頂きます、ご理解をお願いしたいです。
社長としましては少し欲張りな事も考えていますが、ご覧の通りの若輩者、至らない事も多々有ると思いますので、よろしくお願いします。」
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神沢祐樹-92 [高校生会議2-18]

「神沢社長、会場は盛り上がってますね、柿川フレンズのアカペラコーラスもトークと上手くかみ合っています。」
「ですね、セミプロと言っても結構経験豊富な方々なのですよ、ただ、トークのネタはちょっと…。」
「社長の伝説、良いじゃ有りませんか、お客様方は社長の事を知りたくて仕方ないのですから大正解ですよ。」
「う~ん、先ほどの質問コーナーにもまいりましたが、絵美は少し暴走気味でしたよね。」
「お嬢さまの本心なのでしょう、素直で正直な人は好かれます。」
「そうですか…、それで、お客様の中にご挨拶をしておくべき方とかはおられますか?」
「ええ、いずれお願いする事に成ると思いますが今日は大丈夫です、大勢来ておられますので特別扱いは避けたいです。
直ぐに何人かの方が動いて下さるでしょうから、それを見極めてからで遅く有りません。
こちらから、協力を要請するのではなく、協力させて欲しいという人に対して許可するぐらいの気持ちで良いのですよ、神沢社長なら。
下手に出てしまうと、社長のカリスマ性を損なう事になりますから。」
「う~ん、白川社長も同じ様な事を…、しかしバランスが難しいですね。」
「それを分かってお見えですから、社長の器なのです。
威張れば良いと思ってる、馬鹿社長もいますから。
まあ、今後、ややこしい話になりそうでしたら私に振って下さい、安っぽい新人アイドルとは格が違うという事を説明して差し上げますので。」
「お願いするしか有りませんが…。」
「あっ、お嬢さまの着替えが済んだ様ですよ」

「絵美、大人っぽくて素敵だよ。」
「ふふ、最初の衣装とのギャップを意識してみました。」
「何となく、初めから二つの面を見せる事になりましたが、所長はどう思います?」
「個性的で良いと思います、子ども向けの曲、昭和歌謡のカバー、今後は、オペラのアリアとか、日本歌曲とか、アイドルお宅なんて連中が聴いた事も無い様な曲を聴かせて下さい、正統派異色アイドルユニットとして。
あっ、アイドルというより、アーティストですね、アイドル以上にルックスの良いアーテイスト…、あ~、もう肩書なんてどうでも良いです、LENTOという新しいスタイルを日本中の人に認知して貰いましょう。
時間的なハンデは有りますが、ファンが少し飢えるぐらいで良いのですよ。
最低限の活動で最大限の結果を出せれば、神沢社長の伝説が増え、いえ、これからはお二人の伝説の始まりですね。」
「少し大袈裟では有りませんか?」
「いえ、きっちり演出させて頂きます、社長が考えておられる福祉関連事業も含めて成功させるために、大きく稼ぎたいですから。
神沢社長がトップに立って下さる事になって社員のモチベーションは高まっています。
我々には伝説を生み出すくらいのパワーが有りますよ。
雑事は我々がしっかりこなしますので、そうですね…、社長はトップとして輝いていて下さい。」
「そうです、祐樹さまは太陽なのです。」
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神沢祐樹-91 [高校生会議2-18]

「皆さん、お待たせしました。
この所ワイドショーなどでも取り上げられておりますのでご存知とは思いますが、異色男女ユニットLENTO、弊社はその神沢祐樹社長率いるオフィス白川の子会社として再スタートする事になりました。
本日はそれを記念してのパーティーですが、皆さんにはショウを楽しんで頂けたらと考えております。
まずオープニングは神沢祐樹、白川絵美が子ども達の為に作詞作曲、LENTOのデビューアルバムに収録される曲からです、踊り付きの曲はご一緒にどうぞ。
では、LENTOのお二人、お願いします。」

「わ~、すごい美形じゃない、小さな画面で見てたからここまでとは思わなかったわ。」
「私は大画面で見てたけど、実物の方がうんと良いわね。」
「あ~、絵美お嬢さまの彼氏じゃなかったらな。」
「ふふ、だとしても、貴女じゃ釣り合わないわよ。」
「絵美お嬢さま、しばらく見ない内にお綺麗になられたと思わない?」
「恋する乙女なのね、うらやましいな。」
「可愛らしい曲よね、すぐに踊れそう。」
「ここは、私達で盛り上げてあげようよ。」
「踊りますか。」
「ふふ、何か楽しい。」
よし、踊りながら前へ行ってテレビカメラに映ってしまおう。」
「おっけ~。」

「あっ、若い子達が踊り始めたわ。」
「ほんとに可愛い社長さんね、白川社長が惚れ込んでるって話だけど。」
「学力もかなりのものなのでしょ、ワイドショーを見るまで、今日はただの暇つぶし程度にしか考えてなかったけど、可愛い男の子は目の保養になるわね。」
「歌声も素敵じゃない?」
「基本が出来てるのね、簡単な曲とは言え発声も音程も良いわ。
声楽やってる絵美さんとしっくり…、絵美さんも曲に合わせて発声を変えてるのね。」
「あんな楽しそうに歌う絵美さん、初めて見たわ、恋をして、美しさが増したかしら、前は少し冷たい印象だったのに。」
「確かに異色ユニットだけど、歌は正統派、応援するしかないわね、この後、お話しする時間は無いのかしら?」
「この雰囲気では無理でしょうね、はぁ~、アイドル顔負けのルックスで高校生社長、私もお近づきになりたいわ~。」
「だめよ、私等おばさんは遠くから見守るの。」
「うちは広告をお願いしようかしら、ターゲットの年齢層を少し下げても良いかなと思ってたのよ。」
「私も絡みたいわ、オフィス白川と…。」
「高校生社長で大丈夫なの?」
「オフィス白川は大きくなるわよ、あなたには彼の最大の武器なんて分からないでしょうけど。」
「可愛い男の子って事でしょ。」
「ルックスだけじゃない、すでに彼を応援したいと思っている人は大勢いるのよ、そんなの人柄が良いからに決まってるじゃない。
何か問題が起きても多くの人が彼を支える、私もその一人になりたいと思うもの、ワイドショーをしっかり見てない人には分からないでしょうけど。」
「そんなにしっかり見たの?」
「ええ、全部録画させてじっくりね、昨日ローカル局で放送された番組も、帰ったら見られる様に指示して有るのよ。」
「その番組、東京では見られないの?」
「どうかしら、例の低迷してる局系列らしいけど。」
「なら、視聴率の悪い番組を打ち切って入れ替えね、動かない様なら、少し手を打とうかしら。」
「脅すのね。」
「よしてよ人聞きの悪い、軽く教育的指導をさせて頂くだけよ。」
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神沢祐樹-90 [高校生会議2-17]

「神沢社長、CDとDVDの制作なのですが…。」
「時間を掛けてはいられないみたいですね。
一通りの準備は日曜日に済ませましたので、授業後に部活を休んで一気に仕上げる事も可能です。
簡単な曲なので録音には時間が掛からないと思います。
踊りも簡単ですし、同級生に描いて貰った絵は見て下さったでしょ、DVDも大丈夫ではないですか。」
「助かります、テレビの反響が大きいですから、早く発売したいのです。
社長達のパートさえ完成出来れば、後は一気にプロが仕上げてくれる事になっています。
彼等も、シンプルにした方が良いから、時間は掛からないと話してくれました。」
「インディーズデビューだけど、通販のOKは取れましたか?」
「はい、遥香コーポレーションからOKとの連絡が入りまして、CD、DVDの形が出来た段階で発売日を設定し、予約を開始してくれます。
初期段階の販売を通販一つに絞る事で、通販サイト全体の売り上げアップに繋がると判断して下さり全面協力を約束してくれました。」
「予約状況を見て何枚用意するか判断出来ますね、その状況は今度の土曜日に発表しても良いですか?」
「今週中の録音がOKでしたら、安心なのですが。」
「スタジオとかは大丈夫なのですか?」
「もちろんです、社長は最優先ですので、なんなら明日にでも。」
「そうだね…、絵美、聞いてた?」
「はい、明日、録音ですね、千恵に部活を休むと伝えておきます。」
「という事でお願いします。」
「分かりました。」

「祐樹さま、全国放送で三つの番組が継続的な取材を希望しておられるのですね。」
「テレビ局ってネタに困ってるのかな?」
「他局と被っても良いと考えてる訳ですから、そうかも知れません。」
「にしても、各局とも結構時間を割いてくれたね。」
「はい、番組が始まるローカル局は当然ですが…。」
「日程的に少しハードになりそうだが大丈夫か?」
「歌のレベルを高める為に体調管理はしっかりして来ました、スポーツは苦手でもひ弱ではないのですよ。」
「うん、絵美ってさ器用なのか不器用なのか良く分からないよな、踊りは可愛いし。」
「普通の人間ですので、祐樹さまの様に何でも上手にこなすなんて事は出来ません。」
「そうかな、絵美はちょっとしたコツを掴めばスポーツも出来そうなのに、でも今の状況では試していられないか。」
「はい、土曜日のパーティーは祐樹さまが主役ですのでしっかり準備をしておきたいです。
その後のイベントからはゲスト参加という形になり、ご負担が減りますのでよろしくお願いします。」
「パーティーは君も主役だろ?」
「女性中心のパーティーなのですよ。」
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神沢祐樹-89 [高校生会議2-17]

「祐樹くん、一昨日はお疲れさまでした。」
「ああ、千恵、パーティ―はどうだった?」
「楽しかったわ、歌も良かったし撮影の様子も見られて、あれっ、絵美は?」
「東京の事務所と連絡を取ってるよ、全国放送で取り上げて貰った反響が大きかったみたいなんだ、今日も三回ぐらい放送されるそうなんだけど、次の土曜は東京でパーティーだろ、一昨日以上にマスコミが集まりそうなんだよ。」
「祐樹くんもだけど絵美は大丈夫かな。」
「昨日は社長室でゆっくりさせて貰ったけど、もう週刊誌の記者みたいな人達が家の周りに集まってたよ、出歩きにくくなってしまったが、絵美は気にしてないみたいだ。」
「不思議な人なのよね、すごく繊細かと思えば何事にも動じないって所があって。」
「面白いだろ、だから一緒にいて飽きないのだと思う。」
「私とだったら飽きるの?」
「う~ん…。」
「あっ、ご、ごめん、答えにくい事訊いちゃったわ…、それより東京でのパーティーはどんな感じなの?」
「ああ、子会社の関連で女性社長や社長の奥さん、社長令嬢といった人達が着飾って来て下さるみたいだよ。
ただ誘いに応じなかった人が番組を見てさ…。」
「我儘な人がいるのね。」
「うん、でも子会社の展開は多少の我儘を許す事で成り立ってる側面も有ってね、その分利益率が良いのだけど、その辺りの判断は絵美に任せる事にしたんだ。」
「セレブの世界なのね。」
「セレブが喜んで使ったお金を、社会的弱者に回して行くのが我が社の使命なんだよ。
高価な宝石とか売れれば社会経済的にはプラスになるのだろうが、社会的弱者には何のメリットもないだろ。」
「うん、私も最近分かって来たわ、お金の流れを変える事によって社会のバランスを取るって事なのでしょ。」
「ああ、その為にも来週のパーティーは重要なんだ、先々への布石としてね。」
「柿川のアイドルから一歩前進なのかな。」
「まあね、でも、社長としての立場も有るからアイドルに拘る必要はない、焦らずにやるさ。」
「美形男女ユニットLENTOの全国デビューは何時になるの?」
「焦らないでくれよ、まだCDの録音が終わってないのだからね。
でも、テレビでは曲が流されているから、ある意味全国デビューなのかな。」
「今の内にサインをお願いしても、良いかな?」
「転売目的か?」
「あっ、そうね百枚ぐらいお願い出来るかしら。」
「じゃあ印刷しておくよ。」
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神沢祐樹-88 [高校生会議2-17]

「撮影風景を見ながらのパーティーというのも楽しいものだな。」
「でも、社長達には申し訳ないわね、挨拶して、歌って、着替えて撮影、今ので六着目だもの。」
「何を着ても似合うのよね~、店員のユニフォームでも。」
「あの店は今日の料理にも協力してくれたからな。」
「写真の背景は後で合成するのね。」
「だから何本も続けて撮影出来るとは言え、服装や髪型を短時間で整えるのは大変だろう、万全の準備がして有ったとしても、担当スタッフは…。」

「ご歓談中すいません、お話を聴かせて頂いてよろしいですか?」
「はい。」
「皆さんはボランティア社員でしょうか?」
「私は今日付けで正社員になりました、ダブルワークで工場勤務と掛け持ちになります。」
「では、初めにボランティア社員になろうと思われたきっかけを教えて頂けますか?」
「私は元々神沢社長が児童合唱団で歌っていらした頃からのファンでした、とても可愛らしくて、女子高生の間でも有名だったのですよ。
まあ、工場の仕事は毎日あまり変化が無くて、仕事は嫌いでは無いのですが変化を求めたとも言えます。」
「工場側はダブルワークを簡単に許してくれるものなのですか?」
「そうですね、働き方に幅を持たせる意味で会社側が調整してくれます。
事務職と現場のダブルワークという人も結構いまして、日によって、時間帯によって違う職場で働いている人は結構います。
一見効率が悪い様ですが、作業が変わる事によってモチベーションが維持されます、遥香システムが導入されている事も有って、あまり問題はないのです。
トラブル発生時には、複数の部署に係わっている人が居る事でその処理が迅速に出来たり、人員の調整が出来ます。
ちなみに私の働いている工場で、柿川フレンズのグッズ製造を請け負います。
自分で発注して自分で作る事を前提としたダブルワークになりますので、発注者側が製造に加わる事で会社間の行き違いが無くなると考えています。」
「なるほどメリットが有るのですね、しかし二つの会社から給料を頂くと言うのは複雑になりませんか、特に別会社で働く場合は。」
「確かに面倒な事が有ると思います、岩崎関連同士の場合はシステムが確立されていますが、今回は資本的に関係のない企業間の事ですので。
でもオフィス白川は岩崎標準に合わせますし、岩崎関係の会社や岩崎高校生会議第十七支部は、神沢社長を全力で応援しようとしていますので大丈夫です。
社長がなさろうとしている事を応援しない訳には行かないのですよ。」
「そうですか、他の方も神沢社長のファンなのですか?」
「柿川市民は神沢社長の伝説を沢山共有しているのです、社長はそのレベルをご存知ない様ですが。」
「えっ、どの様な伝説があるのですか。」
「小学生の頃、いじめられている子をかばったなんて話は有名です。」
「それが伝説ですか?」
「はい、いじめられている子がいると気付いた子が先生ではなく、祐樹社長に相談したのです、どの学年の子も、何人も、それを一つづつ解決なさって、まあ、社長を敵に回すという事は女子を中心に多くの敵を作る事になる訳で、平和な小学校になりました。
その事で、元からの住民と岩崎の移転に伴って越して来た住民の融和を促進してくれたのです。」
「私の姪は未だに、祐樹くんに助けて貰って嬉しかったと話しますよ、いじめられた傷以上に助けて貰った喜びの方が勝っているみたいです。」
「他には?」
「天使の歌声ですね、ボーイソプラノの美しさに魅了された市民は多くて、市民コーラスが一気に盛り上がりました、声変わりで戸惑われた様ですが、中学時代も祐樹社長をゲストに呼びたがる合唱団が多かったのですよ。
中学時代は女生徒からの告白が度を越して少しトラブルも有りました、他の中学や高校からも色々あって、そうそうバレンタインの時は市内の福祉施設に貰い過ぎたチョコレートを寄付したり…、女の子達は完全にアイドル扱いしていましたからね。
高校の入試倍率にも影響を与えたみたいです、それから…。」

「そ、そんな事も…。」
「企業の役員連中は彼の能力の高さを評価しています、何と言っても大人に対する受け答えが気持ち良くて、神沢社長と話していると何故か笑顔になってしまうのですよ。」
「若くても尊敬されているのですか?」
「はい、愛されています。」
「柿川のアイドル、番組内にコーナーを作って毎週放送しても当分ネタに困らないですね、上司に掛け合ってみます。」
「お願いします、もし上の方が色よい返事を下さらない様でしたら、こちらから圧力をかける事も可能ですよ。」
「えっ?」
「私のもう一つの勤め先はお宅のスポンサーですし、社長は祐樹社長の熱烈なファンですから。」
「分かりました、柿川の熱量を上司に伝えさせて頂きます。」
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神沢祐樹-87 [高校生会議2-17]

「俺達の担当はひとまず終わったが、社長達は大変だな。」
「ええ、今から歌の披露、その後はポスター撮影にCM撮影でしょ。」
「しー、歌が始まるわよ…。」

「…、可愛い~、子ども向けって言うけどね。」
「ああ、俺はもう踊れるかも。」
「あなたが踊っても可愛くないわ、祐樹くんと絵美さんだから可愛いのよ。」
「ふん、悪かったな、でも、曲のシンプルさが、これは売れると思わないか。」
「なに当たり前の事言ってるの、柿川の小学生達の間ではもう広がっているって知らなかったの?」
「えっ、そうなのか?」
「こどもの日のイベントで紹介されたのがテレビでも流れたでしょ、当日会場にいた子達が周りの子達に教えてね、親達からもCD発売の催促が来てるのよ。」
「来賓の方々も笑顔になってるわね、次はがらりと雰囲気を変えるからインターバルを開けているけど…、あっ、うちの多田社長ったら年甲斐もなく踊りを真似してるわ。」
「ふふ、それはそれで可愛いわね。」
「おいおい、俺の方が可愛いぞ。」
「その発言、却下。」
「多田社長も神沢社長の事が大好きなのよね。」
「でも、バックアップは白川社長に委ねられた。」
「単に委ねた訳でも無いのよ、陰からオフィス白川を支えようと、でもうちの皆は多田社長に言われなくてもね、私がダブルワークで直接支える形にはなってるけど、少なくとも私の周りの女性社員は全員神沢社長のファンですからね。」
「うちもよ、でも副社長のファンも増えて欲しいかな。」
「柿川でのデビューが、社長と出会って間もないデートだから、反発は大きかったのよ。
でも、優香ちゃんと千恵ちゃんがよくやってくれたわ、大好きな祐樹くんの幸せを考えるという方向になって来てるものね。」
「ふふ、みんな、絵美さんに祐樹くんの事を聞いてはだめだからね。」
「えっ、どうして?」
「祐樹社長の事がどれだけ好きなのか、思いっきり語られてしまうのよ。
ご本人としては出会ってからの時間の短さが不安なのかしら。」
「一生懸命恋してらっしゃるのよね、応援したいって思うわ。」
「あっ、衣装を変えて次の曲が始まりそうね…。」

「素敵すぎるよね。」
「うん、絵美さんの心のままなんだろうな、蘇州夜曲は二枚目のCDに入れるって話を聞いていたけど…。」
「何十年も前の曲なのに、こうして聴かされるとね。」
「神沢社長は横に立ってるだけで…、映画のワンシーンみたいだったな。」
「副社長は何時も祐樹さまと呼ばれているものね。」
「社員になって良かった、こんな場面…、一番ピュアな年頃のお二人を生で見させて頂けただけるだけでも得した気分だわ。」
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